ゴルファーに迫る熱中症のリスク 真夏ゴルフを乗り切る知恵

日傘、水分補給、小型扇風機など、暑さ、熱中症対策は万全に(撮影:米山聡明)

ゴルフ場で熱中症になって、その場で体温を下げる処置などをして、少し休憩し、復活して帰宅。朝、家人が起こしに行くと、冷たくなっているというパターンが増えているそうです。家で亡くなっているので、ゴルフの死亡例としてはカウントされません。また、熱中症は時間が経つと検視でもわかりづらいので、いわゆるポックリ病として処理されます。

いざというときのために、熱中症の処置をゴルフコースのスタッフが学んでいるケースが増えていますが、まだまだ少数派で、ごく一部に過ぎません。熱中症から身を守るテクニックを学んで、自分を守るのが令和ゴルファーの心得です。

近年の夏の暑さは異常で、熱中症による死亡者数、緊急搬送者数は著しい増加傾向にあります。環境省と気象庁は、熱中症予防対策に資する効果的な情報発信として、 令和2年7月から関東甲信地方で、令和3年4月下旬からは全国を対象に、「熱中症警戒アラート」運用を開始しました。熱中症警戒アラートは、暑さ指数予測値に基づき、前日17時及び当日5時の1日2回発表されるそうなので、早めの予防行動に生かしていきたいところです。

熱中症にならないための大前提は、体調が悪いときは、ゴルフをやめる勇気を持つこと。
芝生の照り返しを馬鹿にしないことも大事で、特に晴れた日などは、気温よりも芝生の上は5℃以上高温になります。

次に、熱中症の段階的な症状を知っておくことは特に重要です。個人差がありますが、吐き気、頭痛、足が痙る症状は重症化の第一段階。寒気、異常な尿意、聴覚障害やフラフラするというのは完全に重症化の症状となります。熱中症が怖いのは、一気に、時間にして数分で悪化すること。

誤解されていますが、熱中症は回数を経て、耐性がつくのではなく、逆に、症状が重症化しやすくなるのです。つまり、弱くなるのです。

少しでもおかしいと感じたら、一旦プレーをやめて、カートで見学するなどの判断、行動が大切。症状が出てからの防衛方法はその一択だけなのです。

症状が出る前であれば、冷たい飲み物を入れた水筒と氷嚢がオススメ。キンキンに冷えた飲み物は、以前は良くないとされていましたが、現在では、体内から体温を下げる方法として有効とされています。中身はスポーツドリンクではなく、麦茶や経口補水液が奨励されています。氷嚢も、カートに乗るたびに手で持っているだけでも効果があるとされています。意外なところでは、携帯用の扇風機もかなり有効。最近では、送風機が取り付けられたカートを導入しているコースもあります。また、プロにも愛用者が多いですが、日傘も効果があります。

カミングアウトすると、自分を過信し、無知と誤解で、熱中症で死にかけ、ERに搬送されたことがあります。医師からは、二度と夏ゴルフをしないように、と警告されました。

特に暑くなる7月と8月は、日の出ゴルフや早朝ゴルフを楽しんでいます。涼しい内に18ホールを一気に回ってしまうのですが、それでも、ひと夏に1回か、2回、途中リタイヤもします。ゴルフがない人生に意味はないと思っていますが、命がなければゴルフができないのも事実。無理せずに、夏ゴルフを乗り切りましょう。その先には、美しく快適な秋ゴルフが待っているのです。

(取材/文・篠原嗣典)

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