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伯父との約束が生んだ覚悟 バンカーからパターで無敵のジャンボ撃破【名勝負ものがたり】(No.168671) | ツアーニュース | ツアー情報 | ゴルフのポータルサイトALBA.Net|GOLF情報

抱えられたわけではなかった(撮影:ALBA)

歳月が流れても、語り継がれる戦いがある。役者や舞台、筋書きはもちろんのこと、芝や空の色、風の音に至るまで鮮やかな記憶。かたずをのんで見守る人々の息づかいや、その後の喝采まで含めた名勝負の数々の舞台裏が、関わった人の証言で、よみがえる。

第3回は合田洋。1994年日本プロゴルフ選手権の初優勝と、それがもたらした天国と地獄だ。「バンカーからパターで打って優勝した男」と呼ばれた戦いの相手は、絶好調の尾崎将司。熾烈な戦いに終止符を打ったシーンを、今も記憶する人は多い。10年シードも手にしてツアーの“顔”の一人となった合田だが、これは地獄の一丁目でもあったことを後に知る。

ジャンボ尾崎は“高弾道低スピン”で飛ばすパイオニアだった【連続写真付きスイング解説】
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台風襲来直前の強風が吹き荒れるレイクグリーンGC(岐阜県)18番。ジャンボに1打差をつけた合田の第2打は残り165ヤード。5番アイアンを振り抜いた感触は完璧だった。「20ヤードくらい奥のピンに軽いドローでかぶっていった。バーディーチャンスだ」と思ったのも束の間。ボールは、強烈なアゲンストに戻され、グリーン手前。バンカーにつかまった。ジャンボの第2打がグリーン手前の横の寄せやすいところにあるのを見て、一瞬、勝負をあきらめかけた。「オレ、勝てないんだ…」。だが、すぐに打ち消した。「『いや、まだ終わってない、終わってない』って言い聞かせていました。後でテレビの映像を見ると首を横に振っているのが映っている」。

決して難しいライではない。パーセーブして優勝するためには9番アイアンで寄せるのが最適なのはわかっていたが、ショートゲームは今一つ。様々な条件からはじき出した答えが、パターで寄せることだった。

「どんな状況でもいいスコアを出せることを一番に考えていた。すごいアゲンストの中で一番転がってくれると思った。パターならチャックリもない。生まれて初めてバンカーからパターで打った、ダメならボロカス言われるだろうけど、まあ、いいや」。そんな心境だった。

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