なぜ甲子園では大差で勝っていても監督は怒鳴るのか
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高校野球の地方大会では5回10点差、7回で7点差がつくとコールドゲームが成立する。しかし甲子園にはコールドゲームがない。
(Photo by 33ft)
ある日の甲子園での試合のこと、序盤から一方的な展開が進み、早々に勝敗が決してしまった。メジャーリーグではこういう展開になった場合、バントや盗塁は不文律で禁止されている。もし、やろうものなら次の打席は確実に体付近に投球されたり、ひどい場合はデッドボールの報復を受ける。最近の日本のプロ野球でも同様で、特に外国人ピッチャーの前でバント盗塁を決めると露骨に嫌な顔をされる。
だが、甲子園ではそれがない。この日の試合も、一方的に優勢なチームがノーアウトのランナーをバントで進めたり、一塁三塁からのダブルスチールを決めたりするシーンを見ていると「そこまでしなくても」と思ってしまう。
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しかし、勝っているチームにも事情がある。負けたら終わりの甲子園では9回3アウトを取るまで何があるか分からない。そして何より、大勝する試合は大味な展開となり細かいプレーが蔑ろになってしまう。例えば、いつもコンパクトなバッティングを心がけていた選手が長打やホームランを狙い始めたり、丁寧な走塁をしていた選手が暴走してアウトになったり…。
要するにプレースタイルやフォームが大きく崩れてしまうことがあるのだ。プロ野球でも、大勝した翌日、無得点で大敗したりするのを見たことがあるだろう。百戦錬磨のプロですら、その「罠」に陥ってしまう。大舞台で勝ちの味を占めてしまった球児たちが陥るのも頷ける話である。勝っているチームの監督が大声で選手を叱責していることがあるのはこのためだ。
(Photo by ucpage)
高校生にとっては今日勝っても、明日も勝たなければならない。前半に大量点を取っていても万、万が一でも逆転されることがあってもならない。だから高校野球の監督は何点の差があっても攻撃の手を緩めることなく攻め続けるしかないのかもしれない。
負けている応援団からするともうちょっと手を緩めてくれよと言いたくなるところでもある。
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