「EUROよりもフィジカル面で厳しい」カメルーンのレジェンドGKが力説!アフリカネーションズカップの注目チームにも言及
本来は昨年6月に開催される予定だったのが、気候的な問題で同年1月に変更され、さらにコロナ禍によって1年先送りになった2021年アフリカネーションズ・カップ(AFCON)。今冬に入り、今度はオミクロン株の感染拡大により、再び開催が危ぶまれていたが、何とか最悪の事態は免れられそうである。
予選を勝ち抜いた24か国が1月9日から2月6日までの約1か月間でアフリカの大陸王者の座を争うことになる。開催国のカメルーンは当初、2019年大会のホストとなる予定だったのが、準備の遅れや治安の悪さによってエジプトに開催権を譲ったという経緯があり、前述の件の合わせて、まさに紆余曲折を経ての大会開催ということになる。
欧州トップリーグのビッグクラブで中心としてプレーするスター選手も多く参加する今大会(それゆえに選手の派遣をめぐって大会運営側とクラブ側が紛糾したが……)、5都市6会場で行なわれる全52試合では様々な見どころが生まれると思われるが、最も大きな興味のひとつである「どこが優勝するか?」については、主要なスポーツベッティングサイトの最新予想でセネガルがトップにつけている。
サディオ・マネ(リバプール)、カリドゥ・クリバリ(ナポリ)、エドゥアール・メンディ(チェルシー)といったビッグネームを擁する西アフリカの雄に続くのは、連続無敗記録を27試合に伸ばしている前回王者アルジェリア、フランク・ケシエ(ミラン)、ニコラ・ペペ(アーセナル)らが招集されたコートジボワール、開催国カメルーン、そしてモハメド・サラー(リバプール)がエースに君臨するエジプトといった順番になっている。
さて、AFCONについては、パンデミックの影響で開催の有無が議論された時、カメルーン・サッカー連盟会長に就任したばかりのサミュエル・エトーが「EUROは幾つかの都市において満員のスタジアムで開催されたのに、なぜAFCONでは不可能だというのか? 我々アフリカ人には何の価値もないから、我慢しろと言うのか?」と不満を露にしたが、同じカメルーンのレジェンド、トーマス・ヌコノはAFCONという“未知”の大会を改めて紹介している。
ヌコノは、同国の歴史に残るGKで112のキャップ数を数え、1982年、1990年の2度のワールドカップで「不屈のライオン」のゴールマウスを守り、後者ではアフリカ勢初のベスト8進出に貢献。79、82年にアフリカ最優秀選手に選出され、クラブでは82年に加入したエスパニョールで241試合に出場し、98年の現役引退後はコーチングスタッフに名を連ね、現在もコーチとしてこのクラブに在籍している。
66歳の彼は、スペインの日刊紙『El Pais』に対して、「EUROやコパ・アメリカと比べて、パーティーのようなものだと思われるかもしれないが、コンペティションとしての重要度は非常に高い。試合はどれも特別なものだ。環境面、気温他、あらゆる面で適応することが大会を制する鍵となる。1か月の短い期間で、それは非常に困難なものだ。他のどの大陸の戦いよりも戦いは激しく、審判にとっても難しい大会と言える。試合は、欧州のものよりはるかにフィジカル面で厳しいものとなる」と、AFCONの特徴を挙げた。
1953年スタートと、EUROよりも歴史のある同コンペティションの33回目となる今大会に対しては「史上最高の大会を開催する責任が我が国にはある。24か国での開催は初めてだが(前々回までは16か国)、コロナがあまり被害を及ぼさないことを願っている」と、母国での大会の成功を祈ったヌコノは、今大会を彩る個々の選手についても言及している。
「今大会で最高の選手は、マネとサラーだ。彼らは間違いなく、『怪物』であり、アフリカ・サッカーを代表する価値ある存在だ。ただ、彼らはリバプールという非常に良く組織されたチームに所属しているが、それとは対照的な代表チームでも、その力を示す必要がある」と指摘した彼はまた、現時点でのアフリカ最高のGKとして「セネガルのメンディが最も完成度が高い」と評価した。
そして、今大会の優勝候補として「負け知らずのアルジェリアが筆頭だろう。それからセネガル、モロッコ、そしてカメルーンが続く」と予想。母国に対しては「カメルーン人には、貴重な競争力が遺伝子に含まれている。この大会のような短期間での戦いでは、これは非常に重要なものとなる」と期待を寄せた。
かつてロジェ・ミラ、パトリック・エムボマ、エトーといった才能溢れる選手を輩出し、今や世界最高の選手のひとりといわれるフランス代表キリアン・エムバペのルーツ(父ウィルフリートがドゥアラ出身)でもあるカメルーンが、「生来の資質を持っている」(ヌコノ談)選手たちによって大会に旋風を巻き起こせるか、他のチーム、選手、そして大会の行方とともに注目したい。
構成●THE DIGEST編集部
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