【卓球DX特集】コロナショックで進化するスポーツ小売の世界(1)オンライン接客編
卓球×ビジネス 【卓球DX特集】コロナショックで進化するスポーツ小売の世界(1)オンライン接客編
2021.12.19 取材・文:川嶋弘文(ラリーズ編集部)
12月14日、スポーツ小売大手のゼビオグループ(本社:福島県郡山市)は、テクノロジーを活用した売場改革について発表した。
卓球用品売場で「オンライン接客」と「VR(Virtual Reality)」を試験導入し、他競技への展開やeSportsへの進出を目指す計画だという。
特集「進む!卓球のDX化」では、2回に渡って本取組みをご紹介する。前編となる今回は、オンライン接客による売場改革に迫る。
このページの目次
- [6 【特集】進む!卓球のDX化]()
「自宅にいながら店員に相談できる」オンライン接客とは
卓球用品は、ちょっとした厚みや反発特性の違いがパフォーマンスを分ける。そんな繊細な商品を購入する際には、多くのプレーヤーにとって専門知識を有する販売員への相談が、意思決定の参考になる。
一方で、従来はそのために店舗に足を運ぶ必要があり、コロナ禍で一気にニーズが高まったオンラインショッピングでは販売スタッフに相談したうえでの買い物ができなくなっていた。
写真:オンライン接客のフロー。予約時間にビデオ通話で店員に相談ができ、その後ECで商品を購入する。/提供:ゼビオグループ今回ゼビオがリリースしたオンライン接客では、ビデオ通話で店員(スポーツナビゲーター)に相談をし、その後ECサイトで買い物ができる。卓球プレイヤーは自宅にいながら、店舗にいるような感覚で買い物ができるようになる。
また、店員との1対1のやり取りとなることもあり、会話の盛り上がり次第で常連客のような扱いを受けられることもあるという。残り少ない在庫の商品を特別に手配してもらったり、特別クーポンによる個別の価格交渉など、これまでリアル店舗で当たり前に行われていた店員とのやりとりが、オンラインでも実現できる。
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## 少人数で全国対応を実現
写真:スーパースポーツゼビオ御茶ノ水本店の卓球売り場/撮影:ラリーズ編集部ゼビオグループは、野球、サッカー、ゴルフ、テニスなど規模を活かし、メジャー競技の商品を幅広く網羅する一方で、全店舗に各競技のスペシャリストを配置しているわけではない。
卓球においても、特定の卓球経験者のスタッフにノウハウや専門性が偏っており、これまでは、必ずしも全店舗で卓球に関する専門性の高い接客を受けられるわけではなかった。
ところが、今回オンライン接客をリリースしたことで、商品知識が豊富な卓球担当ナビゲーターが、全国の卓球プレイヤーの相談を受けることが出来るようになった。
完全予約制のメリットとは
写真:自身もプレーヤーとして活躍し、卓球の商品知識が豊富な岩佐直樹ナビゲーター(ゼビオ東大阪菱江店)もオンライン接客を担当する/撮影:ラリーズ編集部また、完全予約制にすることで、接客品質の向上も期待できる。
卓球プレーヤーは予約時に事前アンケートで現在の使用用具や悩みを入力しておくことで、ナビゲーターが事前にプレイヤーに合った商品を準備をして接客に臨むことができる。これは従来のようにふらっと来店した顧客に対してはできなかった対応だ。
また、これまでは店舗が混雑しているタイミングでは、限られた顧客しか接客を受けられず、顧客、店員双方にとって機会損失が発生していた。予約制とすることでその部分も解決することができる。
一方で課題もある。オンライン接客は、店舗での接客に比べて顧客の表情を読み取りにくく、また商品の実物を手に取れないデメリットもある。
コロナ禍で一時期流行ったZoom飲み会が、現在は普通の飲み会に移行していることを考えると、単純に対面で行っていた接客をオンラインに移行するだけでは、選ばれない可能性が高いだろう。
オンラインの良さを活かしつつ、店舗での接客には無い価値を提供ができるかどうかが定着するかの分かれ目になりそうだ。
本取組みは既に予約受付がはじまっており、年内の予約枠が埋まりはじめているという。
オンライン接客の導入により、卓球用品の売り方が大きく変わる可能性がある。少人数の専門スタッフで全国対応をできるようになると、卓球に愛情が深く、専門知識を持った個人の活躍の幅が広がるだろう。
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