
数百、数千のバスケットシューズが存在し、プレースタイルも多様化する現代のバスケットボールにおいて、自分に合ったバスケットシューズを選ぶことは簡単ではありません。
連載企画「バッシュの教科書」では、どんな観点でバッシュを選べばよいのかを考えていきます。
ご自身も実業団でプレーした経験を持ち、現在は中学校で指導しながら、スポーツ量販店でバスケットボール売り場に立つ眞間香織(ままかおり)さんに聞きました。
今回は「バッシュの柔らかさ」についてです。

写真:眞間香織(ままかおり)さん/提供:ご本人
バッシュが柔らかいってどういうこと?
簡単に言えば「柔らかいバッシュ」とは、ソールが屈曲するシューズのことです。履いていて動いたときにフロアを蹴れる感覚があり、足が動かしやすい製品が多いです。
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逆に「硬いバッシュ」は、ソールが屈曲しないシューズです。
今回、初心者の方に「柔らかいバッシュ」をお勧めするのですが、パワーがあり競技力の高い選手にとっては、柔らかいシューズだと蹴ったときに屈曲の良さがねじれに変わって力が外に逃げ、切り返しがしづらかったりします。選手の競技レベルによっては、硬いバッシュが良い場合もあるということはお伝えしておきます。
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柔らかいバッシュの特徴
さて、柔らかいバッシュにはいくつかの特徴があります。
まずは、バッシュそのものの重量が軽いことです。
当然足も軽くなるので、速く走りやすくなります。バスケでは「スピードの緩急をつけられるかどうか」も重要になるので、柔らかいバッシュは、自らスピードをコントロールする感覚を養うことにも向いています。
足全体の動かしやすさも柔らかいバッシュの特徴です。
柔らかいバッシュは足を締め付けないので、足の指や関節など、足全体を動かしやすくなっています。この“足全体を使う感覚”がバスケにおいては非常に重要なのです。
バスケ初心者は「足の指とMP関節」を使え
プレーするうえでは「いかにスピードの緩急をつけられるか」が重要になります。
つまり「いかにトップスピードを速くできるか」が重要になるわけですが、ただがむしゃらに走り込みをすればスピードが上がるというわけではありません。スピードを上げるために重要となるのが「身体の使い方」、もっと言えば「足の指とMP関節の使い方」です。
MP関節とは、指の付け根にある中手骨と指節骨と呼ばれる骨の間にある関節のことです。このMP関節は指の屈伸運動を支えている部位で、物をつかんだりなど、指で繊細な動きをする場合に欠かせない役割を果たしています。

写真:MP関節の場所/制作:SSN編集部
走るスピードを上げるには「足の指をいかにうまく使えるか」が重要になります。足の指で地面を掴んでから離す動作を取り入れることで、地面からの反発力が加わり、その反発力がスピードに加わるからです。
残念ながら最近の学生選手の多くは、その足の指の感覚が乏しく、足の裏の筋肉も発達していない選手が多いので、硬いバッシュだと走るだけで足が疲れてしまいます。
最近の日本のパッシングバスケットでは走る動作が非常に重要なので「自分の推進力で走れる」というのが基礎中の基礎になります。
なので、初心者にはまず、屈曲が良い、柔らかいバッシュを私はお勧めしています。
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トッププロに憧れて硬いバッシュを買う選手が多い
ところで、なぜ最近の学生には「足の指とMP関節を使う感覚」がない選手が多いのか。指導環境などももちろんありますが、初心者の段階でトッププロが使うような硬いバッシュを履いてしまうことも原因の一つだと思います。
トッププロはその感覚は身につけたうえで、さらに安定感などを求めて硬いバッシュを使います。シグネチャーシューズは硬いシューズが多いですよね。
彼らに憧れる小学・中学・高校生の初級者がその硬いバッシュでプレーをしてしまうと、どうしても「足の指とMP関節を使う感覚」が身につきづらくなってしまいます。
自分の好きな選手が履くバッシュを履きたくなる気持ちは私もよくわかります。カッコよさを追求できることもバスケット選手には大切な資質ですから。
ただ、「足の指とMP関節を使う感覚」は、バスケを始めてある程度の年数が経ってからでは習得することは難しいため、初心者の選手はまず、屈曲の良い、柔らかいバッシュを履くのがベストだと思います。
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