パター選びは直観が大事? 誰も語らなかったパター恋愛論

パターの好みはひとそれぞれ。直観的に好きと思えるものを選ぶことが大切。ある意味恋愛と似ている?

パターヘッドは、どうしてこうも種類が増えたのか? たくさんあり過ぎて、正直どれを選んだらいいのか迷います。様々な情報から、最終的にこれがいい!と感じるものを選ぶわけですが、よく考えると、なぜ「これがいい」と思うのでしょうか。好みといえばそれまでですが、どうやらそこにもちゃんとした理由がありそうです。

ピン型、アンサー型、ブレード型、トウ&ヒール型。実はこれ、すべて同じ形状のパターヘッドの名称です。同じ形状でも複数の呼び方があるところが、パターの面白さでもあります。大まかに分ければ、昔からあるシンプルで細身の形状と、複雑だけど大きい形状に分類できます。それに、ネックが何種類もあるパターに、前重心と広深重心があったり、長さや重さという違いもあります。

これほど多種多様なモデルが増えたのは、入れたい、寄せたいというゴルファーの願望が、具現化したもので、科学的な視点からの発見と、ゴルファーの好みに合わせていく偶然の中で、生まれては消えていくことを繰り返した結果なのです。

パターのテクノロジーの歴史は、形状の多様化より先に、新しい素材を採用することから始まったのですが、21世紀になってからは、素材を複合させて良い部分の掛け算を狙うパターヘッドが最先端になっています。

最近になって、より精密にゴルファーの動きとボールの動きを画像解析できるようになりました。その成果のひとつが、パターのヘッド形状が多様化した理由の一部を明らかにしたのです。それは、『パターの見た目は、方向性に大きく影響する』という法則です。体感的に、それはゴルファーの中では常識化していましたが、科学的に証明されたのです。

「こういう形状は方向性が良くなる」という法則ではありません。ゴルファーごとに、方向性が良くなる形状があることがわかった、ということなのです。“構えやすいと感じるヘッド形状=ショートパットで不安がなくなる=結果が出る。”という方程式です。つまり、自分が「これいいな!」と思えるパターは、良い結果につながりやすいということです。

プロゴルファーが、「この顔がいいんだよね」とか「この顔に一目ぼれ」なんていう言葉で説明している記事を読んだことがあるかと思いますが、まさにそういうことだったんですね。ある人からするとめちゃくちゃ好みでも、違う人にとってはそんなに惹かれない。当たり前かもしれませんが、ゴルファーごとに「好き」は異なるということです。

確かに、ヘッドデザインの直線が気になる人もいれば、曲線に歪みがないことが気になる人もいます。サイトライン派か、フェースライン派かでも明確に分かれますし、ネック形状にも確実に相性があります。面白いことに、初心者のほうが直感的にパターを選ぶので、方向性が良いと思うものを選べ、と教えてあげれば、自分に合うパターをちゃんと選ぶような気がしてなりません。

この話を聞いた知人の恋愛マスター曰く。
「パター選びは恋愛と一緒だ!」自分が好きだと思う形状は「直感的に方向性が良くなるパターヘッド形状であるはずだ」、というのです。

恋愛マスターの主張はこうです。恋は本能なので、ひと目惚れに代表されるように、その容姿に自分の中の“好き”が勝手に反応するんだそう。その反面、愛は理性な部分が多く、物語や環境や状況に反応して深まるとか。なるほど、確かに一理はありそうな話です。パターは、愛すべきものですが、恋することができなかったら使えない! という感覚は、ゴルフ歴が長い人ほど共感できる気がするのです。みなさんはどう思われますか?

おっぱい大好きの男子の初恋も、例外なく小学校低学年以下のことが多いですが、その初恋の相手が、大人になっておっぱいが立派になっている確率は8割を楽に越える、そう恋愛マスターは豪語していました。(ホントか?)

そういえば似たような話で、女性は男性より匂いに敏感で、自分とより遠い遺伝子の関係にある男性の匂いを好きと感じるそう。自己とは遠く異なる遺伝子を持つ異性の匂いをかぎ分けることができるのは、より強い子孫を残すための本能だそうです。(逆に、娘がお父さんの匂いを嫌がるのは、遺伝子的に考えて至極当然ということになります)三つ子の魂百まで。何らかの本能的な直感によって、人間もちゃんと好みのタイプに恋しているのです。

自分にも当てはめてみると、パターはネックがシンプルで、ヘッドが小さいモデルが好きで、女性も華奢で大きすぎないタイプがストライクです。みなさんはどんなタイプが好みでしょうか? さて、あなたのパターは、人に恋しちゃう好みと同じベクトル上にありますか? でかくて、やたらと直線を強調するデザイン、本当は好きじゃないけど人気だから使ってるとか…。もし自分の好みと著しく違うパターを使っているとしたら、それがパットに苦労している原因なのかもしれません。

(取材/文・篠原嗣典)

関連記事