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【試合後コメント/浦安 vs 横浜】古巣・盟友相手に惜敗も大きな手応え「数的優位を作るという、自分たちのフットサルの積み上げができてきた」(鳥丸太作監督)

1月21日(土)、Fリーグ2022-2023 ディビジョン1第20節、バルドラール浦安 vs Y.S.C.C.横浜が行われた。

第1ピリオド中盤に浦安の現役高校生ピヴォ・柴山圭吾が前線で起点となり、右サイドで強引に縦突破。マイナスの折り返しを東出脩椰が決め、ホーム浦安が先制する。第2ピリオドに入り横浜が徐々に攻勢を強めるも、浦安の守護神ピレス・イゴールの牙城を崩すことができず、初のプレーオフ出場を狙う横浜はアウェイで0-1の敗戦を喫し、他の試合の結果を含めた今節の結果、可能性が消滅。今シーズン、鳥丸太作監督と共にチームを再構築してきた強みを出しながらも、あと一歩、上の舞台には届かなかった。

試合後、鳥丸監督が会見に出席した。

■この試合のハイライトはこちら(ABEMAビデオ)

鳥丸太作監督(Y.S.C.C.横浜)

プレス回避ではなく「ビルドアップ」

——試合を振り返って。

負けてしまったのは当然、悔しいですね。ただ、自分なりにこの試合の評価をすると、結果は出ませんでしたがすごく面白い試合で、僕らとしても内容は良かったかなという印象です。負けたからといってそこまで下を向く必要はないと思っていて、選手には胸を張ってもらいたいという気持ちがあります。

12月に立川戦、町田戦と連敗してしまった後に「改めて自分たちのフットサルを積み上げていこう」という話をしたのですが、それがある程度はできていたという意味では良かったと思っています。

勝てなかったのでそれ以上に悔しいというのが一番ですけど、自分の評価として、内容は悪くないゲームだったと思っています。

——鳥丸監督は今シーズン就任されてから素晴らしい手腕を発揮されていると思いますが、どういったところがうまくできていると感じていますか?

チームの一番良いところは、僕がフットサルで一番楽しいと思う部分でもあるのですが、みなさんが言うところの定位置攻撃、4対4の攻防ですね。ボールを持った時にみなさんが「プレス回避」と表現しているところを僕は「ビルドアップ」と呼んでいるのですが、プレスを回避するだけではなくて、そこで自分たちの優位性を作っていくということをトレーニングのなかでよく行っています。

スペースがある場所での堤選手の個を生かした攻撃やグループでのコンビネーションもありますけど、基本的に僕らのチームにおける優位性とは、数での優位性を作っていくということで、今日の試合のなかでも何度もそういった現象を創り出すことができていました。選手たちは僕が求めることを体現してくれていましたし、その部分は今シーズン積み上げができたと思っています。

——プレス回避ではなく「ビルドアップ」と表現する理由を教えてください。

これは僕のイメージの問題にもなってしまうのですが、「プレス回避」というと単に前にボールを進ませているような印象があって、僕らはその先の相手DFを壊すというところを意識していて。壊すというのはすなわち、先ほど言ったように数的優位を作るということを狙いとしています。

プレスを回避してボールを前進させることができたとしても、相手と同数だとそれほどチャンスにはならないなという印象があります。特にFリーグのような高いレベルではなおさら、人数が揃った状態で、ましてや今日のように相手にディドゥダ選手や(ピレス・)イゴール選手、石田(健太郎)選手らがいるような状況で相手守備陣を壊すのは難しいです。

僕が「ビルドアップ」と呼ぶのは、プレス回避ではなくてディフェンスを壊すために自分たちで攻撃を構築していくという意味でそのように表現しています。それが言葉としてどれくらいチームに浸透しているかは分かりませんが、選手たちは僕が求めていることを理解してくれていると思います。

——今日は浦安のイゴール選手が素晴らしいプレーを連発していました。普通に打ったのではなかなか入らないなかで、相手ゴール前の最終局面に関して選手たちに具体的な指示を出すなどはしていましたか?何度かチームとしてイゴール選手を釣り出して決定機を作っていましたが。

