
2025年末に行われた高校バスケットボールの全国大会「ウインターカップ」。
男子は福岡県の福岡大学附属大濠高等学校(2年連続5度目/以下:大濠)、女子は大阪府の大阪薫英女学院高等学校(初優勝/以下:大阪薫英)が、それぞれ優勝という形で大会を締めくくった。
本記事では、ウインターカップ会場にて行われた女子決勝、ならびに男子準決勝・決勝の計4試合において確認・撮影した写真の中から一部を抜粋し、高校生たちが実際に着用していたバスケットシューズを紹介していく。
高校バスケ界のトップクラスの選手たちは今、どのようなバッシュを履き、どのような基準で選んでいるのか。現役の競技者にとって次の一足を考える際の参考として、また、これからバスケットを始める息子さん・娘さんを持つ保護者の方にとっても、ぜひ知っておきたい情報をまとめた。
ウインターカップ2025で高校生が履いていたバッシュ事情
高校生世代は、競技レベル、本人の流行への感度、部活動の規定、保護者の購買判断など、さまざまな要素が交差する存在であり、「バッシュ市場」においてもっとも現在のトレンドが表れやすい世代である。今回のウインターカップに出場するような全国レベルの学校では、数カ月に一度バッシュを買い替える選手も多く、複数のバッシュを所有してローテーションしているケースも珍しくない。
結論から言えば、今回ウインターカップ会場では男子はNIKEの着用率が高く、女子はアシックスの白系モデルがほぼスタンダードという明確な傾向が見られた。価格帯も1万円台前半から中盤のコストパフォーマンス重視モデルが主流となっており、近年の高校生バッシュ市場の変化がはっきりと表れている。
Bリーグに目を向けると、プレミア価格がついた「コービーシリーズ」や、1足3万円前後の「ジョーダン」「レブロン」を着用している選手は多く見受けられる。もちろん今回のウインターカップでも、それらのモデルを履いている選手は一部見られたが、本稿ではそれらを主な対象とはしていない。あくまで“買いやすい価格帯”で、かつ“今の流行”を反映したバッシュを中心に紹介していく。
男子:NIKEが圧倒的シェア。学校ごとの特徴も

準決勝で福大大濠に惜敗した鳥取城北を支え、エースとして獅子奮迅の活躍を見せたハロルド・アズカは、NBAで「死神」の愛称でも呼ばれるケビン・デュラントのシグネチャーモデルである「NIKE KD16」を着用。アズカの「KD16」は「NIKE ID」と呼ばれる、自分で好きな色を選択してバッシュをオーダーメイドできるサービスを活用して作られたバッシュであり、鳥取城北の「赤」に合わせて作成しているのがわかる。
今、KDは「KD18」が販売されているがカラーによって価格が変わり2万円前後。ただし、一個前の「KD17」は1万円前半のカラーも販売されており、店舗によっては「KD16」も1万円を切る価格で販売がされている。

準決勝で東山に敗れてしまった福岡第一と言えば、先日怪我から復帰しNBAで2way契約を結んだ河村勇輝の母校である。そんな母校・福岡第一は、2025年12月19日に一般販売開始された、彼とアシックスが共同開発した「ASICS SWIFTACE YUKI」を着用している選手が非常に多かった。ウインターカップで話題になった双子のガードコンビ「宮本ツインズ」も2人揃って着用していた。
こちらはアシックスの正規販売価格で23,100円(税込)。また、彼がその前に履いていた「ASICS UNPRE ARS」は、1万5,000円前後で販売されている。
👟ニューモデル発表👟
河村勇輝とアシックスが共同開発した「SWIFTACE YUKI」発売…12月19日から直営店・オンライン限定で展開https://t.co/M7jh3W9dLm
「SWIFTACE YUKI」は、河村とともにテストを行い、コート上でスピードを求める選手のために開発されたモデルとアシックスは発表しています⚡️ pic.twitter.com/8Y0LRdC2gd— バスケットボールキング (@bbking_jp) December 1, 2025

決勝で大濠に敗れたものの、大会を通して一番の注目度を集めたと言っても過言ではない京都の東山高校のエース・佐藤凪は、NBA随一とも言えるアスレチックなプレーで観客を魅了し続けるジャ・モラントのシグネチャーである「NIKE JA 3」を着用。「JA 3」は1万5,000円以内で買える良心的な価格と履きやすさを兼ね備える”高コスパモデル”としても業界内では話題で、新しいカラーが発売される度に即完してしまうほど。
現在は「JA 3」のIDがナイキでは購入可能だが、IDでも1万7,600円という安価な価格設定である。「JA 2」は店舗によっては1万円いないで購入できることもあるため、「JA 3」の在庫がなく物理的に購入ができない場合は、視野に入れても良いかもしれない。

今大会を優勝・2連覇で締めくくった福岡の福大大濠は、そもそもチームのサプライヤーに「ジョーダン」がついている。これによって、ユニフォームも移動のウェアも、移動中のスニーカーも、当然ながらバッシュも全員が「ジョーダン」を履いている。これは大濠のブランディングであり特権と言えるだろう。
5人横並びの写真で見ると、左から「ルカ1(白)」、「テイタム4(黒)」、「ルカ1(赤)」、「ルカ1(黄緑x紫)」、「ルカ4(ピンク)」といった具合で、全てジョーダンブランドである。ただし、ジョーダンブランドの中でも、左から2番目の白谷柱誠ジャックが着用する「テイタム4」は、1万6,500円で、ルカも同じくらいもしくは1万5,000円を切るほどの価格帯である。
なんとなく「ジョーダン=高い」と思われがちな印象があるが、最近のジョーダンはそんなこともなく手の届きやすい価格設定がされていることも多い。

