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NBA“ベストシューターチーム”を選定!カリー、アレンら名手に加え、センターには現役ビッグマンの名も<DUNKSHOOT>

NBAの3ポイント成功ランキングでトップ3に名を連ねているカリー(右)、アレン(左上)、ミラー(左下)。(C)Getty Images
近年のバスケットボールにおいて、3ポイントシュートの重要性はかつてないほど高まっている。NBAで1979−80シーズンに初めて採用された当時は、どのチームも1試合に3~5本放って1、2本決まるか程度だったのが、今では平均試投数は30本、成功数も10本を優に超える。

では、80年代以降のNBA全選手を対象に、ポジション別に最強シューターを選出した場合、どういった顔ぶれが並ぶのだろうか。『THE DIGEST』では、アメリカンスポーツに精通する識者に依頼し、NBAの“ベストシューターチーム”を選んでもらった。
【ポイントガード】
ステフィン・カリー

1988年3月14日生。188cm・84kg
RS成績:792試合、平均24.3点、3ポイント成功2994本/成功率43.1%
PO成績:112試合、平均26.5点、3ポイント成功470本/成功率40.1%
※RS=レギュラーシーズン、PO=プレーオフ

先頃、レギュラーシーズンにおける通算3ポイント成功数の新記録(2974本)を更新。3000本も目前に迫っている史上最高のロングシューターであり、NBAに3ポイント全盛時代をもたらした革命児だ。

「ハーフラインをまたいだら、そこからもうシュートレンジだからね。ほかの選手じゃ練習でも無理なシュートを苦もなく決めてくる」(ダーク・ノビツキー)。2012−13シーズンに当時の新記録となる272本を決めると、2年後には286本、そして続く15−16シーズンには一気に402本まで数字を伸ばした。

プレーオフでの通算470本、ファイナルでの121本も歴代1位。15、16年に2年連続MVP、昨季は自己最多の平均32.0点で5年ぶり2度目の得点王に輝いたが、3ポイント成功率はリーグ3位以内が5度あるものの一度もトップに立っていないのが意外すぎるほどだ。

「ロングシュート一家」の血筋で、父デルは1998−99シーズンの3ポイント成功率リーダー、弟セスが通算成功率で史上3位(44.0%)の名手であるだけでなく、母ソーニャもイベントでハーフコートから命中させたことがある。
【シューティングガード】
レイ・アレン

1975年7月20日生。196cm・92kg
RS成績:1300試合、平均18.9点、3ポイント成功2973本/成功率40.0%
PO成績:171試合、平均16.1点、3ポイント成功385本/成功率40.1%

現役のジェームス・ハーデン(ブルックリン・ネッツ)やクレイ・トンプソン(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)らを含め、数多くの名シューターがひしめくポジション。その中でナンバーワンを選ぶとしたら、カリーに抜かれるまで年間と通算の両方で成功数の記録保持者だったアレンになるだろう。

シューティングドリルの教材のようなフォームで、年間成功数では3度リーグ1位に立ち、05−06シーズンには269本を決め、デニス・スコットの267本を抜いて新記録を樹立した。成功率が飛び抜けて高かったというわけではなく、通算では40%ちょうど。カリーと同じくタイトル獲得経験もない。

だが劇的な一撃が多く、とりわけマイアミ・ヒート時代の13年ファイナル第6戦で、チームを敗退の危機から救った起死回生の同点スリーは、NBA史を彩る名場面のひとつとして語られている。単なるシューターでなく、若手の頃は身体能力の高さを生かしたスピード感溢れるダンクでも沸かせていた。
【スモールフォワード】
ペジャ・ストヤコビッチ

1977年6月9日生。208cm・104kg
RS成績:804試合、平均17.0点、3ポイント成功1760本/成功率40.1%
PO成績:95試合、平均14.4点、3ポイント成功162本/成功率37.6%

スーパースター級で最初に3ポイントを主要な武器とした選手と言えば、史上最高のSFの1人であるラリー・バードが思い浮かぶ。オールスターの3ポイントコンテストでも第1回から3連覇を果たしたが、レギュラーシーズンで決めた本数は最多でも年間98本と意外なほど少ない。こと3ポイントに関しては、史上最高のSFはストヤコビッチだろう。

