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2度のウイルス感染で体調不良からカムバック 森田遥の6年ぶりVをサポートした“マスター”の存在

サンデーバックナインはすべてパー 森田遥が安定感バツグンのゴルフで栄冠をつかんだ(撮影:福田文平)

<スタンレーレディスホンダ 最終日◇8日◇東名カントリークラブ(静岡県)◇6590ヤード・パー72>

首位タイでスタートした森田遥が2バーディ、ボギーなしの「70」をマークし、トータル13アンダーで6年ぶりとなるツアー2勝目を飾った。森田を支えたのは今大会の直前にキャディを頼んだ東名CC所属の里祐太郎プロ。アマチュアとして出場した2014年に知り合った「グリーンのマスター」が復活をサポートした。

「前の組がバーディパットを外したのは歓声で分かったので、開き直ってバーディ獲ったらカッコいいなと思っていました」。リードが2打あることを確認した森田は最終18番パー5も積極的にプレー。最後は8メートルのバーディパットが惜しくも左を抜け、バーディ締めとはならなかったが、わずかに残ったウィニングパットを沈めると、右手を上げて、笑顔で歓声に応えた。

“積極的”は最終日のキーワード。キャディを務めた里プロは「今日のようにグリーンのスピードが出ていて、ピン位置も厳しいと安全に行くより、攻めたほうがいい」。コースを知り尽くす所属プロは広いサイドに乗せて、結果的に難しいパットを残すよりも、ピンを積極的に狙うことをすすめたという。

グリーン上でも強い味方だった。森田もこの大会にはジュニアのころから出場しており、グリーンは把握しているが「彼はグリーンのマスターなので(笑)。ラインを確認する程度なんですけど、ひと言、ふた言あることで、間違いないと自信を持って打つことができました」。

キャディを依頼したのは直前になってから。本来はマネジャーでもある妹の唯さんがバッグを担ぐ予定だった。「先週の『日本女子オープン』(5位タイ)で調子が良かったので、妹にラインを聞くよりいいなと思って、ダメ元でお願いしたらまさかのOKでした」。優勝はともかく、いいプレーができるという手応えを感じていたからこそ連絡を取った。

勝てなかった6年のあいだにシード落ちも経験したが、それ以上につらかったのが今シーズン。6月末に新型コロナウイルスに感染し、2試合を欠場した。さらに「治ったので次の試合会場に行ったら、練習日にまた体調が悪くなって、病院に行ったらRSウイルスでした」。再び2試合の欠場となり、7月は1試合も出られなかった。

復帰してもコンディションはすぐには戻らない。「気持ちは焦りしかなくて、現実を受け止めながら、気晴らしにトレーニングをダンスに代えてみたり、ゴルフ以外の時間を充実できるように模索していました」。苦しんだぶん、今回の優勝の喜びは大きかった。

次戦から3勝目を目指して再スタートを切る。残り7試合となった今季の目標を問われると「勝てると思っていなかったので、まずこの優勝を自信に変えて、気持ちを切り替えて頑張りたいと思います」。今度は6年も待つことにはならないはずだ。(文・田中宏治)

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