「MLBポストシーズン」大不振に陥る大谷翔平に求められる「長距離打者」ではない「1番打者」としてのプレー

大谷翔平(写真:AP/アフロ)
レギュラーシーズン打率.282、本塁打55本、打点102、OPS1.014を記録した「打者大谷翔平」に異変が生じている。

異変といってもそれは怪我やコンディション不良などではなく、単純な「打撃不振」だ。

フィリーズとの地区シリーズでは、18打数1安打の打率0.56、OPSは驚きの.206だった。

リーグチャンピオンシップシリーズに進出したドジャースだが、ワールドシリーズ連覇のためには打者大谷の復活は必要不可欠だといえるだろう。

長距離打者ではなく1番打者としてのプレー

地区シリーズの大谷翔平からは明らかに「打つ雰囲気」は出ておらず、どこか打席に集中しきれていないように感じる。

もちろんストライクゾーンのジャッジに対する不満もあるはずだが、なによりも本塁打を狙いすぎているように感じる。

選球眼自体はずば抜けて良いわけではないが、気持ちが先行しボールを追えていないため必然的に空振りが増えている。

追い込まれた後に見逃しをする回数も増え、それがことごとくストライクとなっている。

これは相手投手の配球を考えすぎて身体が「静」の状態になってしまっていることを意味する。

ポストシーズンになれば相手投手は常にエース級となり、大谷やフリーマン対策として左投手を登板させる機会が増えるのは当然だといえる。

大谷が本塁打を放てば一気に流れが変わるだけに狙いたくなる気持ちもわかるが、大谷が務めている打順は1番打者であり、最も求められるのは「出塁すること」だ。

ベッツやテオスカー・ヘルナンデス、フリーマン、スミスと強打者が続くことを踏まえれば、ある程度の球数を投げさせながら甘い球を待つスタイルで出塁率を上げていくべきだろう。

追い込まれたとしても、しぶとくファールで粘るようなバッティングがポストシーズンでは重要となる。

甘い球が来れば一振りでスタンドに持っていく力があるため、「本塁打は安打の延長線上にあるもの」といった意識を持つ必要がある。

大谷ほどの打者ならば、ちょっとしたきっかけで安打や本塁打を量産できるはずだ。

カブスとブリュワーズのどちらが勝ち上がってきたとしても、先発投手やリリーフが安定してきた今のドジャースならばある程度少ない失点で抑えられるはずだ。

そうなるとやはり勝負の分かれ目はドジャースの打撃陣となる。

大谷が本調子を取り戻せるかが、ワールドシリーズ進出への大きなポイントだといえるだろう。