
MVPランキング圏外も、“キング”レブロンは達観「俺の名前が入り始めたら」<DUNKSHOOT>
NBAで戦う選手たちにとって、最も価値があるのは所属チームの優勝に貢献してチャンピオンリングを手にすることだろう。それを主力として複数回達成すれば、歴代有数のスーパースターと評されるからだ。
また、個人として最も栄誉あるアウォードにはシーズンMVPが挙げられる。選ばれるのは、長いレギュラーシーズンでチームを上位に導き、多くの投票者からその年の“最も価値ある選手”として認められた1人だけ。これまでの受賞者はほぼ全員がバスケットボール殿堂入りを果たしている。
昨年12月31日(日本時間1月1日)に『NBA.com』へ掲載された今季のMVPランキングでは、1位から順にヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)、ケビン・デュラント(ブルックリン・ネッツ)、ステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)、ニコラ・ヨキッチ(デンバー・ナゲッツ)、ルディ・ゴベア(ユタ・ジャズ)の5人が並ぶ。
6位から10位に入ったクリス・ポール(フェニックス・サンズ)、ジェームズ・ハーデン(ネッツ)、デマー・デローザン(シカゴ・ブルズ)、ジョエル・エンビード(フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)、ザック・ラビーン(ブルズ)も含めて、彼らは所属チームにおいて絶大な存在感を放っており、今季のMVPを争う資格は十二分にあると言っていいだろう。
そんななか、過去4度の受賞を誇る37歳の大ベテラン、レブロン・ジェームズはトップ10圏外。ロサンゼルス・レイカーズは現在20勝19敗(勝率51.3%)でウエスタン・カンファレンス6位、開幕前の期待とは裏腹に勝率5割前後を彷徨っているのが大きな要因である。
しかし、レイカーズはここ5試合で4勝と上り調子。その原動力となっているのがレブロンだ。19年目の今季も平均28.6点、7.4リバウンド、6.5アシスト、1.70スティール、1.11ブロックと獅子奮迅の活躍を披露し、時には先発センターも務めるなどフル稼働している。
MVPレースについて、レブロンは6日にこんな言葉を残している。
「MVP候補に入る時というのは、チームが勝利を収めていて、高いレベルでプレーして勝利を助けているということ。だから俺の名前がMVP談義に入り始めたなら、レイカーズが試合に勝っているということだ。それこそ俺が望んでいることであり、それしか気にかけていない」
レブロンはこれまで、歴代3位タイとなる4度のシーズンMVPを獲得しているだけでなく、昨季までのキャリア18シーズン全てでMVP票を手にしてきた。もし今季、逆転で受賞を果たした場合には1999年のカール・マローン(ユタ・ジャズ/35歳)を抜いて史上最高齢のMVPとなる。
通算5度目の受賞となれば、マイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)、ビル・ラッセル(元ボストン・セルティックス)と並んで歴代2位タイとなるのだが、過去に4度も受賞しているため、レブロンが再びMVPに返り咲くためのハードルは自然と高くなっている。
ただ、NBA界のキングが今もなお、リーグトップの1人であることは間違いない。
「俺は自分がどんなことをゲームへ持ち込めるか、どんなことができるかを分かっている。だが俺は勝利を重ねてきたという結果が欲しい。それがこのリーグでずっとプレーしている俺のマインドセットだ」
レブロンがこれまで手にしてきたタイトルは枚挙に暇がない。今さらこの男が個人賞のためにプレーすることはないだろう。それでも、黒星先行でチームが苦しむなか、鬼気迫る形相でレイカーズを牽引する姿は、今季のMVP候補の1人と呼ぶにふさわしいのではないだろうか。
文●秋山裕之(フリーライター)
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