ビジネスとして見るNBA vol.1 - 収益構造編 -

NBA全体のお金の流れ

まず、一旦上記を整理しよう。

リーグ

放映権:年間約1兆円
スポンサー:年間約2,200億円

チーム

放映権:年間約210億円(推定最大値)
スポンサー:不明(ウォリアーズと楽天の20億円などから察するに100億円前後)
マーチャン:年間約333億円(推定平均値)
チケット:年間約82億円(推定平均値)

NBAのお金の流れについて簡単な図解

リーグ・チームともに全ての情報を公開していないため、あくまで「推定値」となるが、リーグは1.2兆円の収入があり、各チームは低く見積もっても500億円以上の売上はあるはず。確実に言えることは、過去NBAからのリリースで、「2021-22シーズンのウォリアーズは、リーグ史上最高の収益 (7億6500万ドル=約1,110億円)を記録した」とあった。 当時のウォリアーズはまさしく王朝を迎えていて、エースのステフェン・カリーの人気が絶頂とも言える時だった。

▼NBA Rakutenより https://nba.rakuten.co.jp/news/8863

リーグとチームの収益分配

当然ながら、上記の例でいくと、2021-22シーズンのウォリアーズは売上がMAXで、当時全く人気のなかったチームは0がひとつ無いくらいの収入だった可能性は多いにある。その状況になってしまうと「人気なチーム=収入も良い=選手も入りたがる」という構造が出来上がってしまうため、「資金力や人気のあるチームだけが潤う」ことになる。 それを避けるためにNBAは「レベニューシェア」として、簡単に言うとリーグの収入をチームに分配する仕組みを作っている。わかりやすいところでいくと「放映権料」については「主に全国放送とローカル放送の放映権料を合算し、一定の割合を各チームに分配する」という形。 まず、リーグの放映権の1兆円を仮に30チームで分けたとしたら約333億円。

その上で、例えば「メディアの収入は200億円になるようにしよう」といった具合の話が行われた場合に、Aチームはローカルメディアの露出が多く100億円の売上があったとしたら、100億円を分配する。Bチームはまだまだ人気がなく露出が低く10億円しか売上がないとしたら、190億円を分配、といった具合で、各チームの収入のバランスが保てるように分配金の仕組みが作られている。(あくまで分かりやすく伝えるためにこの表現を用いているが、厳密に言うとこの通りにはならない。ただ、このように分配金が支払われていることは事実である)

非常にざっくり伝えると、このような形で放映権だけでなくスポンサーやマーチャンダイジングなどにも分配金がある。だからNBAの各チームは安定的な経営ができるようになっている。 とはいえNBAは、選手の契約に使って良いとしているチーム全体の選手の契約額の上限「サラリーキャップ」を年々上げてきている。いくらリーグからの分配金があったとしても、人気や売上が追いつかないチームがあるのは、現実問題として今も議論がなされている。

次回は、そんな「サラリーキャップ」について。

 

▼2024-25シーズンのサラリーキャップ

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