神宮大会で“輝いた”大学生の逸材は? 優勝チームだけじゃない、佛教大・木村、慶応・萩尾らが躍動!<SLUGGER>
高校の部は大阪桐蔭、大学の部は中央学院大の初優勝で幕を閉じた明治神宮大会。選手個人では2本のホームランを放ち、1年生ながら早くも高校通算49本塁打に到達した佐々木麟太郎(花巻東高)に注目が集まったが、それ以外にも今後が楽しみな選手は非常に多かった。そんな神宮大会でキラリと光る可能性を見せた選手を高校生、大学生、それぞれ5人ずつピックアップして紹介したいと思う。今回は大学生編だ。
■木村光(佛教大3年・投手)
奈良大付高時代はエースとして3年夏に甲子園に出場。佛教大進学後も早くから投手陣の一角に定着すると、今年は1番手としてチームの春秋連覇にも大きく貢献した。173センチ、70キロと小柄ではあるものの、140キロ台前半のストレートと多彩な変化球を操るピッチングは安定感抜群。バランスの良いフォームで上から腕が振れ、上背以上にボールの角度があるのも持ち味だ。
今大会でも初戦の近大工学部戦で先発を任せられると、8回を被安打2、無失点、11奪三振と圧巻の投球でチームを勝利に導いた。スピードがコンスタントに145キロを超えてくれば、プロ入りの可能性も出てくるだろう。
■渡辺翔太(九州産業大3年・投手)
九州の大学球界を代表する本格派右腕。1年春からいきなりリーグ戦で3勝をマークし、秋には神宮大会で全国デビュー。昨年は故障に苦しんだものの、今年は春5勝、秋4勝と見事な成績を残して2季連続でベストナインにも輝いている。今大会では2回戦で国学院大に敗れたものの、先発で7回を投げて被安打5、1失点、7奪三振としっかりと試合を作って見せた。
躍動感あふれるフォームでストレートはコンスタントに145キロを超え、今大会登板
した投手で最速となる148キロをマーク。カットボール、スプリットも打者の手元で鋭く
変化する強力な武器だ。緩急を使えるようになれば、さらに評価も上がるだろう。
■土井克也(神奈川大3年・捕手)
唐津商では1年夏に控え捕手として甲子園に出場し、3年時にはプロも注目する存在だった強打の捕手。神奈川大進学後も1年春から指名打者としてリーグ戦に出場し、2年秋にはベストナインも獲得している。
今年から本職の捕手に戻ると、神宮大会出場をかけた横浜市長杯準決勝の上武大戦では劇的なサヨナラツーランも放った。今大会も2回戦から準決勝にかけて6打数連続安打、8打席連続出塁を記録するなど主砲として活躍。ゆったりとタイミングをとって広角に強く打ち分ける打撃は大学球界でも上位なだけに、スローイングとブロッキングの安定感が出てくれば楽しみな存在だ。
■萩尾匡也(慶応大3年・外野手)
文徳高では1年夏から4番として活躍した右の強打者。慶応大進学後は2年まで出場機会は少なかったものの、今年の春から出番を増やすと、秋には規定打席不足ながら打率.333をマーク。今大会では3試合すべてにフル出場を果たし、6安打5打点と見事な活躍を見せた。
少し構えは小さく、トップの位置も浅く見えるが、振り出しの強さは一級品。決勝戦で
はバスターでライトスタンドへ放り込んでいるように、コンパクトなスウィングでも飛距離が出るのは大きな持ち味だ。脚力も申し分ないが、外野の守備は少し不安定なだけに、この冬の間に捕球、送球ともレベルアップを図りたい。
【動画】バスターから逆方向にスタンドイン! 慶応・萩尾のスーパーアーチがこれだ!
■伊藤岳斗(龍谷大2年・投手)
下級生の投手で最も強烈なインパクトを残したのが、龍谷大2年の伊藤岳斗だ。高校時代は全国的には無名の存在だったものの、エースで4番として活躍。龍谷大進学後は1年秋に早くもリーグ戦初勝利をマークすると、この秋は主戦となりMVPも獲得している。
手足が長く姿勢も良いため180センチというプロフィールよりもマウンド上で大きく見え、縦に腕が振れるためボールの角度も申し分ない。最速147キロをマークしたストレートだけでなく、多彩な変化球を操る器用さも光る。フィジカル面の強化が進めば、2年後の目玉となる可能性も秘めた大器である。
【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
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