【ポジション別ランキング:捕手】強打の森に強肩の甲斐、赤丸急上昇の木下…扇の要ナンバーワンは誰だ?<SLUGGER>
今、それぞれのポジションで最強選手は一体誰なのか? 昨季の活躍やこれまでの実績などを基にトップ5までランク付けした。今回は捕手編だ。
▼1位 森友哉(西武)
2021年成績:125試合 打率.309 11本塁打 41打点 5盗塁 OPS.889
▼2位 甲斐拓也(ソフトバンク)
2021年成績:143試合 打率.227 12本塁打 44打点 6盗塁 OPS.658
▼3位 木下拓哉(中日)
2021年成績:123試合 打率.270 11本塁打 43打点 0盗塁 OPS.748
▼4位 中村悠平(ヤクルト)
2021年成績:123試合 打率.279 2本塁打 36打点 0盗塁 OPS.718
▼5位 坂倉将吾(広島)
2021年成績:132試合 打率.315 12本塁打 68打点 4盗塁 OPS.857
2010年代前半には専守防衛型の選手が多かったが、近年は打力も伴う捕手が台頭。その傾向がランキングにも顕著に表れた。
その極致が1位の森だ。逆方向への打球が増えた昨季は、リーグ2位の打率.309、同4位のOPS.889を記録。初めて四球(79)が三振(65)を上回るなど、首位打者&MVPを受賞した19年と比較しても打席アプローチに磨きがかかった。リーグ最多6失策など守備には課題も残るが、打撃の貢献度はそれを補って余りある。
かなり打撃偏重の森とは対照的に、2位の甲斐は攻守のバランスに優れる。リーグ最多の142三振と打撃には粗さもあるが、19年から3年連続で2ケタ本塁打。また、代名詞の“甲斐キャノン”で昨季は両リーグトップの盗塁阻止率.452を記録し、ゴールデン・グラブ賞獲得は5年連続に伸ばした。侍ジャパンでも五輪金メダル獲得に貢献。扇の要としての信頼度は誰よりも高い。
木下も、甲斐と同様に総合力の高さが魅力。強肩自慢で昨季の盗塁阻止率.426はリーグ2位。フレーミング技術の高さにも定評がある。打っては規定打席未満ながらチームの日本人で唯一の2ケタ本塁打(11本)を放ち、2年連続で最優秀バッテリー賞も受賞。勝利貢献度を示すセイバーメトリクス指標WARでは、ベストナインを受賞した中村悠平(ヤクルト)をも上回った。
昨年、日本シリーズMVPに輝く活躍でヤクルトの日本一に貢献した中村は、パンチ力こそ上位3人に劣るものの、じっくりボールを見て臨機応変に対応できる打撃が持ち味で、一時は2番も任された。まだ31歳ながらすでに10年近くもヤクルトの正捕手を背負い、今季から古田敦也ら名捕手が背負った背番号27を継承している。
坂倉はチーム事情から一塁との出場が半々だったが、それでもランクイン。通算2119安打の球団OB・前田智徳とも比較される打撃センスを存分に発揮し、昨季はリーグ2位の打率.315。OPS.857も森に匹敵する数字だった。守備が順調に成長すれば、数年後には球界最強の捕手となっている可能性は十分ある。
【惜しくも圏外だった選手たち】
ランクインこそしなかったものの、大城卓三(巨人)、梅野隆太郎(阪神)、會澤翼(広島)らセの正捕手たちはいずれも攻守兼備。大城は昨季リーグベストの盗塁阻止率.447を記録し、自身初の2ケタ本塁打(11本)を記録。ただ、低打率(.231)で四球もあまり選ばないため、OPSは.660にとどまった。
梅野は昨季、打率.225が自己リーグワースト、捕手で最多の6失策と攻守両面で精彩を欠いたが、18~20年には3年連続ゴールデン・グラブ賞を獲得。逆方向にも強い打球が打てる技術を持ち、捕手では珍しく走塁にも関心が高いなど、本来であればランクインしていてもおかしくない総合力を持つ。
會澤も18~19年には2ケタ本塁打&OPS.800以上をクリアするなど本来は森並みの攻撃力を誇るが、故障もあって直近2年は70試合台の出場にとどまっている。だが、出場すれば坂倉を押しのけてマスクをかぶるなど、まだまだ信頼度は高い。
坂倉のような次代の正捕手候補としては、頓宮裕真(オリックス)が112打数で5発、佐藤都志也(ロッテ)は132打数でアーチ6本とそれぞれパワーをアピール。2人とも守備に課題を抱えるが、今後の成長次第ではランクインも見えてくるだろう。
文●藤原彬
著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。ツイッターIDは@Struggler_AKIRA。
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