「ツアーを継続的に稼働していく」国際テニス連盟は中国での大会開催を継続する意向「テニスの草の根の発展に責任」<SMASH>
すでに世界規模の事案へと発展しているペン・シューアイの失踪騒動。WTA(女子テニス協会)は一連の問題がいまだ解決へと至っていない状況が続いていることからツアーに多大な利益をもたらしていた中国国内での全トーナメント中止を発表したが、ITF(国際テニス連盟)はATP(男子プロテニス協会)と共にこの動きには追随しない意向を示している。
ITFの会長を務めるデイビッド・ハガティ氏はこのほど発表した声明で「テニスの運営団体として、我々は女性の権利を支持します。ペンの性的暴行の告発については調査されるべきであり、我々はこの状況を解決するために直接、そして水面下でも努力を続けます」とコメント。
だが、その一方で「(中国の)10億人もの人々を罰したくはありませんので、現存するジュニアトーナメントとシニアトーナメントの両方を継続していくつもりです」と中国での大会中止は表明せず。「今後も状況を見守っていきます。世界中でのテニスの発展とツアーを継続的に稼働していくことが本当に重要な要素だと感じています」と述べるにとどめた。
その理由については「ITFは世界的なスポーツの統括団体であり、テニスの草の根の発展に責任を持っていることを忘れてはなりません」と説明。だが、WTAの重大な決断に同調しなかったATPと同様に中国側に忖度をするかのようなITFの姿勢に対し、各国から批判の声が上がっている。
中国の政府高官による性暴力被害を公表した後に消息不明となったペンだが、最近ではペンがコーチらと会食している動画や自宅でくつろいでいる写真などが続々と公開されている。さらにIOC(国際オリンピック委員会)もこれまでに「ペンと2度のビデオ通話を行なった」と発表。だが、WTA側は「彼女(ペン)が他者の影響を受けている」とし、依然として懐疑的な見方を示している。
無論テニスの発展は大切なことだが、まずは第一に選手の安全を考えるべきだろう。何はともあれ、一刻も早くこの騒動が終わりを迎えることを祈るばかりだ。
文●中村光佑
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