
女子ツアーが開幕し、桜が開花したとなれば、いよいよ我々ゴルファーにとって本格シーズン到来だ。寒いオフの間に多くのメーカーの新作が登場したが、女子プロたちは今年どんなギアで飛躍を狙っているのか。毎年年末に行う「話題のツアーギア」を追う企画を、今回は「2026年の展望」として見ていきたい。
①驚異の使用率47%超。タイトリスト『プロV1・V1x』が圧倒的なNo.1に
今年の国内女子ツアーの開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」では、驚異のボール使用率が判明した。なんと、出場108人中51人がタイトリスト『プロV1』(20人)と『プロV1x』(31人)を使い、過去最高の使用率47%超だ。理由は51人中「9人もタイトリストと契約せずに使う」選手がアマチュアを含めて続出していたこと。
今年から『プロV1』に替えた永峰咲希もテスト時から驚きを隠せず「今までの想定より遥かに止まることが多かった」と言い、『プロV1x』にした西郷真央も「スピン量や打ち出し角度、落下角度などのデータのバランスが完璧になった」という。➡➡➡タイトリスト『プロV1・プロV1x』が女子開幕戦で驚異の51名で使用率No.1に!永峰咲希や藤田さいきら“スイッチ勢”の決め手とは?
また、金田久美子も昨年の女王・佐久間朱莉らと同様に「雨が降った時でも滑らずにコントロールしやすい」と利点を口にする。佐久間は昨年『プロV1x』にしてから4勝しており、今年も開幕戦から同作で幸先よく5勝目を達成。今年もタイトリスト勢が多くの勝利を積み上げそうだ。
②止められる7W『ミニスピナー』に火がつく!?
昨今のPGAツアーでは、低スピン化が進むフェアウェイウッドの距離を揃えるため、5Wを抜く「3W-7W」の組み合わせが一般化している。これと真逆の動きが今年の女子開幕戦で見られた。それはキャロウェイが止められるショートウッド『ミニスピナー』を流行らせたこと。➡➡➡開幕戦で投入者続出!? キャロウェイ勢の「4U・3U代わり」は『クアンタム ミニスピナー』の7W
これまで女子プロと言えば「4・5・6U」を入れるのが一般的だったが、今年のキャロウェイ勢は「7Wにミニスピナー」を入れる選手が続出。採用していた政田夢乃や青木香奈子らに聞くと、高重心化でスピンが入るだけでなく「いい顔でミスが減る」ことも投入の決め手だった。
起点はショートウッドが生命線の西村優菜で、彼女の打点傾向をAIに学習させた結果、高重心&ディープな洋ナシ顔の「めくれる弾道の7W」が誕生。この恩恵に気付いた政田や青木らが苦手なUT代わりにすかさず採用したというわけだ。➡➡➡開発に携わった“生命線”のショートウッド 西村優菜は10本入れ替えた2026年セッティング「戦っていけそうなクラブ」
また、今回の『クアンタムミニ』シリーズには、ショートウッドである『ミニスピナー』の7・9・11Wだけでなく、ミニバフィやミニドラも用意された。狙いは、ミニドラの採用者でも、その下の距離の階段が整うこと。ロフト・長さ・スピンを最適化した『クアンタムミニ』シリーズの女子プロ人気がさらに高まりそうだ。
③「S15C」で打感が良くなった『X FORGED』のアイアン&ウェッジ
2024年発売の前作は「日本が企画したアジア限定モデル」にもかかわらず、本来供給されない海外男女プロがこぞって使って活躍したことが話題となり、日本でも一時期数ヶ月待ちになるほどの人気を博した。その『X FORGED』アイアンが、素材をさらにソフトに変更して早速、神谷そら(X FORGED)や吉田鈴(X FORGED STAR)らが飛びついた。
前述の通り、2024年モデルの品薄騒動がきっかけで昨今の「軟鉄鍛造アイアン人気」が高まったが、キャロウェイは今作でさらに『S15C』という柔らかな素材に変更し、より完成度を引き上げた。➡➡➡神谷そらと吉田鈴がぞっこん! 未発表のキャロウェイ軟鉄アイアンに「Xフォージド」の刻印
あらゆる角をカットした、抜けのいいトライレベルソールもより強化され、サイズ面でも『X FORGED』は番手ごとにオフセット度合いもフローする形になったため、海外勢が入れ替えるかにも今後注目だ。
そして、同時発売される『S15C』軟鉄鍛造の『X FORGED』ウェッジにも注目で、こちらもS15Cを採用してかなり柔らかい打感を備えており、青木や政田らが投入している。➡➡➡青木香奈子ら女子プロが即投入!「アイアンっぽい顔」キャロウェイ新作ウェッジの打感に絶賛の嵐
以前の『OPUS SP』よりやや大きめの設計で、高いスピン性能も備えており、顔の繋がりもアイアンと揃う新しい『X FORGED』シリーズ。「アイアンもウェッジも『S15C』の柔らか打感」という、新・軟鉄鍛造ブームが再び今年やってくる!?
