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日本一のヤクルトは堅実な補強。大田泰示を獲得したDeNAの評価が低い理由は?【セ6球団補強採点】

ただでさえ熾烈な巨人の外野争いには大物助っ人ポランコ(写真)が参入。昨季ブレイクした松原ですらレギュラーが安泰ではないと言われるほどだ。(C)Getty Images
 春季キャンプも目前となり、各球団の陣容もおおむね固まってきた。ここでは、各球団のこのオフの選手の入退団状況を見ながら、戦力アップにつながる補強ができたかどうかを、A~Eの5段階評価で振り返る。

※A=よくできました、B=まずまずです、C=可もなく不可もなく、D=がんばりましょう、E=もっとがんばりましょう

■ヤクルト
評価=まずまずです(B)

【オフの補強ポイント】
○先発投手陣の整備
×リリーフ左腕の獲得
△青木宣親の後継者候補

 日本一に輝いたチームだけあって、急を要する補強個所はそれほどない。とは言うものの、打者有利な神宮球場をホームとしている以上、投手力の整備は常に欠かせない。このオフは外国人投手を2人獲得している。昨年まで在籍していた投手と同姓のスアレスは、韓国で2ケタ勝利を挙げた左腕で、もうひとりのコールもメジャーではリリーフで使われていたが、ヤクルトでは先発として構想されている。2メートル近い長身からの速球派かなり威力があり、投手層は厚くなったと言える。

 野手陣ではサンタナ、オスナと再契約して流出を防いだのが最大の“補強”だ。ドラフトでは、40歳になる青木の後継者候補として、俊足が武器の丸山和都(明治大)を2位で獲得した。層が薄い救援左腕の底上げはできなかったが、全体的にはまずまずの補強になったと言えそうだ。

【主な入退団選手】
▼IN
コール(投手/ブルージェイズ=MLB)
スアレス(投手/LG=韓国)
山下輝(投手/法政大)
丸山和都(外野手/明治大)

▼OUT
アルバート・スアレス(投手)
 ■阪神
評価=がんばりましょう(D)

【オフの補強ポイント】
△拙守の改善
△スアレスの代役

 惜しくも優勝を逃した理由のひとつは、リーグワーストの86失策を記録した守備面にあった。ただ、内野陣には補強がなく、外野ではリーグ最多の7失策を喫したサンズを解雇。代わりの新外国人野手は取っておらず、ロハス・ジュニアが代わって入る公算が高い。FA権を取得した捕手の梅野隆太郎を引き留めたのは大きいが、「補強」という点では物足りなさも残る。

 投手陣でも、メジャーへ流出したスアレスの代役クローザーに不安を抱える。2人の新外国人投手のうち、その重責を任されそうなのはケラーだが、スアレスが圧倒的な成績だっただけに簡単に穴が埋まるとは思えない。おまけにコロナ禍で来日の目処が立っておらず、開幕からクローザー不在となる恐れもある。また、左腕リリーフも駒不足で、ドラフトでは大学生左腕を2人指名。矢野輝弘監督が「好打者が多い」とこぼしていたセ・リーグの左バッター対策が期待される。

【主な入退団選手】
▼IN
ケラー(投手/パイレーツ=MLB)
ウィルカーソン(投手/ドジャース3A)
鈴木勇斗(投手/創価大)

▼OUT
スアレス(投手)
サンズ(外野手)
エドワーズ(投手)
 ■巨人
評価=まずまずです(B)

【オフの補強ポイント】
○得点力増のための助っ人補強
△先発投手陣の底上げ

 優勝を逃した年のオフにFA選手を獲得しなかったのは11年ぶりだ。それは宣言した選手が又吉克樹(中日→ソフトバンク)のみだったからでもあるが、近年のFA補強では丸佳浩を除いて大して戦力になっていないこともおそらく関係している。

 その代わりに新外国人として、昨年までメジャーのレギュラーだったポランコを手に入れた。まだ30歳で、2億5000万円の年俸に見合う活躍ができれば、リーグ4位の得点力は確実に上向くだろう。

 また、中5日ローテーションを強行したほど苦しかった投手陣を底上げするため、新外国人でアンドリースを獲得した他、ドラフトでは上位3位まで大学・社会人投手で占めた。ただし、1位の大勢(関西国際大)は典型的な素材型で、即一軍で活躍できるかは微妙。豊富な選手層を背景にトレードを試みても良かったように思える。

【主な入退団選手】
▼IN
ポランコ(外野手/パイレーツ)
アンドリース(投手/エンジェルス)
ウォーカー(外野手/米独立リーグ)
大勢(投手/関西国際大)
山田龍聖(投手/JR東日本)

