【NBA FINALS】NBA史上最悪の黒歴史を乗り越えた先に。"過大評価"を超えろ

暗黒時代という暗いトンネルを抜けた先に。

今のペイサーズについて語る前に、NBAの歴史で語らなければいけないことが2つある。 1つはペイサーズの永久欠番(No.31)にもなっている「レジー・ミラー」という男の存在である。 レジー・ミラーは1990年代にかけて活躍した名シューター。もちろん、この時代と言えばマイケル・ジョーダンがNBAを席巻していた時代だが、レジー・ミラーはジョーダンを最も苦しめた内の1人と言って過言ではない。

試合終了間際に何度もスリーポイントを決めたことによって「ミラー・タイム」の愛称で知られている。とにかく終了間際に強すぎることが有名であり、「9秒で8得点」という、バスケットでは有り得ない得点記録を持つのも、彼がいかに勝負強かったかを表すエピソードの1つ。そんなミラーは59歳となった現在、NBAの解説者の1人として活躍しており、近年のNBAの盛り上げに貢献している。

レジー・ミラーが引退する2005年の1年前に、ペイサーズファンはあまり思い出したくもない出来事だが、2004年の11月、デトロイト・ピストンズ戦で「パレスの騒乱」という事件が起こった。NBA史上最も歴史に残る乱闘として今も語り継がれているが、これはオンコートで起きた選手間の揉め事が発展し、観客をも巻き込んだ大乱闘のことを指す。 あまり深掘りしても良いことがないのでこの辺にしておく(※)が、これを機に多くの選手が出場停止になった時も、当時39歳のミラーは先発としてリーダーシップを発揮し活躍。39歳ながら、40点近い点数を取ったこともあった。ただ、惜しまれながらも2005年のシーズン終了と共に、NBAを引退した。

ミラーが引退したあとからは、とても長い低迷期に入る。トレードで獲得した選手は怪我でなかなか結果を出せず、期待していたドラフト選手も活躍しなかった。ようやく芽が出てきたのは2012-13シーズンのこと。ポール・ジョージ(現フィラデルフィア・76ers)が素晴らしい成長を見せ、NBAオールスターにも選出される。NBA FINALS手前で敗れてしまったが、このあとはほぼ毎年のようにプレーオフに進出する中堅のチームへとなった。

(※)……2021年にNetflixでドキュメンタリー「UNTOLD: Malice At the Palace(パレスの騒乱)」が公開されている。
▼以下はレジー・ミラーのキャリアTOP10ハイライト

 

ハリバートンのシンデレラストーリー

中堅からなかなか抜け出せないペイサーズは、レジー・ミラーの時代に指揮を取っていたリック・カーライルというヘッドコーチを再び招聘した。カーライルは2010-11年にダラス・マーベリックスでNBA優勝に導き、また2002年には最優秀コーチにも選ばれている。そして2022年にトレードで今シーズンFINALS進出の立役者となるタイリース・ハリバートンを獲得する。この2人が非常に上手く噛み合うこととなる。

【プロフィール】
名前:タイリース・ハリバートン
所属:インディアナ・ペイサーズ(No.0)
生年月日:2000年2月29日生まれ
出身:アメリカ・ウィスコンシン州出身/アイオワ州立大学卒
NBA入り:2020年1巡目12位でドラフト入り
年俸:4,217万ドル(日本円で約64億円)※2024-25シーズン

カーライルの指導を受けたハリバートンは、これまで無名だったのが嘘のように、翌2023-24シーズンにいきなりNBAのアシスト王に輝いた。2024年のパリオリンピックではアメリカ代表にも選ばれたほどであった。だが、周囲は彼のことを「過大評価されている」と言い、ハリバートンの活躍を認めない人が多かった。 そんな周囲の煽りにハリバートンは負けなかった。アシスト王ではあるものの「パスを優先して自分でシュートに行かない選手」という印象も強かったため、今シーズンは自らリングにアタックする積極性を磨いた。外からのシュートも得意になった。その結果、周りを見ながら自分もシュートを決められる選手に成長した。

先日のプレーオフでは、30得点10リバウンド15アシストでかつ、ボールを自分のミスで無くしてしまうターンオーバーが「0」という脅威的な数字を残した。 ハリバートンの人生は、ここ2-3年で一気に変わった。そしてこの夏にNBA FINALSまでチームを導いた。シンデレラストーリーとも言えるこの物語の最後を、優勝という形で締めくくれるか。ただ、ハリバートンはとても冷静で落ち着きのある選手である。もちろんビッグショットを決めた時は感情を爆発させるが、それ以外は感情のムラがないことでも有名だ。彼ならきっと、優勝という大きな目標ではなく、目の前の試合をどう勝つか、を、冷静に考えプランを作っているに違いない。注目の NBA FINALSは、日本時間6/6(金)9:30にティップオフ。

 

視聴方法について

NBAは日本では3つの方法にて見ることができる。 1・楽天NBA:月額4,500円(税込)/全試合視聴可能/デバイス2台まで同時視聴可能 2・WOWOW:月額2,530円(税込)/毎週7試合まで視聴可能/デバイス1台まで 3・ABEMA de WOWSPO:月額1,980円(税込)/毎週7試合まで視聴可能/デバイス2台まで同時視聴可能 ※なお、楽天モバイルの契約者は、楽天NBAにてNBAの試合が全試合無料で観戦可能。 ライブ配信ではなく試合後のハイライト動画なども様々なチャンネルからアップされている。 試合の全てを丸ごとみたい方は、ぜひ上記の方法にてご観戦をお楽しみください。NBA FINALSは、まもなく。

関連記事