④藤田さいきの「衰え知らずの飛び」の理由は日本シャフト!
40歳のシーズンも、開幕戦12位タイと上位で滑り出した藤田さいき。飛距離も調子も全く衰えを見せないどころが、さらに進化して見える秘密を聞くと「日本シャフトさんにすべてをお任せしているからです」。この信頼関係が活躍の背景にあった。
藤田さいきが全幅の信頼を置く日本シャフト『レジオフォーミュラ』の飛びについて、プロ担当の石橋良一也氏はこう説明。「トレンドの高MOIヘッドに対応し、“垂れる”動きを抑えつつも適度なしなり戻りを生む。この“粘りと安定感”の両立が『レジオフォーミュラ』の飛距離性能の源で、藤田プロが信頼を寄せる理由です」 (石橋氏)
セットの中で4本に及ぶ『プロトタイプ設計』についても「プロの感覚で語られる“打感”や“たわみ”は言語化が難しいため、私は動きを観察して得たヒントを設計に反映します。当社は“ゼロからプロトタイプを製作できる”点が最大の強み。選手の感覚を的確に受け、常に先回りして準備を進めています」と説明する。
アイアンシャフトというスイングの基礎を知り抜く同社だからこそ、他クラブでのエラーや調子の変化にも“転ばぬ先の杖”を用意できる。こうした手厚いサポートもあって藤田の競技寿命はより長くなる。
ずっとフジクラの印象が強い国内女子ツアーだが、こと海外志向の日本人女子選手に目を向けると、不思議なほどに『ディアマナ』を好む強者が目立つ。そして、国内開幕戦で発見した復刻『ディアマナ スティンガー』を含め、今年は三菱シャフトが復活の狼煙をあげていた。➡➡➡柏原明日架が「左を消せた」と即投入! 三菱ケミカルの“スティンガー”という名の未発表シャフトを開幕戦で発見
⑤海外志向女子に三菱が人気!? 幻の『ディアマナ スティンガー』も復刻!
勝利の“フラワーシャワー”のように手元側に大量の花が咲くコスメは、光の具合でその表情を変える。が、中身はザ・王道そのものだ。真っすぐなEIで極めてスムースかつクセのない中調子、その名も『ディアマナスティンガー』が復刻された。『53S』を投入した柏原は「左を消せてバチッと来た」と、その言葉通り、投入初戦を上位で終えた。
この「スムースでクセがない」ど真ん中で王道のフィールこそが三菱シャフトの源流だ。それは04年の限定発売作をはじめ、タイガーが愛した同時期の初代『青マナ』から現代まで受け継がれる“素材メーカーならでは”の良さの一端を表している。そして『ディアマナ』生誕の04年はまさにタイガーの全盛期。
2002~07年くらいまでの当時はヘッドの急激な大型化で、自分のスイングとシャフトを繋げておかないと、ヘッドの変化に対応できなかった時代。海外へ主戦場を変える現代の女子プロたちも、大きな変化を目の当たりにして「自分と一体になるシャフト」に大切な“軸”を見出すのかもしれない。
クラブ契約フリーでテーラーメイド『Qi4D』を採用する、稲見萌寧や穴井詩らを直撃。すると、稲見に至っては、契約外で『TP5』ボールと組み合わせる気に入りようで、長らくクラブ契約フリーだった高橋彩華のTM契約も相まって「この組み合わせが女子プロにとって最強!?」と関係者をざわつかせた。➡➡➡「良いクラブが出ない限り変えないつもりだった」稲見萌寧が『Qi4D LS』ドライバーを投入!「ボールのテストはパターだけ」という理由は?
⑥契約外でも飛ばしで選ぶ。テーラーメイド『Qi4D』×『TP5』
試合が始まると、同じく今年からクラブ契約フリーの永井花奈が稲見と同じ『Qi4D LS』ドライバーで安定したフェードを武器に初投入の開幕戦でいきなり2位に。クラブ一新で数試合は“実験的”と見ていたが「クラブも新しくしたので全てがすんなりうまくいくとは思ってなかった」と、本人にとっても驚きの結果となった。
今年2月にヤマハのゴルフクラブ撤退のニュースが大きな話題となったが、昨今女子ツアーには契約フリー選手たちが増える一方。その有力どころが開幕から選んだことは他の選手にも影響していくはずで、今年は『Qi4D』の年になりそうな予感も高まる。ALBA.netでは、今後も契約フリー選手たちの使用動向を常に追いかけていく。
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