【日本代表/WEB取材】星翔太が最後のW杯で示そうとしている、いくつかの集大成

ワールドカップ初戦を約3週間後に控える日本代表は25日、リトアニアW杯登録メンバー16名を発表。いよいよ本番モードへ、機運が高まってきた。

現在スペイン・ポルトガル遠征中の日本代表は、18カ月ぶりとなる国際親善試合のポルトガル戦(2●3)を皮切りに、ベネズエラ戦(2△2)と、アルゼンチン戦(1●2)の3つの強化試合を行った。

今季限りでの現役引退を表明している星翔太は、最後の大舞台を前に何を思うのか。コロナ禍の大会に感じること、弟・龍太と亡き父のこと、9年前のこと、Fリーグが15年で積み上げたこと、次の世代のこと。オンライン取材で、たっぷりと語ってくれた。

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僕らが先輩から受け継いだレガシーをまた次の世代に

──今季引退を表明している中、自身最後のW杯へ向けた想いとファン・サポーターへ意気込みをお願いします。

まずは選ばれたことを光栄に思います。こういう時代の中で僕らがこうやって海外で活動できて準備できいること自体が本当にありがたいですし、その実現のために動いてくださった方々に感謝したいです。僕としても最後のW杯になりますけど、2012年から止まってしまった日本フットサルの国際大会での歴史を動かすチャンスですので今までにない成績を残したいです。監督もよく言ってますが「自分たちが主役になる大会」にしたいと思っています。

今はコロナ禍で、現地ではなかなか観れないと思うので、画面越しでも僕らのプレーが日本のファン・サポーターに力を与えられるように、自分たちが今できることをピッチで表現して、チームスピリットを全面に押し出したプレーをしていきたいです。

──最後のW杯で弟の星龍太選手と一緒にメンバーに選ばれました。

W杯初戦を迎えるまでどういう気持ちになるかわからないですね。まだまだハードな試合が続きますしお互いコンディション崩してケガをしたくないので、その瞬間を迎えるまではわからない、ですが僕も龍太も目標にしていた(日本代表という)舞台で一緒にプレーできていることはものすごく嬉しいです。それに尽きますね。それこそ国内で最後の国際親善試合を戦ったパラグアイ戦の前に父が亡くなったということもあったので、父に届くようにプレーをしていきたいと思っていましたし、それをW杯の舞台で実現できればなおいいですし、そこで今までになかった歴史を作ることに貢献できたらいいと思う。そのための準備をしていきたいです。

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──経験豊かな星選手ですが最後だからこそ後に続く選手たちに伝えたいことは?

それはもちろんあります。それは今スタッフの木暮(賢一郎)さんが日本代表にいた時に僕も一緒に活動する中で、そういったことを伝えてもらって今の僕があるので。今は比較的、清水和也と一緒にいることが多いので彼に伝えていますし、室田祐希にも伝えています。2人には日本代表のそういったところを今後は担ってほしいと思っています。少しでも歴史が積み重なるように、僕らが先輩から受け継いだレガシーをまた次の世代に渡してさらに向上させてもらいたい。昔のことをただやっていくのではなくて、今の時代に合わせたものを彼らなりに表現していってほしいと伝えています。

──久しぶりの国際試合で感じたものは?

他の国と試合できるのはすごく良いなと思う反面、やはり国内でやりたかったというのはあります。ここまでの3試合ともお客さんが入っていましたが、昨日の試合に関してはブルーノ監督の地元ということもあって、試合中に日本の曲を流してくれたりとか、ホームゲームのような準備をしてくれたので後押しをすごく感じましたけど、やはり日本のファンの前でプレーしたかったというのが本音です。それができなかったことは残念ですけど、試合ができたということでは去年1年間我慢したことが出せている。試合があることはチームとして成長できるチャンスだと捉えて臨めています。

──9年前の壮行試合ではブラジルに引き分けてウクライナに勝って本大会に乗り込んで良い結果を残しました。あれから9年が経って日本の成長を感じさせる戦いができていると思いますが、両大会を体験している星選手から見て手応えはどうですか?

Fリーグができて15シーズン目で、その積み重ねは間違いなくあると思っています。環境が整ったり、YouTubeとかで海外の試合を見られるようになっていることは今の日本代表の強化においては間違いなくプラスになっています。当時と違うのは、2012年はカズさん(三浦知良)が来て、ものすごく注目度が高くて「結果を残さなければいけない」というプレッシャーがあった。今回は前回大会の出場を逃しているからこそのプレッシャーがある。目線は全然違いますけど、プレッシャーという部分では同じものがあります。その中でFリーグで育ってきた選手が良くも悪くも海外の選手を知らないが故に、過剰なリスペクトをしない良い環境ができているのは大きいと思っています。リスペクトしすぎてしまうとどうしてもプレーが縮こまって、相手に飲み込まれることがありますがそういったことがないので、そういった部分がピッチでの良いプレーに繋がっていると思います。ただここから先、3試合ありますし映像も相手の国にどんどん渡っていくと思うので、そういう中でどういう準備ができて、どういうオプションを増やせるかが僕らにとっても課題になります。そこに関しては今後コミュニケーションを取ってよくしていきたいです。

──ブルーノ監督は「あとは決めるだけ」と話していたが、ボールを保持した後の攻撃のフィニッシュに課題を感じます。

レフェリーの基準や強度の違いが間違いなくあって、日本のリーグよりはスピードも速くて決断速度も求められるので、そういった部分での誤差が攻撃の最後の部分に出ると思います。数日前のアルゼンチン対スペインの試合を見たときに、彼らが綺麗な形でフィニッシュにいっているかと言われるとそうではなくて、彼らもシンプルな攻撃をやり切ることがあるからゴールも生まれている。そう言った部分が日本代表にはまだまだ足りないというのは、監督からも話がありました。あとはそこでシュートを打ち切って、そこに信じてセグンドに飛び込めるかとかそういうところになってくる。監督が言うように、決め切る場面までは来ていると思うので。あとはセットプレーですね。僕らの武器はセットプレーとカウンターになるので、そこの精度をもう少し上げていきたいです。

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