「Gリーグ」の“G”は○○の頭文字!? コアファン編集部員に聞くNBA講座 vol.3

ジョーダンの話やお金周りの話を聞いてNBAに興味津々ではあるが、そもそもNBAの仕組みを理解していない。例えば、シーズンの日程は何月から何月なのか。B.LEAGUEからNBAに挑戦した河村勇輝選手が所属していた下部リーグとは一体なんなのか。等々。

同じスマートスポーツニュース編集部員のNBAコアファンに、今回はNBAの概要について改めて聞いてみる。

▶もしジョーダンが今のNBAにいたら?コアファン編集部員に聞くNBA講座 vol.1

▶︎NBA選手ってお給料いくらなの?コアファン編集部員に聞くNBA講座 vol.2

NBAのシーズンは、何月から何月なの?

槌谷:俺、NBAの基本的知識が無いなと思ったのよ(笑)。今はプレーオフ中だと思うんだけど、NBAのシーズンって何月から?

コアファン部員:NBAは毎年10月から4月がレギュラーシーズン、4月から6月でプレーオフです。

レギュラーシーズンは82試合あるのですが、41試合がホーム、41試合がアウェイ。EASTとWESTに分かれていますが、これは順位を決めるためのもので、例えばEASTのチームが「EASTに所属するチームとの試合の方が多い」といったことはなく、満遍なく試合します。

例えば西海岸のロサンゼルスのチームが、東海岸のボストンまで移動して試合する、とかもあるんですが、これは約4,200kmあって飛行機で5時間半かかるそうです(笑)。

槌谷:年間82試合の中の1試合に、飛行機片道5時間半の移動はなかなか過酷だねぇ。

コアファン部員:あまりにも遠い遠征になると、移動だけで疲れるじゃないですか。それを加味して、近年は「ロードマネジメント」と言って、スター選手をあまりに遠い遠征には連れて行かないでお休みさせることもやったりするんですよ。

海外からはるばる来たファンからすると「おい!なんで相手の誰々が出てないんだよ!」ってクレームに発展することもあるんですが、そうやって、特にスター選手は大切に扱うことも増えていますね。

もちろん超遠方での試合のあとは中2日とかあるんですが、中1日で試合することも多いので、最近「そもそも82試合もやる必要ある?」みたいな議論もあったりしますね。

 

NBA プレーオフのスケジュール

槌谷:なるほど。ちなみにプレーオフは、今ファイナルのGAME.4が終わったんだよね?どうやったら優勝が決まるの?

コアファン部員:NBAのプレーオフは、今やっている決勝を含めて”4戦先取方式”なんですよ。だから最大GAME.7までやります。今は2勝2敗の状態なので、GAME.6までは確実にやりますね。

また決勝含め全て「ホーム&アウェイ」で試合を行うので、細かい話ですが「2-2-1-1-1」の形です。例えば今のFINALSだと以下の形になります。

・GAME.1-2:オクラホマシティ(サンダーのホーム)
・GAME.3-4:インディアナポリス(ペイサーズのホーム)
・GAME.5:オクラホマシティ(サンダーのホーム)
・GAME.6:インディアナポリス(ペイサーズのホーム)
・GAME.7:オクラホマシティ(サンダーのホーム)

「なんで先にオクラホマシティなの?」と思ったかもしれませんが、これはシーズンの順位が高かったからです。3勝3敗でGAME.7までもつれたとしても、最後はホームでできる。まさにホームコートアドバンテージですね。

余談ですが、オクラホマシティからインディアナポリスまでは1,100kmくらいです。日本でいうと東京-福岡くらいの距離なんですが、これ、アメリカ規模で考えると飛行機で2時間程度なのでめちゃくちゃ近いです(笑)。「今年のNBA FINALSは近いから移動の負担が少なくて良い」みたいなニュースもESPNでありました(笑)。

槌谷:さっきのロサンゼルスからボストンの話から考えると、めっちゃ近く感じるな(笑)。

コアファン部員:FINALSなので当たり前ですが、スター選手が休むことは許されません(笑)。ここで優勝することが、NBA選手にとっては”全て”ですからね。

 

GリーグのGは「ゲータレード」のG

槌谷:あと、河村勇輝選手がプレイするっていうので話題になっていたGリーグって何?育成リーグのような位置付け?

