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「今の彼は楽しめていない」ウィザーズOBがビールの精神状態を危惧「色んなことを考えすぎている」<DUNKSHOOT>

今季もビールはウィザーズのエースとして奮闘しているが、チームは12月から調子を落としている。(C)Getty Images
現地時間2月7日(日本時間8日、日付は以下同)、ワシントン・ウィザーズはホームのキャピタルワン・アリーナでマイアミ・ヒートを迎え撃つも、一度もリードを奪うことができずに100−121の完敗を喫した。

イースタン・カンファレンス首位のヒート(35勝20敗/勝率63.6%)に対し、ウィザーズは序盤戦こそ1位だったが徐々に順位を落とし、この敗戦でイースト11位の24勝29敗(勝率45.3%)とした。

この試合ではコーリー・キスパートがチームトップの20得点に6リバウンド、アーロン・ホリデーが14得点、3スティール、モントレズ・ハレルが13得点、カイル・クーズマが12得点、日本時間8日に24歳の誕生日を迎えた八村塁が26分37秒プレーして今季5度目の2桁得点となる11得点に3リバウンド、1アシスト、1スティールを残している。

10日のトレード・デッドラインを前に、現地メディアはウィザーズがデトロイト・ピストンズのジェレミー・グラント、インディアナ・ペイサーズのドマンタス・サボニスの獲得に向けて動いていると報じており、スペンサー・ディンウィディーやハレルがトレード候補に挙がっている。

一方、在籍10シーズン目のフランチャイズプレーヤー、ブラッドリー・ビールは本人がトレードを要求しない限り、今季もウィザーズでプレーするというのが大方の予想だ。
現在、手首を痛めて離脱している28歳のエースは、平均23.2点、4.7リバウンド、キャリアハイの6.6アシストと、まずまずの成績を残している。しかし昨年12月からチームが急降下したこともあり、OBがビールのことを危惧している。

7日に地元メディア『NBC Sports Washington』へ掲載された記事のなかで、2000年代中盤にウィザーズで約6シーズンをプレーしたアントワン・ジェイミソンは次のように語っていた。

「今、ブラッドリー・ビールは楽しめていないように見えるね。笑顔がないし、ショットを決めても叫ぶこともなければ情熱も感じられない。きっといろんなことを考えすぎているんだろうね。彼に必要なのはコートへ立って、笑顔でゲームを楽しむことだ」

新戦力を数多く抱えるなか、新たな指揮官ウェス・アンセルドJr.ヘッドコーチ(HC)の下で好スタートを切ったウィザーズだが、黒星が増えるにつれてチーム内のムードも暗転。

ディンウィディーやハレルが会見中に不満を口にしたり、不甲斐ない敗戦によってモチベーションが低下したりと、ネガティブな要素も増えている。
そしてここ数年、毎年のようにビールにはトレードの噂が出ているのも事実。「彼はものすごく期待されているからね。私の見解ではあるけど、ここ4年間は毎年この時期に彼の名前が挙がっているんだ」とジェイミソンは指摘する。

もしこの時点でウィザーズがイースト上位であれば、ここまで話題になることはなかっただろう。だがこのままチームが八村やデニ・アブディヤ、キスパートといった若手を育てていくことにフォーカスするのであれば、再建にシフトすることも考えられる。

ビールは来季契約がプレーヤーオプションのため、これを破棄すれば今季終了後に制限なしフリーエージェント(FA)となる。ウィザーズと超巨額なスーパーMAX契約を結ぶ可能性もあるのだが、何よりも勝利を欲する男が、ここ数年繰り返される球団の若手育成にどこまで付き合っていくのか。
もっとも、ジェイミソンはビールが今後もウィザーズでプレーしていくだろうと予想する。

「僕らはブラッドのことが大好きだ。ブラッドがどこかへ行くとは思えない。彼は(ワシントン)D.C.を愛している。今彼はキャリアの中でも特別なステージにいるから、チャンピオンシップを勝ち取りたいんだ。それがもの凄く重要なことは私も理解している。それに彼がそのことに情熱を傾けていることも知っている」

黒星先行の現状を打破すべく、ウィザーズはマイナーチェンジをするのか、それとも抜本的な大型トレードを断行するのか。事態を好転させるためには「ベテランのリーダーシップが必要」とジェイミソンが話したように、チームに何らかの“変化”が求められているのは確かだろう。

文●秋山裕之(フリーライター)

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