▼OUT
サンチェス(投手)
 ■広島
評価=まずまずです(B)

【オフの補強ポイント】
△鈴木誠也の後釜
○左腕不足の解消

 まだ正式には決まっていないが、鈴木のMLB移籍は確実。少しでもその穴を埋めねばならないとあって、ドラフトでは中村健人(トヨタ自動車)、末包昇大(大阪ガス)と社会人外野手を2人指名した。ただ、少なくとも22年の戦力という点では、昨季3Aで32本塁打を放ったマクブルームに期待がかかる。やや粗さはあるもののパワーは十分で、鈴木の後釜として打線の中軸を担うことが期待される。

 投手陣では2人の助っ人を獲得し、アンダーソンは先発、ターリーはリリーフで起用予定。昨年は野手のクロンも含め3人の新助っ人が全員機能しなかったが、今年はどうだろうか。

 ドラフトでは、1、2位で黒原拓未(関西学院大)、森翔平(三菱重工West)と即戦力投手を指名。いずれも不足気味の左腕であり、防御率リーグ5位に終わった投手力の改善を目指す姿勢は明確だった。全体的に的確な動きではあったけれども、鈴木の穴が大きすぎて戦力ダウンは避けられそうもない。

【主な入退団選手】
▼IN
マクブルーム(内野手/ロイヤルズ)
アンダーソン(投手/レンジャーズ)
ターリー(投手/ホワイトソックス3A)
黒原拓未(投手/関西学院大)
森翔平(投手/三菱重工West)

▼OUT
鈴木誠也(外野手)
クロン(内野手)
バード(投手)
 ■中日
評価=もっとがんばりましょう(E)

【オフの補強ポイント】
×貧打線の解消
△又吉の穴埋め

 ダントツリーグ最下位の405得点に終わった貧打線強化が最大のテーマで、ドラフトでも1位でブライト健太(上武大)、2位で鵜飼航丞(駒沢大)と、大学生外野手を立て続けに指名した。その意味でポイントは外していないものの、ブライトは4年春以外に実績を残していない素材型。東都大学リーグで秋に5本塁打を量産した鵜飼も通算打率は.220とあって、即戦力と言えるかは微妙だ。トレードもなく、新外国人もここまでは育成選手を獲得したのみとあって、消極的な姿勢にファンから批判の声も上がっている。

 投手陣では、FAでソフトバンクへ移籍した又吉克樹の人的補償でベテランの岩嵜翔を獲得。成長が期待される若手も複数いて、こちらはそこまで大きなダメージにならない可能性もある。ただ、やはり打線はこのままではかなり心配。立浪和義新監督は石川昂弥や根尾昂、岡林勇希など若手選手の積極起用を明言しているが、「オフの補強」という点では物足りないと言わざるを得ない。

【主な入退団選手】
▼IN
岩嵜翔(投手/ソフトバンク)
ブライト健太(外野手/上武大)
鵜飼航丞(外野手/駒沢大)

▼OUT
又吉克樹(投手)
ガーバー(外野手)
ロサリオ(投手)
 ■DeNA
評価=がんばりましょう(D)

【オフの補強ポイント】
△先発・リリーフ両方のテコ入れ
×捕手不安の解消
×機動力の改善

 一番の補強ポイントは、防御率がリーグ唯一の4点台だった投手力の改善。しかしながら、ドラフトでは高校生の小園健太(智弁和歌山高)を1位指名。将来のエースを獲得したこと自体は問題ないが、即戦力候補として指名したのは2位の徳山壮磨(早稲田大)と4位の三浦銀二(法政大)。将来的にはともかく、今季すぐ一軍で戦力となるかどうかは疑問符がつく。

 抑え候補として獲得した新外国人のクリスキーは、最速157キロの速球と切れ味鋭いスプリットの評価が高いが、制球面に相当な不安を抱えている。日本ハムから戦力外になった大田泰示を拾い上げ、楽天からは藤田一也を復帰させたが、どちらも補強ポイントには合致しない。レギュラーを固定できない捕手や、機動力を使える選手も欲しいところだったが、後回しにされた。大田の加入は大きいが、チームの課題が解消できたかという視点では、厳しい点をつけざるを得ない。

【主な入退団選手】
▼IN
大田泰示(外野手/前日本ハム)
クリスキー(投手/前オリオールズ)
徳山壮磨(投手/早稲田大)

▼OUT
シャッケルフォード(投手/自由契約)

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球「ドラフト」総検証 1965-』(いずれも言視舎)。
 

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