
2000年の初代誕生から、日本中のアベレージゴルファーに最も支持されてきたのが『ゼクシオ』だ。その新作はご覧のように『ゼクシオ14』(以下14)と『ゼクシオ14+』(以下+)に変わったが、トウ側に小さく『XXIO』が入るだけで、ソールを見てもどちらかまったく見分けがつかない。
前作までは、セミアスリート向けでノーマルと全く違うデザインの『ゼクシオエックス』が存在したが、今作では消滅。『14』と『+』のデザイン差は、ツヤが有るか無いかというだけで、ソールデザインに統一感を出してきた。
強烈ミート率の女子プロ続出
そして、『+』はヒールがスッキリでストレートフェースな顔になり、『14』は〝らしい〞デザインから一新し、外ブラを彷彿とさせる初の可変スリーブまで付いている。正直「かなりスリクソンに寄せた?」との印象すらあるが、試した女子プロたちの評価はご覧の通り上々だった。
既に試合投入実績のある青木瀬令奈と菅沼菜々に加え、吉本ここねら『ゼクシオ勢』に若手の『スリクソン勢』も同様に試し、吉本も入谷響も「1.52」と高いミート率をマーク。スリクソン『ZXi』シリーズを使う選手たちでさえ『+』で低スピンな結果になる選手が続出するなど〝一撃の飛び〞を謳うモデルにふさわしい試打結果が目立っていた。
高初速の理由は【VR-チタン】
女子プロたちが「ミート率1.5以上」を叩き出す理由は新しいフェース素材に理由があり、2006年作の『ゼクシオ4』から続いた素材を変更、シリコンを添加した『VR-チタン』に。フェース材の変更で過去に大ヒットした他社の事例とも重なるが、試打マイスター・市原建彦も大興奮の性能だった。
なぜ、20年間も国民的な人気だったフェース素材を変えたのか?ゼクシオの開発者は「ゼクシオの評価は従来『ミスに強い』『安定して飛ぶ』でしたが、今回の開発では【最大飛距離の強化】+【芯を外しても安定して飛ぶ】の両立を狙って、時代に合った新素材を取り入れました」と言う。
カーボンフェースや航空宇宙チタン材など、過去にフェース素材の変更で大ヒットした1Wは珍しくないが、20年も不変だった王者の『ゼクシオ』が変わるとなれば一大ニュースだ。どれ程良いのか、過去作を愛用した人数が日本最多なブランドだけに気になる人も多いはず。
そこで以前のフェース素材で最も売れた2012年モデルの名器『ゼクシオ7』と、今作『ゼクシオ14』を同じシャフト・長さに組み上げて比較することに。結果は歴然で新作は平均初速が1m/s弱速く、平均飛距離は6.9ヤード、最大9ヤードも勝る結果に。市原も興奮してこう言う。
「7代目は芯で捉えてドローが出ても、当たった後にフェースが開く感じ。14代目はよりつかまって強い球で初速が出て、当たり負けが一切ない。そのままのロフトでフェースも開かず、真っすぐ押し込めて曲がりません。距離のロスも少なくて即〝エース候補〞と言い切れるくらい新作の性能に驚きました。
同じ芯付近で捉えたのに、『ゼクシオ7』は当たった後にフェースが開いて、トラックマンデータも初速が1弱低くてミート率も上がりませんでした。反対に『ゼクシオ14』はボクがエース1Wに求める条件の“長く真っすぐ押せる”感じがしてスピンも安定します。打感もソフトでありつつも弾く感じで好み」(市原)
同じ芯付近で何故ここまで差が付くのか。ゼクシオ開発陣は、青木瀬令奈や松山英樹だけでなく、アマ試打でも「くっつく時間が長くて押せる」「柔らかいのに弾く」と新フェース素材に対する共通した意見があると明かす。
また、7代目より桁違いにロスが少ない理由に「MOIの向上」「ネック剛性」「アクティブウィングによる安定性」も挙げていた。市原プロはヘッドスピードに関係なく全方位で使える性能について「ターゲット層とはほど遠いはずのボクでも使える間口の広さと完成度は中々真似できない」と唸っていた。
✦取材協力/南茂原カントリークラブ
✦撮影/相田克己、角田慎太郎
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