【NBA FINALS総括】サンダーが初優勝!シェイは史上4人目となるシーズンMVP、FINAL MVP、得点王の三冠獲得

MVP

シェイ・ギルジャス・アレクサンダー(初受賞)

サンダーは2024-25シーズンで68勝14敗でNBA全体で1位だった。シーズン中も圧倒的な強さを誇っていただけに、「サンダーは勝って当然」とも言われていた。そうなると逆にプレッシャーがかかることもある。ただ、その逆境を跳ね除けて、またペイサーズの勢いを止め切って優勝を勝ち取った。
MVPに選ばれたシェイ・ギルジャス・アレクサンダーは、シーズンMVP、FINALS MVP、得点王で個人賞3冠。1つのシーズンで3つのタイトルを受賞した選手は、NBA史上4人目の快挙であった。

ハイライト:GAME.1で見せたペイサーズの大逆転劇

PLAYOFFSに入ってからというもの、ペイサーズは”不屈の精神”で何度も大逆転劇を演じてきた。このGAME.1に関しても、ペイサーズがサンダーに先制パンチを喰らわせた試合となった。
バスケットボールは基本的には2点か3点しか入らない競技であり、NBAの場合は48分間何度も得点を積み重ねた結果が勝敗に影響する。野球のような逆転満塁ホームランの一発で勝利するようなことは絶対に有り得ない。勝つためにはヒットを積み重ねるしかないのだ。
「今日勝った・負けた」の判断軸になるのは大体「20点差」がひとつの目安となっているが、このGAME.1ではその一歩手前である「15点差」まで開いた。この逆境に立たされてから強いのが、今シーズンのペイサーズ。
最終的には逆転勝利をするのだが、ディフェンスでは相手の得点をシャットアウトし続け、残り0.3秒でエースのタイリース・ハリバートンがGAME WINNERを決めて、サンダーのホームで勝ち星を奪い取った。
NBA FINALSでは、GAME.1を勝ったチームが7割以上の確率で勝利するという統計もあったため、逆転劇を積み重ねてきたペイサーズが、勢いそのままに勝ち進むかと思われた。

ハイライト:”連敗”をしないサンダーが、GAME.4・5で連勝

敗れた次の試合では、シーズンとプレーオフ合わせて19勝2敗という成績を誇っていたサンダー。負けた次の試合で”ほぼ負けない”という脅威的な修正力・対応力を持ち合わせていたものの、GAME.1で敗れたことで1勝1敗を続けていては最終的にシリーズ敗退してしまうことはわかっていた。

ターニングポイントとなったのはGAME.4だろう。ペイサーズのホームで第3クオーター終了時点でペイサーズ7点リードの展開。この試合をペイサーズが取れば、3勝1敗で大手となった試合だけに、サンダーは絶対に負けられなかった。
勝負の第4クオーターで火を吹いたのは、エースのシェイと、相棒のJ-Dubであった。結果シェイは35得点、J-Dubは27得点して逆転勝利に導いたが、オフェンスよりもディフェンスが際立った試合でもあった。ペイサーズをわずか17点に抑え込み「思い通りにさせなかった」ことで勝利を手繰り寄せたのだった。

このシリーズでサンダーは2勝2敗のイーブンに戻したが、残り3戦ある中で2勝しないといけない。FINALSのレギュレーションで、残り3試合の会場はGAME.5 オクラホマ→ GAME.6 インディアナ→ GAME.7 オクラホマとなっていたため、サンダーにホームコートアドバンテージがあることは言うまでもなかった。

GAME.5はホームの声援を後押しに、第1クオーターから完全にサンダーのペース。特に、シェイの相棒のJ-Dubが40点のパフォーマンスでチームを牽引した。この40点は彼にとってキャリアハイの得点だったが「ここでキャリアハイを出すか」と多くの人を驚かせた。

ハイライト:オクラホマシティに初の栄冠!サンダーが激戦を制し王者へ

GAME.6では、第3クオーター終了時点でペイサーズが30点差をつけて圧倒。第4クオーターは両者主力を休める展開で、サンダーとしてはシリーズで初めて「勝ちを諦めた」試合展開となった。

3勝3敗で迎えたGAME.7。勝てば名実ともに「優勝」となるだけに、両者気合い十二分で望んだ試合だった。序盤はペイサーズのエースであるタイリース・ハリバートンが3本連続で3PTを決める展開。オクラホマシティのホームでありながら「やはり一筋縄ではいかない……」と思わせた。ただ、ハリバートンはGAME.6から右足の肉離れを抱えていた状態で、GAME.7も万全ではなかった。そんな彼に悲劇が起こる。第1クオーター残り4:55。ドライブで仕掛けようとしたタイミングで右足を負傷。まだ正式な診断結果は出ていないがアキレス腱故障という速報が流れ、暗雲立ち込める展開に。
それでもペイサーズは前半を48-47で1点リードし折り返すが、後半は完全にサンダーのペースだった。

“無い”と捨てられていたシェイの3PTも決まりだし、ディフェンスでもルーデンツ・ドートやアレックス・カルーソが大量のスティールを奪って主導権を握る。第4クオーターで最大22点差まで開いたこの試合は、一時ペイサーズに10点差まで迫られるものの、最後もドートが値千金のスティールでボールを奪い勝負あり。
サンダーがこのシリーズを4勝3敗で制し、NBA CHANPIONSの座に輝いた。

新時代の到来

このシリーズは、どちらがチャンピオンになっても史上初の王者となれるシリーズだった。またバスケットのスタイルとしても、スリーポイントを多く決めるバスケではなく、オフェンスの回数を多く行うことで勝利を手繰り寄せる「ポゼッションバスケ」を両チームともに敢行しとても早い展開が魅力となった。

また、両チームは選手との契約で使っていい上限:サラリーキャップを超えないでチームを編成しており、ラグジュアリータックス(贅沢税)を1円も払っていない。高いお金を払ってスーパースターを集めるのではなく、それぞれに与えられた役割をきっちりこなせる選手を集めて、全員で走る「ポゼッションバスケ」ができるチームが、今後NBAでは勝ち上がっていくことが予想されたシリーズでもある。

NBAの新しい勝ち方やチーム作り、もちろんシェイやハリバートンを始めとする新たなタレントが出てきたことで、来年以降のNBAは、新時代に突入していくはずだ。

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