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松山英樹が「パリ五輪」出場表明を引き延ばした理由 JGAのサポート体制に疑問と不満

JGAのサポート体制に疑問を呈した松山英樹(撮影:ALBA)

8月に行われる“スポーツの祭典”「パリ五輪」のゴルフ競技の日本代表が内定した。男子は松山英樹と中島啓太、女子は笹生優花と山下美夢有が日の丸を背負って出場する。

松山は代表選考レースのラストマッチ、メジャー今季第3戦「全米オープン」最終日に初めて、パリ五輪出場を表明した。2月にはツアー9勝目を飾るなど権利を当確させていたが、公にするのを先延ばしにしていた。

この理由について、「個人的にもパリに行ったことがないので…というのはありましたけど、若手が頑張ってワールドランキング50位以内に入ってくれれば、僕は出なくてもいいかなと思っていた」と後輩たちへの期待もあったという。だが、自身を脅かすような存在は現れなかった。「出なきゃいけない」。葛藤の末に、日本のエースは決心した。

日本ゴルフ協会(JGA)のサポート体制に疑問を抱えていたことも理由のひとつだ。現地についての情報や練習環境、チーム松山としてともに転戦するメンバーの帯同、宿泊、食事についてなど、知りたいデータが不足していると感じている。「いちプロゴルファーとしてやっていると、五輪がどういう感じなのかまだ分からない。もうちょっとサポート体制をしっかりしてもらえたら、すんなりと行きたいと言えるんですけどね…」。

ゴルフが五輪競技に復活した2016年「リオ五輪」は、ジカ熱をはじめとした衛生環境や治安問題を懸念して辞退。21年「東京五輪」では銅メダルをかけたプレーオフに残るも惜敗した。東京五輪は勝手知ったる故郷・日本でのプレーだった。だが今回は、松山が訪れたことのないパリで行われ、より細かい情報を知っておきたいと考えるのは当然のことだろう。JGAと選手の意思疎通は、2028年「ロス五輪」に向けての重要課題となりそうだ。

直前の練習環境については、「DP(欧州ツアー)がサポートをしてくれるという話は聞いた」という。「普通はJGAが確保するのではないのか…」という不満も漏れる。男子は「全英オープン」から中1週間で五輪を迎え、さらに1週間を挟んでプレーオフシリーズに突入する。スケジュールの見通しを立てておきたいところでもある。

男女選手の代表決定を受け、丸山茂樹監督は「私たちチームスタッフは、選手が競技中はプレーに集中して、オフの時間はリラックスができるように、快適な環境を整えることに努めていきます」とコメントを発表した。服部道子コーチも「選手が最高のパフォーマンスを発揮し、選手が苦しいときには寄り添い、大きな喜びに包まれるよう全力で選手をサポートしていく」と話した。松山も「出るからには頑張りたい」と意気込みを語っている。快挙達成のためにも、チーム日本として万全の体制を整えてほしい。(文・笠井あかり)

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