「女子フットサルにもワールドカップを!」FIFAへの会談を求める動画に日本女子代表・吉林千景も参加「夢を追わせてほしい」
「FIFA(国際サッカー連盟)との公式会談を要求するために」の文言と共に、女子フットサルワールドカップの開催実現を求める選手たちのメッセージが込められたものだった。
「男子だけが、ワールドカップを約束されている」
公開された63秒の動画は、各国の代表選手10人が母国のユニフォームを纏い、女子フットサルワールドカップの開催実現を訴える内容となっている。
Las jugadoras no pueden seguir esperando promesas.
Es hora de cumplirlas, @FIFAcom. pic.twitter.com/mHpsK6OuNC
— AJFSF – Asociación de Jugadoras de Fútbol Sala (@AJFSFemenino) November 2, 2022
(動画内翻訳)
「1989年、FIFAは男子フットサルを組織化した」「私たちは?」
「彼らは毎回、ワールドカップを約束されている」「平等は約束されていない」
「(次回大会も)女子のワールドカップは開催されないことになりました」
「そして、私たちは続けます」「トレーニング!トレーニング!トレーニング!トレーニングを!」
「一体いつまで?」
「FIFAは男子フットサルワールドカップの第10回大会を開催する」
「私たちは、まだなにも持っていない」
フットサルにおけるW杯は、1989年にその前身である「FIFAフットサル世界選手権」が開催され、2004年に「FIFAフットサルワールドカップ」に改称した。サッカーと同様、4年に一度、各大陸予選を勝ち上がったチームが争い、フットサル世界一の座を懸けて戦う。
コロナ禍の影響で2020年に予定された前回のリトアニア大会は2021年の開催となったが、1989年から今日まで9回の大会が催されてきた。日本代表も2004年の初出場から2008年、2012年、2020年と4回出場。2024年の次回大会に向けて、代表チームは木暮賢一郎監督の下で新たなスタートを切っている。
しかしながら、これは“男子”の話だ。
最初の世界選手権から30年以上が経った今でも、女子フットサルにはFIFAが主催する世界大会が存在しない。日本においては、2007年に正式に日本女子代表が組織されたが、国際大会は主にアジアに限り、「アジアインドアゲームズ」に出場するための活動は、年に数えるほどしかない(なお、U-18日本女子代表が2018年にアルゼンチンで開催された第3回ユースオリンピック競技大会に出場し、銀メダルを獲得したことはある)。今年の活動はここまで、8月の一度だけだ。
男子との格差がある状況は、世界各国でも同じように起きている。2015年に発足した女子フットサル選手会では、性差による競技環境面や待遇の差異、女子フットサルの地位向上について意見を発信してきた。
そのなかでも、選手たちが特に強く訴えかけてきたのが「女子フットサルW杯の開催」だ。
選手会の公式ホームページによると、FIFA側は「開催しないとは言っていない」と伝えながらも、開催実現を前向きに進めようとする姿勢を見せず、男子W杯開催が“約束”されるなか、女子W杯については言及がされないまま、時間だけが過ぎているという。これ対し選手会は「W杯は開催する。問題はテーブルの上にあるというような言葉はもう聞き飽きた」とコメントしている。
今回の動画には、日本女子代表の吉林千景も出演。自身のSNS上で思いをつづった。
女子フットサルにもW杯を。
この63秒に世界の女子フットサル選手の想いがつまっています。
サッカーや男子フットサルと同じように、世界の頂点を目指す。私たちは、ただ、その夢を追わせてほしいのです。#WomenPlayFutsalFIFA #フットサル #女子フットサル @AJFSFemenino pic.twitter.com/33OuVT60Jk
— Chikage Kichibayashi (@chiiiikage) November 2, 2022
同じFIFA管轄の競技であるサッカーは、1991年に女子W杯が開催されている。それから20年、スペインではリーグ戦が隆盛し、コパ・デ・ラ・レイナ(女王杯)でも6万人を動員したこともある。ヨーロッパ諸国の熱も高まり、UEFA女子チャンピオンズリーグで9万人、UEFA女子ユーロで8万人を超える観客が詰めかけた試合もある。いずれも、1試合の観客動員数だ。サッカーにおいて“女子”の境遇は変化してきた。
当然、フットサルもそうなっていくべきだろう。
“まずは、ワールドカップから”。選手たちの強い思いが込められた動画は、FIFAオフィス内にある「テーブル上の問題」を片付けるきっかけとなるだろうか。
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