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メジャーハンターが完全優勝 チョン・インジが明かした”苦悩と覚悟”【米女子22年名勝負】

優勝カップを掲げるチョン・インジ、このあと語られた苦悩とは?(撮影:Getty Images)

米国女子ツアーはタイ決戦を皮切りに、いよいよ2023年シーズンが本格的にスタートする。今季はこれまでの畑岡奈紗、渋野日向子、古江彩佳、笹生優花に加えて勝みなみ、西村優菜といった選手も参戦。ますますの盛り上がりを見せるであろう戦いの前に、昨シーズンの名勝負を振り返りたい【KPMG全米女子プロゴルフ選手権】

2015年に「全米女子オープン」を制覇、翌年には「エビアン選手権」で勝利し、韓国、日本のナショナルオープンも制していることから『メジャーハンター』の異名をとるのが“ダンボ”ことチョン・インジ。そんなインジが、メジャー大会で目覚めた。

初日をアンダーパーで終えたのはわずかに14人というなか、インジは9バーディ・1ボギーの「64」でプレー。2位が3アンダーということも加味すれば、まさに“異次元”ともいえる一日だった。「集中していたので、いくつバーディを獲ったか分かっていなかった(笑)」と完全なゾーンに入り、いきなり頭一つ抜けた。

2日目も3つ伸ばして、2位とは6打差。3日目こそダボを叩くなどでスコアを落としたが、それでも差は埋まらず。そして最終日、一時はレクシー・トンプソン(米国)に首位の座を渡したが、逆転に成功。完全優勝で18年「KEBハナバンク選手権」以来の勝利、そしてメジャー3勝目を飾った。

勝利の瞬間には仲間たちが駆け寄り、水をかけて祝福した。そのときインジの目には涙があふれていたが、優勝インタビューではこれまで抱いていた苦悩が赤裸々に語られた。

優勝から遠ざかっていた間にはスランプにも陥り、心ない言葉にたくさん傷ついたインジ。精神的に落ち込んだ時期もあったという。

前週には、姉に相談した。「正直に言って、泣きました。もうアメリカに残ることは難しいかもって」。ゴールが見えなくなっていたことに、しんどさを感じていたのだ。すると、姉からの言葉は『ゴルフを辞めてもいいのよ。ゴルフも大事かもしれないけど、あなたこそかけがえのない存在なんだから』。この優しい言葉で、インジは「ゴルフを辞めたくない」という思いに気づき、覚悟を強くすることになった。

「あんなことがあったのに、優勝できて本当にうれしい。自分自身を誇りに思っている」。苦悩を乗り越えてあふれたのは、“うれし涙”だった。

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