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大谷翔平、田中将大らが選んだ“PRP療法”とは?専門家に聞いた、プロ野球で進む「手術」から「再生医療」への新潮流
アスリートがキャリアを送っていく上で避けては通れないのが、怪我との戦いだ。特にプロ野球の投手は肘を酷使するため怪我も多く、その治療法が常に注目されてきたが、近年は明らかなトレンドの変化がある。 それは「手術」から「再生医療」への流れだ。 これまで投手が肘を怪我すると、“トミー・ジョン手術により今季復帰絶望”といった報道がなされてシーズンを棒に振るケースが大半だったが、近年は手術を回避し、再生医療によってシーズン中の復帰を果たすケースも増えてきた。とりわけ再生医療の中でも「PRP療法」は、大谷翔平や田中将大が選んだことで認知度が格段に高まっている。 今回はPRP療法に関する加工受託サービスで国内トップクラスの実績を誇るセルソース株式会社を訪ね、スポーツ界におけるPRP療法の今とこれからを聞いた。
トレンドは「トミージョン手術」から「再生医療」へ
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写真:ダルビッシュ有(USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)。ダルビッシュは2015年に右肘に靭帯断裂を負い、トミー・ジョン手術を経て見事に復帰している
一昔前まで投手が肘を損傷した場合、トミー・ジョン手術を受けるのが一般的だった。体の別の箇所から腱を移植してくるこの術式は、日本球界だけでも100人以上のプロ野球選手が選択し、復活を果たしてきた。その一方で肘にメスを入れることから長期離脱のリスクも付いて回るのが最大の懸念点となっていた。 そんな状況を回避するべく「手術の1つ前の選択肢」として”PRP療法”が日本で注目を集めたのは2014年のことだ。
田中将大、大谷翔平、斎藤佑樹らが選択したPRP療法とは
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田中将大(写真:AP/アフロ)
当時ニューヨーク・ヤンキースに移籍1年目だった田中将大(現在は東北楽天ゴールデンイーグルスでプレー)が2014年7月に右肘靱帯を損傷した際に、医師との検討によりPRP療法を選択。手術を回避したことでシーズン中に復帰を果たしたことが話題となった。
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PRP療法では自身の体内にある血小板から成長因子を取り出しておき、注射によって投与するため手術が不要となる(写真提供:セルソース)
PRP療法は、血小板から取り出した成長因子を注射により投与し経過を見守る治療方式のため、入院や手術の必要がない点が最大の特徴だ。自身の体内に元々ある成分を投与するため、ドーピングのリスクも避けられる。
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