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クラブセッティングも異彩! 豪州から最高峰を目指す黄金世代・杉原彩花の“超個性”

杉原彩花が描く米国への道とは?(撮影:ALBA)

<ISPS HANDA・ワールド招待 初日◇17日◇ガルゴルム・キャッスルGC、キャッスルロックGC(北アイルランド)◇6486ヤード・パー72、6231ヤード・パー73>

今週の米国・欧州共催大会には、米国を主戦場にする西村優菜と、欧州を舞台にプレーする識西諭里、そしてオーストラリアツアーから世界を目指す杉原彩花の日本勢3人が出場している。杉原は、「今まで私が出てきたなかで一番大きいトーナメントです」と目を輝かせている。

1998年7月23日生まれの杉原は、畑岡奈紗、勝みなみ、渋野日向子といった現在海外でプレーする選手たちと同じ黄金世代のひとり。もともと米国ツアーへの憧れが強く、日本ツアーから世界へ飛び立つ夢を叶えるため、初めて受験が可能になった2017年から日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)のプロテストを毎年受験してきた。しかしここまで合格には至らず。そこで選んだのが、QTを経て20年シーズンからプレーするオーストラリアだった。日本とは季節が逆になるため、秋から春先まで海を渡ってツアーを戦い、夏場は帰国しプロテストを受けたり、というのがここ数年の動き方だ。

異国では刺激を受けることも多い。「オーストラリアは今年から、1試合を除いて男女の大会が一緒に行われるようになったんです。予選ラウンドの組み合わせは男子2人に女子が1人という感じ。男子は、やることが違うという感じ(笑)。パワーもすごいし、ラウンド中もめっちゃ見てます」。この北アイルランドの大会も、DPワールド(欧州男子)ツアーも共催で男子プロたちも同じ会場でしのぎを削るが、そんな雰囲気をすでに味わっている、ともいえる。

その生活のなかで、長年描いてきた青写真も変わりつつあるという。「オーストラリアに行ってみると、女子でもそのままアメリカツアーに行く選手がいたりする。より、道筋がはっきり見えた気がしました」。日本でも畑岡のように日本ツアーを経験せずに海を渡ったケースはあるが、ほとんどが渋野や勝のように、“日本ツアー経由米国行き”が一般的。しかし、そんな価値観もガラリと変わった。

これまではプロテストと米ツアー予選会(Qスクール)の時期が重なっているため、プロテストを優先してきたが、「どっちを選ぶかをもう一度考えてみてもいいかなと思っていて。来年はQスクールに行く可能性もあります」と方針を変える可能性も。先月25歳になったばかりの若者は、今、岐路に立たされている。

ドライバーの平均飛距離は「270~280ヤード」を誇る飛ばし屋。「距離で困ったことはないですね」と、それは武器になる。ただ、“異色ぶり”はこんなところにも。「ウッド系があまり得意じゃないんです(笑)」。実際キャディバッグにさしているウッドはドライバーのみだ。「得意クラブはアイアンなんです。ドライバーは目立つだけ(笑)。飛ばすために使って、あとはアイアンで運ぶスタイルにしたいんです」。ドライバーの下はユーティリティ代わりに使用する飛び系の3番、4番アイアンにつながっていくセッティング。バッグのなかも異彩を放っている。

さらに「ソールをちゃんと地面につけて、胸の回転で打ちたいと思ったらこれに落ち着いた」と話す、体をグッとかがめ、目線を下げて放つパッティングスタイルも個性的。ニコニコ、ハキハキと受け答えする姿からは人柄のよさもにじみ出ている。

この試合には、所属先がISPS(国際スポーツ振興協会)という縁もあり推薦で出場。初日は3オーバー・81位タイでの滑り出しとなったが、きまぐれな強い風が吹くタフなコンディションのなか、「耐えるところは耐えられた」と及第点を与えた。まずは2日目と3日目にあるカットを乗り越え、日曜日まで戦うことが目標。そして「予選を通ることができたら、土曜日から攻めていきたいです」と力強く宣言する。

同世代はすでに日本、そして世界で活躍している。「行きたいな。私もアメリカでプレーしたいと思いながら見ています」。ラウンドを終えると、練習のため車で50分ほどかかる、2日目の会場キャッスルロックGCに向かった。努力することももちろん忘れない。この北アイルランドの大会で「今、自分はどこにいるのか。どこまでやれるのか」を測っていく。(文・間宮輝憲)

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