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+2から-1にカムバックの石川遼 今年は“カニスピン”で安全に攻める!?「やっぱり楽しい」

石川遼は初日を1アンダーで終えた(撮影:佐々木啓)

<ISPS HANDA 欧州・日本どっちが勝つかトーナメント! 初日◇20日◇PGM石岡ゴルフクラブ(茨城県)◇7039ヤード・パー70>

10番からスタートして、前半最後の18番、後半最初の10番ともにティショットで右プッシュのミスから、一時は2オーバーまでスコアを落とした石川遼。しかし、「そこからはもう100点だった」と、残り7ホールで4つのバーディを奪って、なんとか1アンダーで初日を終えた。

きのうから石川が「すごく興味深い」と話していたピンポジション。今週は日欧共催大会とあって、コースセッティングやインコースのピンポジションは欧州ツアーが担当している。「やっぱり予想通りのピンポジション。残り130~140ヤードでピンを狙いたい状況のときに、左から4ヤード、奥から4ヤードとかで、けっこう技術の差が出るなと感覚的に思った」と振り返る。

ピンを狙って左や奥に外せば難しいアプローチが残る。かといって、安全に攻めていてはなかなかバーディは獲れない。つまり、4ヤード以内のミスに収めることが技術の差であり、スコアの差にもなる。

「奥から7ヤードあれば、5ヤードミスしても奥から5ヤードのパターが打てる。それが奥から4ヤードで、5ヤードのミスは奥のラフにキャリーで外れてもっと悪いところに行ったりもする。そうなると状況はまったく変わる。ただ、右や手前が大丈夫だったり横も縦も全方向がダメではないので、ほとんどPGAツアーと同じセッティングだなと思いました」

そう語る石川はスイング改造が完成に近づいた今、「安全に攻める」ショットにトライしている。それが顕著に出たのは15番パー4だ。右サイドに池が伸びている465ヤードの右ドッグレッグで、きょうのピン位置は右。ティショットはドライバーでコースなりにフェードを打ってフェアウェイセンターに置くと、セカンドショットもフェードでピン左奥2メートル弱に乗せた。スイングを固めるためにドローだけで戦っていたときには見られなかった攻めだ。

「いままではドローのイメージで打っていた。きょうは普通に左に出してフェードで打っていくほうがイメージも出るし、それができるとリスクも少ない。なるべく右を消しながら左に落として1ヤードでも右に、“カニスピン”じゃないですけど(笑)」

右から左に曲がるドロー回転がかかっていると、ボールは落ちてから左に転がる。フェード回転なら逆となる。だから、右ピンをドローで狙ってバーディチャンスにつけるには、ピンの右の狭いところに落とさなくてはならない。右に外せば当然、ピンサイドの難しいアプローチやバンカーショットが残る。それがフェードでピンの左に落とせば、右に外すリスクを避けながら、ボールは落ちてからピンに寄せることができるのだ。

ちなみに“カニスピン”とは、バンカーなどでアウトサイド・イン軌道でカットに打ったとき、強烈なサイドスピンにより、ボールが落ちてから急激に右に転がっていくこと。だからバンカーではピンの左サイドに落とすことが多い。

ピンが左に切ってあるときはドローで右に落とし、ピンが右のときはフェードで左に落としてピンに近づけていく。スイング改造前は普通にやっていたことではあるが、1年前はあえてドローとフェードの打ち分けを封印していた。それが、スイングが固まってきたことで“解禁”。「先週くらいからやっているんですけど、やっぱりめちゃくちゃ楽しいですね」と笑顔。あす以降も欧州ツアーの厳しいピンポジションに弾道を操って攻めていく。(文・下村耕平)

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