得点を取るという部分に関しては、試合中に具体的な指示は出していないですね。ただ、いつも選手たちにも言っているのですが、押し込んだ状態で攻めている時は(相手にボールを奪われても)自分たちがすぐに回収できるような配置を作る、というのは意識しています。

要するに、いわゆる「カウンターのカウンター」と呼ばれるような部分ですね。ボールを失った時に、例えばフウガが「切り替えゼロ秒」という表現をしていますけど、そうではなくて、ボールを奪われる前からその準備をしておく、そして再びチャンスにつなげるというイメージです。

それに加えて、よく「フィニッシュトライアングル」と呼ばれますが、攻撃の最終局面ではこういうふうに人数をかけてそれぞれのポジションに入っていこうというのは意識的に落とし込んでいます。

松井大輔のその先の領域が見られる

——選手がミスをして「ごめん!」と言った際に鳥丸監督から「全然気にしなくていいよ!」と声をかけていました。すごくモチベータ—でもあると感じたのですが、元々そういったマインドを持っていたのか、それとも監督として意識的にそのように振る舞っているのか、どちらでしょうか。

これはもう今では笑い話なのですが、僕が浦安でプレーしていた時の話で。今日負けてしまった相手の小宮山友祐監督が、僕がミスをする度にすごく怒鳴るんです(笑)。僕は「うるせーよ」と思ったりもしていましたけど(笑)。

でも失敗を恐れながらプレーすると選手としてはやっぱり楽しくないですし、例えば今日のようにセンターレーンのライン間の狭いスペースを利用するのってすごく勇気がいることだと思うんですね。ただそこをうまく使えた時はやはり数的優位のチャンスが生まれやすい。そのなかで、ミスを恐れずにそこにパスを入れられるようにというのも含めて、そういう雰囲気を作るようには心掛けています。

——残り4分を切ったあたりでパワープレーを開始しました。1点差で、イゴール選手の好守もあって流れからゴールが生まれないなかで、リスクをかけてでも数的優位を作って攻める、という狙いだったのでしょうか。

そうですね。浦安のファウルが5つ溜まっていたので(そのまま第2PKも狙いつつ普通に攻める方法と)どっちもありだなというのはありましたけど、ただ……(レフェリーが笛を)吹いてくれないんじゃないかな?という印象もあって。あとは準備してきたパワープレーを試したいなというのもありました。

小宮山監督と茨木(司朗)コーチがどんな反応をするのかなと思いつつ、横目で2人の表情をチラチラ見ていて。こういう緊張感のある重要な公式戦ではありますけど、その辺は自分も楽しんでいました。

——かつてのホームアリーナで指揮を執ったお気持ちを聞かせてください。

感動しましたね。アウェイですけど、今日ここに来たらすごく懐かしい気持ちになりました。昔、浦安でプレーしていた頃は毎日20:30頃に駐車場に着いて、ディズニーランドの花火を見てから練習に行ったなーなんてことも思い出して(笑)。

改めてすごくいいアリーナだなと思いましたし、ここで練習できていたことはすごく幸せだったなと感じました。

——今日は松井大輔選手も長くピッチに立っていました。鳥丸監督から見た現状の松井選手のフットサルへの順応具合や、これからどのように進化していきそうかといった展望を教えてください。

松井選手はやはり僕が想像できないようなアイデアを持っているので、そこをいかに発揮するか。で、具体的にピッチ上のどこでそのタレントを発揮するかと言ったら、先ほども触れたセンターレーンのライン間なのかなと思っています。フットサルのプレー歴が長い選手は、どこが前を向くタイミングかとか、単純にボールの扱いを含めて慣れていると思うんですけど、もっと彼の体に馴染んでいけばその先の領域が見られるのではないかと予想しています。

僕が見る限り、シュートだけでなく相手を欺きながら味方を生かすことがすごく上手な選手だなと思います。まあ彼の立ち位置からすると当たり前かもしれませんが、見ているだけで楽しい選手ですよね。

今日は浦安が非常にうまく対応していたので難しかったとは思いますが、練習中には周りが驚くようなプレーも飛び出すようになっていますし、そういう意味でももっとフットサルが体に馴染んでいけば、きっとさらに面白いプレーを見せてくれるんだろうなという印象を持っています。まだまだ伸び代ばかりだと思います。

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