母国復帰決意の3日後にロックアウト解除の“不運”。元MLB左腕の動向に韓国紙も「まさに運命のいたずら」と嘆き
何事にも「たられば」は付き物だ。それはスポーツ界においても同様だ。韓国球界屈指の左腕は、あと3日だけ決断を待っていれば、念願だったMLBでのキャリア継続を果たせたのかもしれない。
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今オフにカーディナルスからFA(フリーエージェント)となったキム・グァンヒョンは、去る3月8日にKBOリーグ(韓国プロ野球)のSSGランダーズと4年151億ウォン(約14億1400万円)の大型契約を締結した。「MLBで続ける夢は諦めたくなかった」と入団会見で明かした33歳だが、昨年12月2日からMLBで続いたロックアウトによりFA交渉が停滞。球団の熱心な誘いもあって、母国復帰を決意したのである。
しかし、事態は急転直下で動き出した。彼が韓国球界復帰を決めた3日後に、MLB機構と選手会は新労使協定を巡る交渉で合意。99日間も続いたロックアウトが明け、一気にFA交渉が始まったのだ。
貴重な左腕として、「コスパは大きな魅力だ。ふたたびアメリカで野球をするのは間違いないだろう」(米スポーツ専門メディア『ESPN』)と見られていた。ゆえに、「あと数日だけでもサインを待っていれば」と本人も考えているかもしれない。
何よりもMLBでの挑戦に意欲的だったキム・グァンヒョン。それだけにロックアウトが惑わせた彼の動向は、国内でも小さくない話題だ。日刊紙『朝鮮日報』は、「まるで運命のいたずらのような不運だ」と嘆き、韓国代表左腕を慮った。
「野球の復活はファンにとっては待望の時間だったが、通常の準備ができない選手にとっては辛い時間でもあった。そして、待ちきれずに夢をあきらめた選手もいた。キム・グァンヒョンだ。単純に技術不足で復帰を余儀なくされるのであれば、悔いはなかった。だが、この状況での復帰とロックアウトの解除は非常に不運だった」
さらに「フリーエージェントとして、所属球団がないキム・グァンヒョンは、時間が経つにつれて不安を感じるようになった」と記した同紙は、こうも続けた。
「34歳という年齢を考えると、これ以上に待つことは困難だった。96日も耐えた3日後にロックアウトが解除となり、キム・グァンヒョンの失望はさらに深まった。ランダーズは球界最高クラスの扱いでもてなしたが、金銭的にも、MLBのそれには及ばない。何より、自らの夢を十分に果たせなかった悔しさを埋めるものはないだろう」
ランダーズとの契約満了時には38歳となる。それだけにMLB再挑戦の可能性は事実上消滅したと言える。入団会見では「優勝がしたい」と語ったキム・グァンヒョンだが、胸の内の複雑さは想像に難くない。
構成●THE DIGEST編集部
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