
はじめまして。
NPO法人日本卓球療法協会理事長の長渕晃二と申します。
私は長年、介護・福祉やまちづくりに携わってきましたが、そのいずれにも卓球が活きることはたくさんありました。
そこで本連載「スポーツを活かした民間資格づくり」では、わたしのこれまでの経験などを交えながら、スポーツを活かして民間資格をつくることについて全5回にわたって探っていきます。
第1回では、「いまなぜ民間資格づくりが必要なのか?」というテーマでお話しさせていただきます。
>>シニア世代からの卓球入門 第1回:卓球のおもしろさと連載のねらい
いまなぜ民間資格づくりか?

スポーツは、さまざまなビジネスや異分野に活かせます。
なにしろスポーツは、療育、介護予防、リハビリ、レク、世代交流、国際交流ほか、実に多様な領域との関わりがあり、切り口が無限大とも言えるからです。
ここでは、スポーツを応用したもののうち、一度の講習や試験で学ぶだけの資格・検定ではなく、会員制の組織で継続して学べる民間資格について述べていきます。(天下り組織・外郭団体や、公の認可による資格講習は除く)
また、ところどころNPO法人日本卓球療法協会による卓球療法士Ⓡを例に挙げつつ、なるべく具体的に述べていきます。
知識がないと危険
前提として、最低限の知識・技術がないと、スポーツには危険やトラブルが生じます。
だからこそ、そこに関わる人は知識・技術を学ぶ必要があるのです。
では、単発の研修やセミナー(あるいは一度の講習か試験で取れる資格)ではなく、会員制の組織で継続して学べる民間資格にする必要があるのはなぜなのでしょうか?
それは、学んだことは誰しも忘れてしまうことがあり、学んだ知識・技術が古くなることや新たな知見や事例が生まれることがあるからです。
ですが、組織を作り、会員制とし、継続して学ぶしくみを作ることで、活動の発展に応じた有資格者が活躍しやすくなり、それにより社会の信用が得られます。
活動を広めるための信用を獲得する
法人化や資格化は、「組織や活動の維持・発展」とあいまって、継続性や広報、人材と財源の確保の上でも重要です。
それらによって社会からの信用・信頼にもつながる可能性が出てきます。
そして、人数や活動の広がりによって、連携できる相手も広がり、さらにはスポンサーの獲得にもつながります。
わずか18名で始まった日本卓球療法協会は、卓球界で著名な方々が役員をしていても、まだ海のものとも山のものともわからない状況では業界トップの方には会っていただけませんでした。
10年を過ぎ、千名を超えてくらいからは、かなりの方々と頻繁に連絡やコラボする機会が増えてきました。
資格になると皆が収入を得ていく
資格取得する人の中で、福祉・医療・教育やスポーツ施設などに関与する人は、自らの職場において資格講習で得た知識・技術を応用できます。
そのような職場に関与していない人の場合だと、
①自ら活動先を開拓できる人
②開拓できず依頼がないと動けない人
③活動できそうな職場に就職する人
④現在高校生で関連する学校へ進学する人
がいます。
急激に有資格者を増やしても、活動先が無く辞めてしまう人もいるので、徐々に増やしていきます。
先に活動先を作りたくても、知識・技術ある人がいないため、思うようには作れません。やはり「人が先」が必要です。
地道な広げ方が現実的と言えます。
また、資格を活かして収入を得たい人からの相談を受けていき、情報、ノウハウ、アイデア、機会を提供していくことが必要です。
熱量が大事
活動に関わる各地域、各分野のリーダークラスの方々が、熱意を持って動き出すと、周りにも影響を与えます。
キーパーソンとなる人が一人いるだけで、その地域や分野の活動が広がります。
また、その本人か周りに人材・財源・手順など、進め方を考えられる人がいることも重要です。
①やれない理由・短所よりやる効果・長所を考え出せる人
②人やお金がない中でどうそれを作り出せるかを考えられる人
③自分で調べて誰かに相談をしていく人
④朝令暮改や上意下達でない有言実行の人
⑤人に頭を下げて協力を求めていく人
⑥交渉力やプレゼン力のある人
こういった人には、おのずと人もお金も集まっていくものです。
筆者プロフィール:長渕晃二(ながぶちこうじ)

NPO法人日本卓球療法協会理事長。NPO法人日本ピンポンパーキンソン理事。明治学院大学大学院修了(社会福祉学修士)。短大・専門学校での教員・卓球顧問や福祉施設での卓球経験あり。現在有料老人ホーム、デイサービス、介護予防サロン、メンタルクリニックで卓球療法を行う。著書は『コミュニティワーカー実践物語』(筒井書房)、『卓球療法士テキスト』『卓球療法入門』(サイドウェイズ)ほか。
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