今大会をもって引退となった3年生のサントス・マノエル・ハジメは「テイタム4」の黄色を着用していたが、このように派手なカラーリングもあるなど色展開も豊富。ジョーダンは高い、というイメージは昔ほど強烈ではなく、今はジョーダンも手に届きやすく、かつ好みに合った色も手に入りやすいと言えるだろう。
女子:ほぼ全員が「白」バッシュをチョイス
まず前提として、決勝に進んだ両チームはほぼ全員が「白」のバッシュを着用していた。「ピンク」や「水色」などの色付きのバッシュを履いている選手も数名いたが、ほとんどが白。男子と違って色付きのバッシュが少なかったとはいえ、「白以外はNG」ということはないはず。よって、白ベースのバッシュの中で自分の好みを見つける選手が多い傾向と言えるだろう。

惜しくも準優勝となった桜花学園は、写真のシーンは全員がアシックスの白を着用。左から「NOVA SURGE 3」、「GELHOOP V16」、「NOVA SURGE 3」、「UNPRE ARS 2」、「GELHOOP V17」で、全てアシックスの白を貴重としたモデルを着用。いずれもユニセックスのモデルであるが、やはりナイキやアディダスのような海外ブランドは「男性向け」に作られていることも多いため、おそらく足にフィットしやすいのであろう。
アシックスならではだが、いずれのモデルも1万5,000円以内の価格帯で、26年1月11日時点のセールなども含めれば、1万円前後で買えるモデルも多い。河村勇輝モデルの「SWIFTACE」シリーズは2万円を超えるが、桜花学園の選手たちが着用するモデルはいずれも手の届きやすい価格である。


一方、優勝した大阪薫英は、キャプテンの幡出がWNBAのスターでありNIKE初の女性シグネチャーモデルを出したサブリナ・イオネスクのシグネチャーモデル「NIKE サブリナ3」のIDを着用し、エースの三輪はWNBAでNIKE 2人目のシグネチャーを出したエイジャ・ウィルソンのシグネチャー「NIKE A'One」を着用していた。いずれもNIKEが出した女性向けのモデルであるが、この2シリーズは男子にも非常に人気なモデルである。「サブリナ3」は定価で1万5,730円、「A'One」は1万3,530円といずれも良心的な価格である。
最近の高校生バッシュの3大トレンド
コスパ重視モデルの台頭
ウインターカップの会場で特に顕著だったのが、1万円台前半〜中盤の価格帯モデルの着用率の高さだ。BリーグやNBAで見られるハイエンドモデルではなく、価格と性能のバランスに優れた実戦向けモデルが主流となっている。高校生世代では練習量も多く、消耗のスピードも早い。そうした現実的な事情もあり「1足3万円」ではなく「買い替えやすく、しっかり使える1足」を選ぶ傾向が年々強まっているのだろう。
軽量・ローカット志向
多くの選手が選んでいたのは、軽量なローカット〜ミッドカットモデルだった。近年はバッシュではなくサポーターやテーピングで足首を固定し捻挫防止対策をすることが多いため、ローカットのモデルを着用する選手がほとんどだったと言っても過言ではない。特にガードやウイング系の選手を中心に、俊敏性や切り返しのしやすさを重視する流れが明確に表れている。数十年前に主流だった重厚なハイカットモデルは少数派どころかメーカーが作っていないために絶滅危惧種となり、現代は機動力重視のシューズ設計がスタンダードだ。
デザインより「機能×価格」
男子は派手なデザインと機能性の両方を兼ね備える”高コスパモデル”が人気を集めた。一方で女子はデザイン面では派手さよりも、シンプルで実用的な配色が好まれる傾向が強い。とりわけ桜花学園の選手に多く見られた白系バッシュの着用率の高さは象徴的で、チーム規定やウェアとの相性、汚れの目立ちにくさなど、実用面を優先した選択がなされている。
様々なバッシュが販売されている今、バッシュ選びは「自分の好み」と、「使いやすさ」と「価格」のバランスが最優先事項であり、選手たちが豊富な種類の中から「選べる時代」になっている。

白靴下に白テーピングで目立たないようにしている。ローカットのバッシュにテーピングで捻挫対策を実施
まとめ|2026年に向けたバッシュ選びのポイント
2025年ウインターカップの現場から見えてきたのは、高校生バッシュ市場が「ハイエンド志向」から「実用・コスパ志向」へと明確にシフトしているという事実である。男子はNIKE、女子はアシックスというメーカー傾向はありつつも、共通して重視されているのは、軽さ・フィット感・グリップ性能、そして価格とのバランスだ。
現役の競技者にとっては、自分のプレースタイルと練習量に合ったモデルを選ぶことが最重要であり、保護者の立場から見ても、消耗を前提とした現実的な価格帯の選択が今後ますます重要になっていくだろう。2026年に向けたバッシュ選びは「性能・価格・継続性」の3点を軸に考えることが、もっとも合理的な選択と言える。
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