渋野日向子のシン・パターはPING 2023 PUTTER『ANSER 2D』。その答えは最強!
再び青木コーチとより“高み”に
既に数多く報道されている通り、今年の渋野日向子は再び青木翔コーチとタッグを組んでいる。ここ2年ほどは“低いトップ”に改造していたが、上の2月の「ホンダLPGA」練習日で撮影したトップを見てほしい。昨年とはうって変わって、青木コーチと共に“高いトップ”の新スイングへシフトした。また、今年のクラブセッティングを見ると、珍しく大きなギア変更があった。
【渋野日向子の2023年2月のクラブ】 ※クラブは全てPING
1W/G430 MAX(10.5°ベンタス TRブルー5S)
3W/G430 MAX(15°ベンタス TRブルー5S)
5W/G430 MAX(18°ベンタス TRブルー6S)
4U/G430(22°スピーダーTRハイブリッド75S)
5U/G430(26°スピーダーTRハイブリッド75S)
6I~PW/i230(MCI80R)
50,54,58°/GLIDE 3.0(MCI MILD 105)
PT/PING 2023 PUTTER ANSER 2D
BALL:タイトリスト Pro V1X
それが、今年から採用した『PING 2023 PUTTER ANSER 2D』だ。真っ黒なピン型で、フェースインサートの入ったものになったが、これはコーチの教えか?と思いきや、そうではなかった。渋野とPINGのツアー担当によるフィッティングで、約半年間使った削り出しのマレット型『PLD MILLED DS72』から変更していた。
『ANSER 2D』の理由は「インサートの柔らかさ」
では、今年から替えた『ANSER 2D』のどんな所が気に入って使用しているのか? 渋野は「インサートが柔らかくて、以前使用していた『SIGMA2 ANSER』に打感が似ている感じがするからです」と即答する。決め手に挙げたのは、まず【打感】だった。
『PING 2023 PUTTER』はモデルによってインサート有り/無しが分かれている。『ANSER 2D』は角張った幅広ブレードが特徴だが、渋野が『SIGMA2』で使った丸みのあるピン型の『ANSER』も用意されている。が、こちらにはフェースインサートは無く、渋野は打感が決め手で『ANSER 2D』を選んだのだった。また、同社のツアー担当はそれ以外の理由も挙げる。
「昨シーズンはマレット型の『PLD MILLED DS72』を使用しましたが、エースは変わらずピン型の『SIGMA2 ANSER』のようです。『SIGMA2』に近い打感のものが第一ですが、ピン型が好みなものの【やさしさも欲しい】とのリクエストがあり、ピン型より幅広な『2023 ANSER2D』をテストいただきました。打感や転がり、見た目と実際のやさしさや安心感を気に入ったようです」(PING・ツアー担当)
この“やさしさ・転がり”という言葉にも、『SIGMA2 ANSER』や『PLD MILLED DS72』といった、これまで渋野が使ったパターには無かった要素が現れている。
それが上の画像に見え隠れする、トウとヒールの下部に配置された、タングステンウェイトだ。ピン型パターは元々成り立ちからトウとヒールにバック部の周辺重量配分を行っているが、フェース側にもさらにブレない要素を追加していた。
数々の勝利実績を積み上げた『SIGMA2 ANSER』
ツアー担当も指摘した通り、渋野といえば、プロデビュー時から『SIGMA2 ANSER』を使用してきたことはファンなら当然知るところだろう。このピン型パターはプロ入り当時から、昨年の7月まで4年以上も使って国内女子ツアー6勝、海外メジャー1勝と、凄まじい実績を積み上げた大エース。
そのスタッツを簡単に振り返ると、国内女子ツアー本格参戦1年目にして、2019年のパーオンホールの平均パット数が「1.7582」で2位、1ラウンド平均が「29.1144」で5位。実は、プロテスト合格まではマレット型を使っていた渋野だが、当時のストロークは、ヘッドを開きながらインサイドからアウトサイドに抜けていく軌道を描いていた。
そこで、プロ入り時にマレット型からピン型へと変更し、イン・トゥ・インの軌道でフェースの開きを防いだ。このパター変更によって、渋野はパットの名手かつ、【強気なパッティングが持ち味の選手】として、全国のゴルファーに知られることになった。
そして、昨年の7月からは『PLD MILLED DS72』を使用していたが、今シーズンからは新たにPING 2023 PUTTER 『ANSER 2D』にスイッチしている。エースパターを封印してまで選んだPING 2023 PUTTER 『ANSER 2D』の魅力とは一体どんな所にあるのだろうか。
『ANSER 2D』はいいとこ取り?
今年の渋野の選択は、過去の2本のいいとこ取りへとシフトした形だ。幅広な見た目の『ANSER 2D』は、通常のブレードよりやさしく見える。元々マレット型ユーザーだった渋野にとっては、エースの『SIGMA2 ANSER』とサブエースの『PLD MILLED DS72』のいいとこ取りで、エースをよりやさしくしたような存在と言っていいだろう。
実際、よりグリーンの起伏があり芝質も様々な米国女子ツアーでは、日本の絨毯のようなグリーンと違い、よりシビアになるはず。そういった日米の違いについて渋野に聞くと「どんなグリーンに対しても【直進性を大切に】、良い転がりで打てるようにしています」と話していた。ちなみに、渋野の『ANSER 2D』の細かなスペックを聞くと、ツアー担当は下記のように明かしていた。
【渋野SPEC】
◆モデル/PING 2023 PUTTER ANSER 2D
◆シャフト/STAINLESS STEEL(33インチ)
◆グリップ/PP58 MID BLUE
◆ロフト角/3.0°
◆ライ角/ORANGE(2度フラット)
【エースに近い打感】と【直進性】と【やさしさ】に答えを見出し、シン・エースパター『ANSER 2D』が炸裂する日が迫る渋野日向子。他メーカーならプロが使うものと同スペックを作るのはまず無理だが、PINGならそれが可能。そう、あなたも渋野スペックを真似できるのだ。
もし、ピン型とマレット型を行き来していてパットが入っていないなら、今年は渋野の答え(ANSER 2D)で決まりだろう。向こう数年のパターの悩みが解決するかもしれない。
撮影/福田文平、GettImages
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