コアファン部員:はい、正式名称は「NBA G LEAGUE」なんですが、この「G」はメインスポンサーの「ゲータレード」から来ています。「NBA ゲータレードリーグ」とか言われることもありますね。

このGリーグは、将来のNBA選手を育成することを最大の目的として運営されています。NBAも後援に入っていて、正式に「NBAの下部リーグ」として存在しています。B.LEAGUEからNBAに行った河村勇輝選手は、このGリーグとNBAの両方の試合に出場するという「2WAY契約」を結んでいて、基本的にはGリーグで試合に出て、コールアップされたらNBAの試合に出られるという形でした。

槌谷:河村選手は結局何試合に出たの?

コアファン部員:22試合でしたね。ただ、さっきの話じゃないですが、河村選手も様々なインタビューで答えていますが、結局深夜に「明日NBAの方で試合出るから」みたいな電話がかかってきて呼ばれる、というのが当たり前にあったみたいです。そうするとコンディション作るのも大変ですし、急遽飛行機を取ってロサンゼルスに行く、とかもしていたみたいなので、本当にタフですよね。

槌谷:でも、Gリーグで頑張れば、NBAに昇格するケースもあるわけでしょ?

コアファン部員:もちろんです!例えば、NBA FINALSでオクラホマシティ・サンダーに所属しているアレックス・カルーソっていう選手がいるんですが、彼はGリーグから這い上がった苦労人です。でもしっかりとローテーションに入っていますし結構活躍しています。
カルーソだけではなく、Gリーグから這い上がったNBA選手は、他にも何人もいます。

ただこれは本当に一握りですね。NBAから見てGリーグは「下部リーグ」なので、NBAでなかなかコンディションが上がらない選手に実践を経験させる場所としても使われます。そうすると、Gリーグの試合でNBAから来た選手が基本的にボール持って1対1をしてシュートを決めて終わり、みたいなこともあるそうです。

槌谷:なるほどな……。

GリーグとB.LEAGUEは、どっちの方が上?

槌谷:敢えてB.LEAGUEと比較するなら、GリーグとB.LEAGUEだと、レベルや年俸はどっちの方が上なの?

コアファン部員:どっちが上、というのは非常に難しいですね(笑)。B.LEAGUEもめちゃめちゃレベル上がってますからね。でも、やっぱりGリーグには、元ドラフト1位の選手とか、ヨーロッパで死ぬほど活躍した選手とかがゴロゴロいます。そういう意味では「NBA入り」だけを目指してメラメラしている選手がいるので、レベルはGリーグの方が高いかもしれません。

お金はGリーグの方が良いと思いますよ。河村勇輝選手の2WAY契約の金額は「NBAの新人選手の50%」と一律で決まっているので、具体的にいうと約8,500万円ほどです。B.LEAGUEが2026年に「B.革命」として打ち出していますが、B.LEAGUE PREMIERの新人の最低年俸は「800万円」と設定されています。これを見ると雲泥の差ですからね。

槌谷:そこは、いま盛り上がりを見せる日本のBリーグの今後に期待でしょう。ところでさ、北海道に富永選手が入ったんでしょ?富永選手は何か関係あるんだっけ。

コアファン部員:めちゃめちゃ関係ありますね(笑)。富永選手はおっしゃる通り、2025-26シーズンをB.LEAGUEのレバンガ北海道でプレーすることが決定しています。去年は今まさにFINALSで戦っているインディアナ・ペイサーズのGリーグチームの「インディアナ・マッドアンツ」というところにいたのですが、なかなかプレータイムをもらえてなかったんですよね。

富永選手は記者会見でも「より実践で自分のプレーを磨いて、プレーメイクもディフェンスも成長させたい」と言ってましたので、そういう意味では「プレータイムをたくさんもらって自分のプレーはこれだ!」とPRできるのは、GリーグよりもB.LEAGUEの方があるかもしれません。良くも悪くもGリーグは「自己PR合戦」なので、あんまりチームプレーがない、という話もありますし、先ほどのNBAからの政治的派遣もあるので、多くの人が「富永選手の選択は賢い」とも言っていますね。

槌谷:なるほどな。Bリーグがトップリーグであることの意味と、あとやっぱり選手は自分がプレーしてこそ価値を発揮できるからね。

コアファン部員:今B.LEAGUEはNBAと戦略的提携としてパートナーシップ契約を結んだので、これによってGリーグからNBAだけではなく、B.LEAGUEからNBAという道も今後ますますできてくるんじゃないかなと思います!