岩井千怜の高速回転を邪魔しない“右ヒジ”使いがすごい 早めコックの注意点は?【女子初シードスイング解説】
3月2日の女子ツアー開幕に先がけ、22年に初シードを獲得した11人のスイングを飯島茜が解説。同時に今季の活躍を占う。今回は初優勝から2連勝を達成した岩井ツインズの妹、千怜の女子プロ離れしたスイングを見ていこう。
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岩井千怜 いわい・ちさと
2002年7月5日生まれ 20歳 埼玉県出身 身長162センチ
メルセデス・ランキング18位 年間獲得賞金22位(5444万2555円)
22年シーズン2勝(NEC軽井沢72ゴルフトーナメント、CAT Ladies)
ドライビングディスタンス12位 246.61ヤード
フェアウェイキープ率62位 65.0332%
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ヘッドを遠くに上げていく選手が多いなか、岩井千怜はバックスイングで早めに手首のコックを使い、体をネジり上げていく。「コックが早いか遅いかは好みですね。アマチュアの方はあまり気にしない方がいいんですけど、手首を横にロールする動きだけはダメ。私がオススメするのは30センチは体の回転でヘッドを真っすぐ引いてから、右ヒジをたたんで縦に手首を折る。そうすれば右ワキが空きません。千怜さんもそうなっています」。
そして飯島は、そのバックスイングの捻転量に驚く。「肩の入り方とか捻転がすごく上手い。正面からこんなに左肩が見えるのに、足の形は変わらず正面を向いて耐えている。だから飛ぶのがよくわかります。ウェアのシワを見ると、すごく捻れているのがわかりますよね」。柔軟性と体幹の強さが緩みのない大きな捻転を生み、切り返しではそのエネルギーをしっかり股関節で受け止めて飛距離に転換している。
さらに飯島が飛ぶポイントとして挙げるのが右ヒジの使い方。「右ヒジがカラダの正面で曲がったままフォローまで運べている。男子プロっぽい動きです。ひと昔前の女子のスイングといえば、右ヒジを右ワキに着けて振る選手が多かった。それが悪いわけではないけれど、カラダの回転が詰まってしまうことがある。最近は千怜さんのように、右ヒジの位置を体の正面にキープしたまま返さない選手が増えてきています。その方が体の回転を邪魔せずにフォローが大きくなって飛ぶし、インパクトゾーンが長くなるから曲がりづらいのです」。
そのうえで岩井千怜の今年の活躍にも太鼓判を押す。「捻転がしっかりできていてフォローも長い。トレーニングもしているでしょうしカラダの強さを感じます。それに千怜さんはダイナミックなゴルフをしますしパターも思い切りがいい。もっと勝ちそうですよね」。千怜と明愛の岩井ツインズは今年も旋風を巻き起こしそうだ。
■飯島茜
いいじま・あかね 1983年7月11日生まれ。千葉県出身。05年のプロテストに一発合格すると、同年から12年連続でシード権をキープし、「日本女子プロゴルフ選手権」などツアー通算7勝を挙げた。現在はツアーの第一線を退き、東宝調布スポーツパークでアマチュアにレッスンを行ったり、YouTuberとしても活躍中。
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