「ライバル」の名前を見て発奮 最年少日本プロ覇者・平田憲聖が2000年世代ではプロ2勝目一番乗り
<日本プロゴルフ選手権 最終日◇30日◇恵庭カントリー倶楽部(北海道)◇7441ヤード・パー72>
初日から首位を守っていた22歳の平田憲聖は、前半2つスコアを落として、一時は追う立場になったが、後半に4つ伸ばして再逆転。5バーディ・4ボギーの「71」で回り、2位に2打差をつけて完全優勝を果たした。22歳246日での日本プロ制覇は、1973年のツアー制度施行後では、2021年大会でのキム・ソンヒョン(韓国)が持つ22歳290日を更新する最年少記録となった。
得意のインコースでスイッチが入った。「6番と8番が難しいので、その前にバーディをとらないといけないと考えてしまって…」と、3日目までのアウトコースの累計スコア1アンダーに対してインコースは9アンダーと好対照だ。最終日も1番パー4で幸先よくバーディを奪ったが、6番、7番、9番と立て続けに3パットのボギーで後退した。
「昨日までも後半盛り返していたので、今日も諦めずにプレーしました」。“得意”のインコースでは12番で1つ伸ばすと、14番に向かう途中でリーダーボードが目に入る。最終組の上井邦浩、金谷拓実だけでなく「中島(啓太)と蝉川(泰果)が上位に上がってきているのを確認しました。負けたくないと思いました」。2000年度生まれのライバルたちの名前を見て、闘争心に火がついた。
14番パー4では15メートルのバーディパットをねじ込み、トータル10アンダーで単独首位に返り咲く。「このとき9アンダーに4人いて、1つのバーディが大きな意味を持つのは分かっていた。しっかり集中していました」。15番パー4では2打目を4メートルにつけてバーディ。頭一つ抜け出すと、17番パー5でも5メートルを沈めて勝負を決定づけた。
今季初優勝を遂げた「~全英への道~ミズノオープン」では、後方から追い上げてきた金谷、中島、蝉川に競り勝っている。そして今週は終われる立場から出て「負けたくない」と集中力を発揮して逃げ切り、同世代ではプロ2勝目一番乗り。「中島も蝉川も昔から知っているし活躍も見てきました。今はいい意味でライバル。切磋琢磨して、みんなで盛り上げたいと思っています」と同世代へのライバル心は一つの力になる。
先週は「全英オープン」で海外メジャーを初体験。「自分が想像していたより、世界のレベルは果てしなく高くて…」と自分が苦しんでいるコースで、平気でアンダーパーで回る世界を間近で見た。148位で予選落ちに終わったが、「もっとショットの精度を上げないと」と、その悔しさをバネにした。
この優勝で賞金ランキングは3位に浮上。1位・金谷、2位・中島、4位・蝉川と新世代がツアーをけん引中。「早く3勝目を挙げたい。地元(大阪)で開催される日本オープンも頑張りたい」。これからも若い世代が白熱の争いを見せてくれそうだ。(文・小高拓)
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