鳴りやまぬ大歓声…タイ国民の願いを実現「誇りに思って欲しい」 母国初Vの世界1位は母、岩井千怜と熱い抱擁

大歓声を浴び続けた18ホール。ジーノ・ティティクルが母国初Vを手にした。(撮影:福田文平)

<ホンダLPGAタイランド 最終日◇22日◇サイアムCC オールドC(タイ)◇6649ヤード・パー72>

世界ランク1位の23歳が、ようやく“新たな称号”をつかみとった。「とても大きな意味がある。 母や祖父、祖母がここに来てくれているし、本当に大きな意味がある」。母国では初、ツアー通算で8勝目を挙げたジーノ・ティティクルは、笑顔でこの1勝を表現した。

終始、地元ファンの声援を全身に受けながらのラウンドだった。3日目を終え、2位に2打差の首位で迎えた最終日。6番からの3連続バーディで点火したが、そこに追いすがったのが日本の岩井千怜だった。並走しながら終盤を迎えながら、17番のバーディで頭ひとつ抜け出した。

つかめそうでつかめない母国Vだった。アマチュア時代含め、今回が8度目の出場。米女子に参戦した2022年から8位、23年は3位、そして昨年も3位。母国の先輩、アリヤ・ジュタヌガーンが優勝した21年も1打差の2位になっていた。「このコースには多くの思い出がある。14歳で初めてプレーし、21年は優勝目前だった。21年と22年は本当に優勝のチャンスがあった。いろいろあってようやく優勝できた」。新たな思い出をようやく刻むことができた。

ティティクルが優勝争いをするタイのコースは、特段、熱気を帯びる。ひとつのバーディでも大きな拍手と歓声が後押し。ラウンド後には、タイメディアもティティクルを囲む大きな輪を作るのがもはや風物詩だ。タイ人でこの大会を制したのは、アリヤと24年のパティ・タバタナキトに続き3人目。現在、昨年の「ビュイックLPGA上海」から、年をまたいで5試合で3勝を挙げ、生涯獲得賞金も1750万ドル(約26億7700万円)を突破した。

ホールアウト直後は歓声を体全体で受け止めるように両手を広げ、母国ファンの声援に応えた。多くの選手に囲まれたウォーターシャワーは、シューズの中まで水浸しになるほど。観戦に来ていた母とも長い抱擁を交わした。そしてアテストに向かう道中には、最後まで優勝を争った岩井千怜ともハグを交わし、互いの健闘を労った。

「みんな、いつも『ホンダLPGAで勝ってほしい』と叫んでくれていた。これまで『本当に頑張ったんだ』と思っていたけど勝てなかった。皆がよろこび、誇りに思ってくれることを願うわ」。タイのゴルフ界全体でつかんだ1勝は、黄金期を加速させる重要な促進剤になるかもしれない。