母国クロアチアでは14歳からプロ生活のスタートを切り、208cmの長身ながら、シュートの正確さはフリースロー成功率でも2度NBAトップに立ったほど。サクラメント・キングス時代に2002年から3年連続でオールスターに出場し、自己ベストの平均24.2点をあげた03−04シーズンは240本の3ポイントを決めた。これはアレンとレジー・ミラーが記録した229本を抜き、3ポイントラインが短かった時代(1994~97年)を除いては最多の本数となった。3ポイントコンテストでも02、03年に連覇を達成している。
【パワーフォワード】
ダーク・ノビツキー

1978年6月19日生。213cm・111kg
RS成績:1522試合、平均20.7点、3ポイント成功1982本/成功率38.0%
PO成績:145試合、平均25.3点、3ポイント成功149本/成功率36.5%

SF/PFでは、ネッツで活躍中のケビン・デュラントも長身(208cm)ながら軽々と3ポイントを決める姿が印象的だ。それでも、ここは通算成功数で200本以上上回り、成功率も大差のないノビツキーを選びたい。

シグネチャームーブは、片足で放つ、いささか不格好ではあるもののディフェンスの難しいフェイダウェイ。そしてもうひとつの武器が3ポイントで、通算成功数1982本は歴代13位にランクされている。彼より上位の12人は、レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)を除いて身長201cm以下。213cmの7フッターであるノビツキーこそ「ビッグマンの3ポイントシューター」の原型を築いた選手と言える。

サイズに恵まれている分リバウンドも多く、通算1万1489本は歴代26位。3ポイントとリバウンドの両方で40位以内に入っている者はほかに誰もいない。ダラス・マーベリックス一筋21年でオールスター選出14回、通算3万1560点は史上6位で、07年にはヨーロッパ出身者で初のMVPにも選ばれている。
【センター】
カール・アンソニー・タウンズ

1995年11月15日生。211cm・112kg
RS成績:438試合、平均23.0点、3ポイント成功701本/成功率39.7%
PO成績:5試合、平均15.2点、3ポイント成功3本/成功率27.3%

一昔前まで、「センター」と「3ポイント」はほとんど結びつかない単語だった。それが今では、巨大な体格の選手たちが3ポイントラインの後方からどんどんシュートを放つ光景が日常になっている。

なかでもタウンズは、その確率の高さで頭ひとつ抜きんでている。12月24日現在でのキャリア通算成功率は39.7%で、センター兼PFの選手でこれを上回るのは元サンアントニオ・スパーズのマット・ボナー(41.5%)だけ。3ポイントシューターのイメージはより強くともロールプレーヤーだったボナーより、ミネソタ・ティンバーウルブズのエースであるタウンズの方が、今回の選出にはふさわしいだろう。

「俺はビッグマンでは史上最高のシューター。数字がそれを証明している」と断言し、「ノビツキーがいるじゃないか」と反論されていたのも、そのくらいシュート力に自信を持っていることの表われだ。今季も11月8日のメンフィス・グリズリーズ戦で、ラインのはるか後方からオーバータイムへ持ち込む同点スリーを決めている。
【シックスマン】
レジー・ミラー

1965年8月24日生。201cm・84kg
RS成績:1389試合、平均18.2点、3ポイント成功2560本/成功率39.5%
PO成績:144試合、平均20.6点、3ポイント成功320本/成功率39.0%

本来ならスターターにふさわしい格であるけれども、SGではアレンを選んだのでミラーをシックスマンへ回した。

年間成功率で1度もリーグ1位になっていないのはカリー、アレンと同様だが、プレーオフでの3ポイントにまつわるドラマの数は彼ら以上。94年のカンファレンス・セミファイナル、5本投じた3ポイントをすべて沈めて1クォーター25点をあげたニューヨーク・ニックス戦。翌95年には同じくニックス相手に演じた、2本の3ポイントを含む“9秒間で8得点”も伝説となっている。98年のシカゴ・ブルズ戦では、マイケル・ジョーダンのマークをかいくぐり決勝ブザービーターを見舞った。
細身でもスタミナ満点で、コートを縦横無尽に走り回ってはオープンスペースを見つけスリーを打ちまくった。97−98シーズンに、現役中だったデイル・エリスを抜いて通算成功数でトップに立ち、最終的には2560本。10−11シーズンにアレンに抜かれるまで13年間その座を保った。カリーやノビツキーと同じように、移籍することなく18年の現役生活すべてをインディアナ・ペイサーズに捧げている。

文●出野哲也

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