MLBコミッショナー、マンフレッドの“功績”が話題。「アストロズのサイン盗み問題は最悪の出来事じゃなくなった」
昨年12月2日から始まったメジャーリーグのロックアウト。まったく進展せぬまま、機構側が設定した通常開幕のデッドラインである2月28日が迫り、ようやく交渉が熱を帯び、最終日は17時間に及ぶ激論を交わされた。
しかし“延長戦”になった3月1日も結局、選手会とMLB機構は平行線をたどり、コミッショナーのロブ・マンフレッドは予定されていた3月31日の開幕延期に加え、最初の2シリーズの中止について発表。この日は「野球界にとって悲しい日」(『USA TODAY』のボブ・ナインチンゲール記者)となってしまった。
この一連の労使交渉にあって、最も批判の声が集まっているのがマンフレッドだ。本来は選手会とオーナーの溝を中立的な立場から埋めていくのがコミッショナーの仕事だが、就任当初から懸念されていたように、親オーナー派とあってその役目を果たせずに、むしろ選手やファンからの不満が募るばかり。会見を開いてから数時間にわたって彼の名前が米国ツイッタートレンド1位だったが、その多くが失意や怒りの投稿だった。
【動画】選手やファンをキレさせたマンフレッドの“ニヤニヤ”会見がこれだ
もっとも、彼が今回の労使交渉だけ“やらかし”ていたのであれば、ここまで槍玉に挙げられなかっただろう。米スポーツ・メディア『FANDIDED』のガブリエラ・スタール記者がまとめた、マンフレッドが関わっていた事業一覧が「ひどすぎる」として話題を呼んでいる。
「2019年以降のMLBで起きたこと:
・複数のサイン盗み騒動
・マイナー42球団削減
・2020年は選手会と対立して60試合しかできず
・コミッショナーが優勝トロフィーを“金属の塊”と呼んだ
・選手を締め出した
そしてMLBがやらなかったのは、ベースボールをより良いものにすること」
ここ3年間だけを見ても、マンフレッド政権下ではあまりに多くのマイナスがあった。他にも試合時間短縮のために申告敬遠(17年開始)やワンポイントリリーフも禁止(20年開始)したがほとんど成果はなく、かえってファンの不評を買った。むしろ彼の時代で球界にとってプラスになったことを挙げる方が難しいとの声も多く、米メディア『The Athletic』の人気ライター、モーリー・ナイトは皮肉を込めてマンフレッドを称えている。
「ロブ・マンフレッドの良いところを見てみましょう。そうですね、アストロズのサイン盗み問題は、彼の統治下で起きた最悪の出来事じゃなくなったことですね」
シーズン延期を伝えた会見、まさかの笑みを浮かべて大バッシングを浴びる“オマケ”もあったコミッショナー。それについて訊かれたある選手は「あなたが言ってるマンフレッドという人は、マイナーから42チームも消し去って、ワールドシリーズ・トロフィーを“金属の塊”と呼んだヤツのことですよね?」とあきれかえっていたが、おそらく多くのファンも同じ気持ちで彼を見ているだろう。
ロックアウトをまとめきれず、開幕延期と試合数削減の事態を招いたマンフレッド。ここからの名誉回復は不可能に近いが、その役目を果たして被害を最小限にとどめてほしいものである。
構成●THE DIGET編集部
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