まさか! 55歳の手嶋多一が『7X』のシャフトで飛んでいる⁉ 「重・短(オモミジ)が振りやすい」
55歳の手嶋多一が飛んでいる⁉ 今週開催の国内男子ツアー「JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP BY サトウ食品」に今季3試合目のレギュラー出場となる手嶋は、初日2アンダー・42位タイと予選通過圏内で滑り出した。35歳の後輩・重永亜斗夢と行った練習ラウンドでは、重永を何度もアウトドライブ。「タイチさん、55歳でも飛んでますね」と驚かせている。
今大会初日の出場155名の平均飛距離は281.22ヤード。手嶋の平均飛距離は280.79ヤードで76位。20代の選手が中心となったツアーにおいて平均値にいる。もともと飛距離が武器ではなく、ステディなゴルフが信条の手嶋だが、55歳になっても飛距離を維持しているというのが正しいのかもしれない。
今年10月には56歳になる手嶋は、“各種”試合に出続けている。今季はレギュラーのほかにも、ここまでシニアで3試合に出場していずれもトップ10入り。また、下部のABEMAツアーにも4試合に出場してレギュラーツアー出場を目指す20代の選手と同じフィールドに立っている。
3つのツアーをかけ持つ55歳だが、ジュニア時代は、“九州の怪童”と呼ばれた天才肌。「練習して考えすぎて調子を落とした」ことがあり、30代になるとラウンド後には練習しないため“日本一練習しないプロ”と言われた。それでも日本オープンをはじめ通算8勝を挙げて、生涯獲得賞金10億円を超えている。
そして55歳になると「朝の練習もやめました」と使用ボールと違うボールで練習をすると「感覚がおかしくなることがある」とスタート前も練習場に足を運ばなくなった。やるとすればゴルフ用の素振り棒を入念に振るだけだ。
飛距離を維持できている理由を聞いても、“天才”からは明確な答えは返ってこないが、クラブは嘘をつかない。ドライバーのシャフトを見ると『ツアーAD UB』の70グラム台、フレックスX、いわゆる『7X』を挿していた。
『7X』といえば、ビュンビュン振れる若い飛ばし屋が使うイメージ。プロの世界でも加齢とともに重量は軽くなる選手が多い。実際、今季シニア初優勝を遂げた永久シード選手の片山晋呉は、「軽・硬(カルカタ)は速く振れる」と重量が軽く、フレックスが硬め、50グラム台のフレックスTXを使用。「本当は40グラム台のTXを使いたい」というほどだ。
手嶋がなぜ70グラム台のシャフトを使うのか。「重量があった方が(エネルギーが)出せますし、ゆったり振るタイプなので。あとは長さですね。晋呉は46インチと長いけど、僕は44.5インチです。パーシモン世代ですから」と話す。
ジュニア時代はパーシモンのヘッドに43~43.5インチのスチールシャフトが挿さったドライバーを振って育った手嶋は、「重くて短い、『重・短』(オモミジ)が慣れていますし、振りやすい。『軽・長』(カルナガ)だと僕は振りにくいんです」と力説してくれた。そのため、ゴルフの素振り棒は重いモノを選んだり、普段から重いモノを振るように心がけているとも付け加えた。
自分が振りやすく、ミート率の高いモノを使うことが効率よく飛ばせるということ。自分を持っているからこその天才か。パーシモン時代よりヘッドやシャフトは確実に進化している。アマチュアもスイングタイプによっては、手嶋のように重くて短いシャフトが合うかもしれない。
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