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中日の柳裕也、キャンプ2度目のブルペンで224球の熱投「真っ直ぐをしっかり磨く」

柳はストレートをしっかり投げ込んだ。写真:岩国誠
中日の柳裕也が2月5日、今キャンプ2度目のブルペン入り。1時間以上におよぶ投球は、全てストレートで224球、文字通りの投げ込みを行った。

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キャンプ第2クール初日は、一軍首脳陣全員が不在という緊急事態。そんな不安を払拭するかのような投球だった。

最大8人が同時に投げられるブルペンの真ん中あたりに歩を進めた柳。肩慣らしが終わり、捕手役の木下が腰をおろし、打者役のチームスタッフが右打席に入る。蹴り出す右足を丁寧にセットすると、小気味の良いリズムでテンポ良く、その右腕からストレートを繰り出していく。

30球。今度は打者役が左打席へ。変わらずストレートを続ける。60球。ボールを交換し、まだまだストレートを続ける。

「まず、真っ直ぐはしっかり投げられるように。変化球はいつでも投げられると思っているので、まずは真っ直ぐをしっかり磨きたいなと。左打者のインコース、右打者のアウトコースを投げました」

ただひたすらに、右打者のアウトコースへ。70、80、90。投球が100球を超えたあたりから、さらにボールに力がこもったように感じた。

打者役には何球かごとに、左打席、右打席を入れ替わってもらいながら、ついに球数が150を超えた。156球目、ここまで淡々と投げてきた柳だが、左打者のインコース低めに投じた球を、審判に「ボール」とコールされたとき、初めて「お!」と感情を表に出した。

「コースっすか?」と柳の問いに「下」と答えた審判。「そこは(ストライクを)取って欲しかったです」と、キャンプ中だからこぼれる本音も。

次の球はもちろん、同じコースへストレート。今度は「ストライク」のコールに「おっしゃ!」と笑顔。張り詰めていたブルペンの空気が一瞬だけ穏やかになった。
ついに200球を超えたところで「求めてるねぇ」と、捕手の木下から声が飛ぶ。気がつけば、ブルペンは、柳ひとりだけとなっていた。

220球目を受けたところで、木下が打撃練習に戻るため、ブルペン捕手と交代しようとしたが、それで柳は「ラスト!」とコール。「300行くと思った」という、木下に対し、「いつやめていいか、わからなかった」と、笑顔で返す。納得の1球を投げるまで4球を費やし、ストレートのみ224球のピッチングショーは終了した。

「まだ、右打者のアウトコース、左打者のインコース、そこへの真っ直ぐをやっている段階。200球を投げられたから、どうこうはないですが、球数は消化できたのは、順調ということだと思います。今は量もこなせる時期なので、状態と相談しながら、しっかりやっていきたい」

実は、今キャンプ1回目のブルペンで投じた76球も、全てストレートだった。それを見ていた落合英二ヘット兼投手コーチは、こんなことを言っていた。

「DeNAの三浦監督が『第1クールは真っ直ぐだけ』と話していたニュースがあった。やっぱりこの時期は、もっと真っ直ぐ中心でいいんじゃないかな。僕らの時は山本(昌)さんがそうだった。柳のピッチングを見ていればわかるが、真っ直ぐしか投げていない。ボールが凄いなというのではなく、どういう取り組みをしているのか、そういうところを、他の投手に見てほしいというのはあるんですけどね」

昨年、投手二冠に輝いた柳だが、ストレートの最速は150キロに届かない。それでも結果を残せたのは、今回のブルペン投球のように、原点であるストレートの制球力をしっかり磨いていることも、一因と言えるのではないか。

自らの武器を磨くということは、どういうことなのか。中日の若い投手陣に取って、柳のストレートのみの224球は、それを改めて考えさせてくれる良いきっかけになるかもしれない。

取材・文●岩国誠

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