日本人でシグネチャーモデルを持つ選手っているの?【SHOE-LOG vol.4】

八村塁、河村勇輝など今をときめく日本人NBA選手たちによる経済効果はどのようなものがあるのかを別企画で紹介した歳、バッシュやファッションについても軽く触れた。八村はジョーダンブランドの一員としてジョーダンのバッシュを履き続けているし、河村はasicsの「UNPRE ARS LOW」で自身のオリジナルモデルを作ったことも記載をしていた。

ただ、日本人選手で自分のために作られたバッシュを持っている選手は他にいないのか。
今回は、この2人を除いて紹介していこう。

関連記事:八村塁、河村勇輝…… 日本人NBA選手の影響力 -ビジネスとして見るNBA vol.6 -

そもそもシグネチャーモデルとは。スペシャルエディションとは?

バスケットボールにおける「シグネチャーモデル」には、大きく分けて3種類ある。以下にまとめるため、まずはこちらを確認して欲しい。

1 シグネチャーシューズ 名前やロゴを冠した正式モデル 例:ジョーダン、レブロン、コービーなど
2 準シグネチャー/スペシャルエディション 当該モデルの特別版、国内限定 例:八村、河村など
3 コラボ、タイアップ 本人名義ではないが特別デザインや広告使用 -

バスケットボール選手としては、やはり自分自身がデザインから機能性から全てを希望通りに作ってくれる「シグネチャーシューズ」を出すことは、間違いなく1つの目標である。わかりやすいところで「ジョーダンシリーズ」や「レブロン」「コービー」などがあり、人気モデルは即完。プレ値がつくこともしばしばある。

一方で、準シグネチャー以降は、モデルによっては非常に人気が出て即完することもあるが、販売エリアが限定される場合もあるため通常の「シグネチャーモデル」には売上等も見劣ってしまう。とはいえ、0から全てを作ることはできずとも、自分のロゴを入れたり自分が好きなカラーリングを採用してくれたりするため、一部的な”本人仕様”であることは間違いない。

ちなみに、この後詳細に触れていくが、実は日本人選手でシグネチャーシューズを出したのはたった1人だけである。そのほかは八村、河村含めて全員準シグネチャーでバッシュを出している。

富樫勇樹 / CONS UNAVERAGE MID / シグネチャー

日本バスケが始まって以来、NBAに行った選手を含め誰も達成することができなかった「シグネチャーシューズ」を初めて作ったのが富樫勇樹(千葉ジェッツ)である。日本人選手として初のシグネチャーだけではなく、コンバースとしても日本人選手で初めてシグネチャーを製作することとなった。

シューズの開発には富樫自らが開発に深く関わっている。富樫自身が得意とするクイックネスと横の動きなどをしっかりと支えるための機能を搭載し、また黒がベースの赤がアクセントになっているデザインについては、富樫が持つスピードやエネルギー、闘志をイメージした「光」と「炎」をイメージとして落とし込んだ。同時にシュータン部分には富樫を象徴するオリジナルロゴも制作・配置された。

2025年12月に発売を予定している「CONS UNAVERAGE MID」。富樫自身は発表会見にて「自分とコンバースさんの両方の思いを上手く形にできた。機能性を重視して素晴らしいシューズを作っていただいた。初めてロゴも作っていただいて喜びもありました。多くの人に履いてもらえると嬉しい」と語っていた。
日本人初のシグネチャーシューズの発売まで残りわずかとなったが、その瞬間を待ち侘びている人はきっと多いはずだ。

田臥勇太 / AIR ZOOM BRAVE / 準シグネチャー

宇都宮ブレックスのレジェンドであり、先日JBAの新理事就任も発表された田臥。
日本人初のNBA選手でもある田臥の活躍をキッカケにナイキジャパンが大きく動いて開発されたのが「AIR ZOOM BRAVE」。2004年11月にNBAデビューを果たしたことを記念して開発された初代BRAVEは、2005年に発売された。以降、翌年の2006年には「BRAVE 2」が発売され、2009年11月には「BRAVE 3」がNIKE HARAJUKUのオープン記念として制作された。どのモデルもカラーバリエーションが豊富であり、「BRAVE 2」に関しては田臥の母校である能代工業(現:秋田県立能代科学技術高)のカラーリングである「白 x ネイビー」を配色したモデルなども販売された。

そもそも「AIR ZOOM BRAVE」は、田臥勇太の「勇」=「Brave(勇敢)」という彼の名前から取ってネーミングされているものの、完全なシグネチャーは「選手名」を冠しグローバル販売されるため、日本市場向けに開発されたBRAVEは準シグネチャーモデルである。

ちなみに、田臥がNBAデビューを果たした試合で着用していたのは「NIKE ZOOM FLIGHT 5(以下フライト5)」である。このモデルは1996年にNBAの名ポイントガードであるジェイソン・キッドのシグネチャーシューズとして登場し、世界中で爆発的な人気を誇ったモデルである。

生産中止になったフライト5の復刻にて、30代半ば〜40代のバスケ好きが沸いたシューズ「Nike Air Zoom GT Cut 3 'Air Zoom Flight 5'」

富永啓生 / Curry Flow 12 “SAKURA” / 準シグネチャー

今年、NBA Gリーグから日本のBリーグに活動拠点を移した富永。富永は2023年5月にカリー・ブランドと契約した日本人初の選手になった。
そんな彼が今年2025年の春に、自身初の準シグネチャーとして「Curry Flow 12 “SAKURA”」を制作。世界30足限定で販売された同モデル。デザインコンセプトは、日本の象徴である桜の花と、彼が卒業した愛知県の「桜丘」高校からとっている。
ちなみに細部にも拘っており、シュータンには日本国旗を配置。あくまで富永専用のプレイヤーエディションである。この配色を気に入ってカリー自身も着用したことがニュースにもなった。富永の日本文化への愛情やカリーブランドとのコラボレーションの結晶として誕生したこのバッシュは、多くのバスケファン・スニーカーファンから注目を集めた。

まとめ

シグネチャー 富樫勇樹 CONS UNAVERAGE MID
準シグネチャー 田臥勇太 Nike Air Zoom Brave, Brave II, Brave III, Brave 1.5 など
準シグネチャー 八村塁 Air Jordan XXXVI, XXXVII Rui Hachimura PE など
準シグネチャー 河村勇輝 asics UNPRE ARS
準シグネチャー 富永啓生 Curry Flow 12 “SAKURA”

 

前回記事:
カリーはなぜアンダーアーマーに?メーカーと選手の意外な関係性【SHOE-LOG vol.3】