
男子走幅跳の橋岡優輝選手のジャンプは、陸上競技における究極の美しさを感じさせます。パロマ瑞穂スタジアムで開催された第110回日本陸上競技選手権大会。彼は7メートル89をマークして見事に優勝を飾り、今年9月に幕を開けるアジア競技大会の日本代表内定選手となりました。
橋岡選手の跳躍を見ていると、ジャンプが頂点に達した位置から下りてくるまで、さらに飛距離がぐんと前へ伸びていくような独特の推進力を感じます。この時に両腕をプロペラのように大きく連動させてバランスを取り、着地へと向かう一連のモーションこそが、驚異的な飛距離を生み出す秘訣なのでしょう。ファインダー越しに捉えるその空中フォームは、いつ見ても惚れ惚れするほどスタイリッシュです。
これまで私は、橋岡選手のジャンプを正面から、あるいは真横からと、さまざまなアングルで追い続けてきました。しかし今回は、彼の跳躍力を表現したいと考え、砂場に近い撮影エリアへ向かいました。
狙ったのは、地べた近くから超ローポジションでのアタックです。下から見上げるようなアングルでカメラを構えることで、背景のスタンドを大きく広がりを持たせて入れ込み、橋岡選手のジャンプ力を強調しようと試みました。
シャッターを切った瞬間、ファインダーの中にはスタジアムの視線を一身に浴びながら、ジャンプする彼の姿がありました。背景に適度なボケ味を出しつつ、観客の熱気を構図に入れ込むことで、日本選手権という舞台の緊迫感を表現できたと感じています。
橋岡選手自身、8メートル36という素晴らしい自己記録を持っています。この日本選手権の舞台となったパロマ瑞穂スタジアムは、アジア競技大会の陸上競技の舞台になります。次はどんなビッグジャンプを見せてくれるのか。その進化した美しい放物線を、今度はどの角度から狙おうかと、今からワクワクが止まりません。
高橋 学(たかはし・まなぶ)
1975年、福島県福島市生まれ。東京ビジュアルアーツ写真学科でスポーツフォトを専攻。1996年より(有)ジャパンスポーツで実績を重ねてフリーランスに。現在はサッカー、フットサル、陸上、フィギュアスケートなど様々なスポーツを取材している。日本スポーツプレス協会会員/国際スポーツプレス協会会員
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