米ツアーで“史上最悪の酷暑” キャディが熱中症で途中交代に

熱中症で倒れたハリス・イングリッシュ(右)の“代役キャディ”を務めたアンドリュー・アーゴツィンガー(撮影:GettyImages)

<フェデックス・セントジュード選手権 2日目◇11日◇TPCサウスウィンド(米テネシー州)◇7243ヤード・パー70>

コースを歩く選手たちのウェアはずぶ濡れだった。雨のせいではない。PGAツアー史上“最悪の暑さ”により、湧き出る汗を止められなかったからだ。

記録的な猛暑に見舞われる日本列島。今年は世界でも『観測史上最も暑い夏』になるという推測もされているが、それを象徴するような暑さがTPCサウスウィンドを襲った。

「キャディには『こんな暑さ、何でもないよ』って言ってたんだけど、きょうになって僕の間違いに気づいたよ。いつもとは違う暑さだ」

そう語ったのは、トータル9アンダー・単独2位につけたジョーダン・スピース(米国)。この日の午後、気温と湿度で計算される指針『ヒートインデックス』は「111」に達した。熱中症のなりやすさは“非常に危険”とされる値で、この数字はPGAツアーの最高記録とも言われている。

「きょうは(汗がしみこんだ)シャツのおかげで、体重が5ポンド(約2キロ)増えた」とスピースが言えば、単独首位に立ったルーカス・グローバー(米国)は「今朝、シャワーを浴びてもこんなに濡れなかったよ」と苦笑いを浮かべるしかなかった。

一番の被害を被ったのは、米ツアー通算4勝のハリス・イングリッシュ(米国)と、そのキャディを務めるエリック・ラーソン氏だろう。

イングリッシュが2ホール目の11番にさしかかったときだった。ラーソン氏は靴紐を結ぼうとかがみ、立ち上がった途端にふらついた。熱中症だった。

ラーソン氏は点滴で治療を受けることになり、イングリッシュは“キャディ交代”を余儀なくされた。幸い、たまたまギャラリーとして訪れていたゴルフプロ、アンドリュー・アーゴツィンガーがバッグを担ぐことになり、プレーを継続することができた。この日イングリッシュは「71」と1つ落とし、トータル1オーバー・57位タイに後退した。

このプレーオフシリーズ第1戦には、松山英樹らポイントランキング上位70人が出場。第2戦には50人のみが進出できるため、今大会で20人が蹴落とされる。生き残りをかけた“熱戦”は週末も続く。

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