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【センバツ必見逸材5選/野手編】主砲・佐々木に負けない花巻東の正捕手の実力。大阪桐蔭と広陵にプロ注目のスラッガーも

絶対的な正捕手としてチームを支える松尾(左)と田代(右)。両雄ともに打力も自慢の実力派だ。(C)THE DIGEST
3月18日に開幕する選抜高校野球。今年のドラフト戦線を占う意味でも非常に重要な大会となるが、新3年生の注目すべき選手は誰なのか。投手と野手それぞれ5人ずつに絞って紹介したい。今回は野手編だ。

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田代旭(花巻東)/捕手/180センチ、79キロ/右投左打
新2年生ながら、すでに高校通算50本塁打を放っている佐々木麟太郎に注目の集まる花巻東。だが、その後ろを打つ田代も強打の捕手として注目だ。1年秋から正捕手の座をつかむと、昨年夏の岩手大会では4番に座り5試合で4割を超える打率をマーク。秋の明治神宮大会も2回戦の高知戦で打った瞬間に分かるホームランをライトスタンドに叩き込んだ。

佐々木がホームランを量産できるのも、田代の存在があればこそと言えるだろう。スローイングには、ややコントロールの不安定さの課題はあるが、2.0秒を切れば強肩と言われるセカンド送球でコンスタントに1.9秒台前半を記録。地肩の強さは申し分ない。総合力では間違いなく全国トップクラスの捕手と言えるだろう。

松尾汐恩(大阪桐蔭)/捕手/178センチ、75キロ/右投右打
タレント揃いのチームにあって、旧チームから唯一レギュラーとしてプレーしている強打のキャッチャー。中学までは主にショートだったが、1年秋から捕手に転向すると、昨年春の選抜後に正捕手の座をつかんだ。リストの強さは抜群で、内角もさばけるバットコントロールは見事の一語だ。

秋の明治神宮大会では決勝で2本のホームランを放つなど、3試合で8安打、長打4本と打ちまくり、チームの初優勝にも大きく貢献。キャッチングとブロッキングには課題が残るものの、抜群のフットワークでセカンド送球は1.8秒台をマーク。将来的には、内野への再転向も考えられそうだが、守備の堅実さが伸びれば、プロでも打てる捕手として勝負できる可能性はありそうだ。
内海優太(広陵)/外野手/185センチ、83キロ/左投左打
旧チームで4番を任された強打の大型外野手。新チーム移行後は、真鍋慧(新2年)の台頭もあって3番を打つが、中国大会と明治神宮大会でいずれもホームランを放ち、7試合で記録した11安打中7安打が長打とスケールの大きい打撃を見せつけた。

長身で堂々とした体格だが、打撃は決して力任せではない。バランスの良いスイングで、強引に振らなくても飛距離が出るというのが彼の魅力だ。スイングには柔らかさがあり、左方向へ打つ上手さもある。またリリーフとしてマウンドにも上がり、130キロ台中盤のスピードをマークするなど、肩の強さも申し分ない。体格的なスケールもあるだけに、プロでも中軸を打てる可能性を秘めた選手と言えるだろう。
野田海人(九州国際大付)/捕手/174センチ、75キロ/右投右打
旧チームからレギュラーとしてプレーし、秋からは主将としてもチームを牽引している不動の正捕手。魅力は地肩の強さで、イニング間に行なわれるセカンド送球はゆっくり投げることも多いが、いざという時にはスローイングは1.8秒台をマーク。低い軌道で一直線にベースまで届くボールの勢いは圧倒的なものがある。

九州大会、明治神宮大会ではマウンドにもあがり、投手として145キロを超えるスピードを記録。打撃はやや波があるものの、昨春に比べると力強さは確実に増しており、秋の九州大会では一発も放っている。田代、松尾と比べても地肩の強さは頭一つリードしている印象で、早くからプロで鍛えてもらいたい素材だ。
黒田義信(九州国際大付)/外野手/180センチ、72キロ/右投左打
野田とともに旧チームから中心となっている俊足強打の外野手。秋から1番に入ると九州大会では4試合で7安打、スリーベース3本を含む長打5本、打率.538、出塁率.700と驚異的なアベレージを残し、リードオフマンとして抜群の成績を残した。

全身を使ったフルスイングは迫力十分で、スタンドまで運ぶパワーも申し分ない。また加速の良いベースランニングで12.00秒を切れば俊足と言われるスリーベースの三塁到達は11.23秒台をマークしている。新チームからコンバートされたセンターの守備はスタートの動き、スローイングともに改善の余地はあるものの、運動能力の高さは秀でているだけに、選抜では成長ぶりにも注目したい。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。

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