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急きょ投入の未発表1Wで脅威の“270ヤード” 小林夢果は単独首位発進に「100点です」

ジャンボ軍団の大器。20歳・小林夢果が単独トップ発進(撮影:上山敬太)

<アクサレディス宮崎 初日◇22日◇UMKカントリークラブ(宮崎県)◇6545ヤード・パー72>

レギュラーツアーで自身初の60台となる「64」。8アンダーでこちらも初の単独首位発進を決めた小林夢果は、そのできについて聞かれると「100点です」と言ってニコリと笑う。「パターがきょうは非常に入りました。朝の練習からいい感じで」。25回だったパット数に胸を張る。

前半からおもしろいようにスコアが伸びていった。12番で2メートルを沈めて初のバーディが生まれると、2アンダーで迎えた18番は大きな見せ場に。483ヤードのパー5は、この日最も簡単なホールだっただけにバーディは必須。そこで残り225ヤードのセカンドを4番ユーティリティで2オンさせると、左2メートルのイーグルパットを沈めた。

さらに後半も4つのバーディを積み上げていく。ピンが2段グリーン上段に切られた最難関の9番パー4も、手前2メートルにつけてのバーディフィニッシュ。8、9番と連続で伸ばしてのあがりとあって、気分が悪いはずはない。

ただ、不安がなかったわけではない。グリーン上が好調だった一方で、開幕前からこんな悩みも。「ドライバーの飛距離が落ちてしまっていて」。平均飛距離260〜270ヤードを誇る武器が精彩を欠いていた。そこで前日には練習場で、シャフトや長さなどを変えた5〜6本ほどの新しいドライバーを試した。

「そのなかで1本いいのがあって。これは素直に真っすぐ飛ぶ。まだ安心とまではいかないけど、思いっきり振れました」。クラブ契約を結ぶプロギアの未発表ドライバー『RSX』(10.5度)を選択した。急きょの投入だったが、この日のドライバーディスタンスで女子では脅威ともいえる270ヤードをたたき出し、2位の穴井詩を3.5ヤード上回る1位の座についた。

ジャンボこと尾崎将司が設立したゴルフアカデミーの“1.5期生”として、高校1年から本格的に師匠のもとでプロを目指してきた。2021年のプロテストに合格すると、昨年は下部のステップ・アップ・ツアー「京都レディース」でプロ初優勝。今季はQTランキング8位で、レギュラーツアーの前半戦出場権を獲得と着実に階段をのぼっている。

「オフにジャンボさんから『前よりも良くなっている』って言ってもらえました。今ごろ(ジャンボ邸がある)千葉で『いい感じだな』って言ってくれてると思います…多分」。その一言ひとことが自信につながっていく。

明るい性格で天真爛漫(らんまん)。20歳の若者らしく、何度も『もしかしたら』という意味の“ワンチャン”という言葉で自らを鼓舞する。「朝からパターが良かったので、ワンチャン上に行けるかもな~と思っていました」。同学年の川崎春花や櫻井心那らの活躍について聞かれた時も、「私はマイペースだけど置いていかれていると思う。チャンスがあればワンチャン行きます」。ただこの時は、少し悔しそうな表情も浮かべていた。

最終日となる24日(日)は悪天候予報も出ており、2週連続の短縮競技すら考えられる状況だ。「あすは4つ伸ばしたい。耐えるゴルフになると思うけど、チャンスは獲っていかないと。プレーオフはやりたくないし、負けたくない」。その持ち味の豪打で、ワンチャン…もとい、必ず初優勝をつかんでみせる。(文・間宮輝憲)

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