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もしも、薬物を使ってなかったら――。米メディアが強打者ボンズの成績を再評価。注目される殿堂入りに影響は?

本塁打か四球か――。全盛期のボンズはまさに手のつけられない強打者として名を馳せた。(C)Getty Images
「もしも、バリー・ボンズが禁止薬物を使用していなかったら――」

この興味深いテーマに米メディアと野球統計学の権威が切り込んだ。現地時間12月10日に米スポーツ専門局『ESPN』は、「ボンズのPED(ステロイドなどのパフォーマンス増強剤)の影響なしでの成績を評価する」と銘打った特集記事を掲載。1999年から禁止薬物を使用し始めたと見られているボンズの成績をあらためて分析した。

ボンズは言わずと知れた強打者である。とりわけ37歳となっていた2001年シーズンの戦績は圧巻で、打率.328、73本塁打、137打点、13盗塁、出塁率.515、長打率.863、OPS1.378と、桁違いに打ちまくった。

しかし、現役後半にパフォーマンスを向上させる禁止薬物の使用スキャンダルが判明。その影響もあって、候補者となってから9年連続で殿堂入りを逃している。

そんなボンズの成績について「PEDの力がどれだけ影響したのか?」と大胆に切り込んだ『ESPN』は、野球統計学の権威であるダン・シンボルスキー氏にPEDを使用しなかった場合の成績に対する調査を依頼。同氏が生み出した加齢によるパフォーマンスの低下傾向から生涯成績を予測する「ZiPSプロジェクションシステム」で調べた結果、驚異の73本塁打を放った2001年は、23本塁打に。また、通算本塁打数もMLB歴代1位の762本から551本に落ち、通算のWARも、これまでは歴代2位の164.4だったが、スタン・ミュージアルと並ぶ歴代9位の128.7に下落した。

とはいえ、本塁打は551本である。同メディアは、その本数が、すでに殿堂入りを果たしているミッキー・マントル(536本)、マイク・シュミット(548本)を超える数字になっていると指摘。さらに、一連の調査を受けて「ボンズは摂取した物質がPEDであることを知らなかったと言っている」と前置きしたうえで、こう論じた。
「今回の調査によってボンズのキャリアとレガシーの見え方が明らかに異なるのは間違いない。ZiPSは、ボンズの成績とキャリアが、なんであれ素晴らしいものだと示した一方で、野球界の記録簿が大きく変わることを浮き彫りにした」

これまでも、ステロイドなどの禁止薬物の影響を受けているボンズを殿堂入りさせるかどうかの議論は絶えなかった。しかし、元ボストン・レッドソックスの主砲デイビッド・オルティスが「ボンズがステロイドのおかげだけでホームランを打っているとは思えない。それだけで、彼のホームランの価値が損なわれるとは思えない」と言ったように、1999年前の成績で十分に殿堂入りに値するのではないかと見る向きはある。ZiPSが明らかにした「かなり精度の高い予想」による今回の成績再評価は、殿堂入りに向けた動きをより強めるには、十分ではないだろうか。

今月末で締め切られる22年度のMLB殿堂入り投票。ボンズは有資格10年目となるため、文字通りのラストイヤーとなる。全米野球記者協会の記者投票で有資格となる75%を満たせば、偉人たちの仲間入りを果たせるが、はたして――。

構成●THE DIGEST編集部

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