<NBA名場面>NBAは、まずここから知るべし!年代別優勝チーム解説【NBA講座vol.5】

2003-04年/デトロイト・ピストンズ vs ロサンゼルス・レイカーズ

ここでは、スーパースターなんて1人もいなかったのに、スーパースター集団に勝ったデトロイト・ピストンズについて紹介したい。
レイカーズについて少しだけ紹介すると、ブルズの王朝が終わった後に時代を作ったのはレイカーズであった。コービー・ブライアントとシャキール・オニールによる「シャック&コービー」で、2000年、2001年、2002年にスリーピートを達成する。2003年はサンアントニオ・スパーズに敗れたことで4連覇への道は閉ざされたが、2004年に再びNBA FINALSに進出した。
ちなみに、この時のレイカーズのヘッドコーチは、シカゴ・ブルズで王朝を築いたフィル・ジャクソンである。

だが、この年のレイカーズはピストンズに負けたのである。しかも「4-1」でだ。
(負けた理由について話たいがそれは後編で)

2004年のデトロイト・ピストンズは、スターというスターは1人もいないチームであった。
そもそもピストンズは強力なディフェンスと荒いプレイスタイルが特徴で、1990年代は”バッド・ボーイズ”と称されていたが、この年に久々に彼らがアイデンティティを取り戻した年でもあった。

2003-04シーズンにヘッドコーチとして就任したラリー・ブラウンは、「チームバスケット」をとにかく重んじた。そして元々のカルチャーであるディフェンスに磨きをかけた。ブラウンは大学での指導経験が豊富だったこともあり、システマチックにディフェンスを組み立てることが非常に得意だったため、ピストンズのディフェンスはさらに強固になった。「play the right way(正しくバスケットをしなさい)」とよくコートで叫んでいた姿が印象的だ。
当日のチームはポイントガードに「ジャーニーマン(移籍ばかりしている選手)」と称され評価が低かったチャウンシー・ビラップスや、ドラフト外からNBA入りを果たした206cmの小さなセンターのベン・ウォーレスなどがいた。彼らのポテンシャルは素晴らしいものであるが、ブラウンのおかげで彼らが急成長したとも言われている。また、シーズン途中に加入したラシード・ウォーレスがオフェンスの起爆剤となったことも相まって、1年でNBAトップチームへと変貌をとげた。

デトロイト・ピストンズvsロサンゼルス・レイカーズのNBA FINALSは、事前予想で「圧倒的にレイカーズ有利であろう」「ピストンズが勝てるはずがない」とどのメディアも思っていた。ただ、蓋を開けるとレイカーズのオフェンスをピストンズのディフェンスが完全にシャットアウト。
平均100点以上を取るチームを、わずか68点に抑えたこともあった。

2003-04 NBA FINALS
・GAME.1 / DET 87 - 75 LAL
・GAME.2 / DET 91 - 99 LAL
・GAME.3 / DET 88 - 68 LAL
・GAME.4 / DET 88 - 80 LAL
・GAME.5 / DET 100 - 87 LAL

スーパースターがいなくても、チームの総合力で戦えば勝てる。それを証明したようなシリーズであった。

▼これまでのシリーズはこちら!
▶もしジョーダンが今のNBAにいたら?コアファン編集部員に聞くNBA講座 vol.1
▶︎NBA選手ってお給料いくらなの?コアファン編集部員に聞くNBA講座 vol.2
▶「Gリーグ」の“G”は○○の頭文字!? コアファン編集部員に聞くNBA講座 vol.3
▶︎ジョーダンのブルズがやっぱり最強?優勝回数から見る、NBA勢力図【NBA講座 vol.4】

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