「令和の“勿体ない”アベレージの典型」記者が、ヤマハ『RMX DD-1 / DD-2』をフィッティングしてもらうと?

ALBA.netで女子プロのギア記事を担当している編集Kは、ヘッドスピード40m/s前後の“ザ・アベレージ” ゴルファーだ。曰く「女子プロ好みのギアを使いたい」気持ちを取材の動力源にしているが、自身のギアは実力的にそれとは遠い。調子が良いと80台後半、悪いと100オーバーが長年固定している……。
 

アベレージ代表・編集Kが「自ら検証する」

 
以前、真のエースアイアンを探すため、「軟鉄鍛造VS飛び系」の打ち比べをした編集K。そこでは、マイクラブで低いフックが頻発、女子プロ好みの軟鉄系アイアンだと「距離が足りない」ため「飛び系アイアンが合う」との結果が出た。今回も「長年使用していて、相性のいいヤマハ」の新作に活路を見出し『RMX DD』シリーズのドライバーを試してみることにした。

【用意したドライバーは、全て10.5度のS】 
①  RMX VD-X(純正テンセイS、マイクラブ)
②  RMX DD-1(純正テンセイS)
③  RMX DD-2(純正テンセイS)

前回の「軟鉄鍛造 VS 飛び系」アイアン企画でフィッティングしてくれたのは、日本シャフトの東フィッターだった。今回のテーマはドライバーなため、“ギアオタク店長”こと小倉勇人氏とともに、まずはマイクラブで前作『RMX VD/X』ドライバーの症状から見ていく。
 
編集Kは「アイアンで低いチーピンなのに、なぜか、ドライバーで右ペラがよく出ます。ドライバーがいい日はアイアンがダメで、アイアンがいい日はドライバーがスライスばかりで、全くスコアになりません……。前回でアイアンに少し光明が見えたので、今回はとにかくドライバーをどうにかしたい」と言う。

マイドライバーで「これでも超ナイスショットなほうですよ!」と言うデータが上記。「右ペラ系の弱い球だとコースで普段ランもあまり出ない」と言う通り、スピンが3000回転弱入っていた。そして、フェースが開かずに捉えたつもりでも、カット軌道の度合いが約4.6度。小倉氏は「クラブというより、スイングの癖が強くて勿体ないですね」と言う。
 

「左を向くのに真っすぐ通過させたがる」

 
「Kさんは左を向いて構えてインパクトで目標に真っすぐ通過させたがるアベレージ層の約3~4割が当てはまる勿体ないタイプです。無意識に左を向いてしまう人は7割以上もいますが、Kさんみたいに【ボール位置が左過ぎる人が陥りがち】で、そのまま回転方向に左に振り抜けば強いフェードが打てるのに、真っすぐ通過させようとして腕が浮き、余計にフェースが開きやすくなります」(小倉氏)

自覚は多少あるのか「中々クセが治らない」と、頭をかく編集K。小倉氏は「今のマイドライバーの前に長く使ったモノは?」と、クラブ遍歴を聞き納得。「もともと重心角が小さく、重心距離が長いものを長く使ったせいで、開閉がうまくいく日は飛ぶけど基本練習嫌いだし、不安定で日替わりですよね?」と、核心を突く。「でも、新しい『RMX DD-1 / DD-2』なら大丈夫そう」と、希望をくれる小倉氏。理由に「目には見えない進化」も挙げる。
 

「バルジ設計の進化でミスを吸収する」

 
それは、ヤマハが今作の開発にあたり、なんと11種類も試作した【ミスヒットに強いバルジ設計】になる。地味に見えるが、ALBA.netは今年「ロボット試打」を重ねてきて、打点ブレへの強さに高MOIと匹敵するほどバルジ設計が重要だと知っている。事前に試して小倉氏も「確かに右抜けしづらい」と、トウ・ヒールに外した際のバルジの効果を体感していたが、「バルジだけじゃない」と、曲がらない理由をさらに深堀りする。

「Kさんの前作はチタン製で、今作は『8軸カーボンフェース』になってフェースの重さが取れ、余剰をミスに強くする周辺重量配分ができていますよね。Kさんは重心角小さめ・重心距離長めで開閉を使う傾向ですけど、今作の『RMX DD-1 / DD-2』はバルジも最適化された上で、重心設計もより深めでKさんのミスの傾向により強いと言えますね」

打つと、まず『DD-2』の10.5度(純正テンセイS)でつかまりのいい球を連発する編集K。「マイクラブはチタンフェースですし音は弾く感じですけど、今回の『DD-2』もカーボンフェースなのにけっこう弾きますし、確かに右ペラが全く出ないですね」と、MAXデータでは244.3ydをマーク。左を向く構えとカット軌道の癖はそのままだが、エネルギーロスが明らかに減って見える。
 

8軸カーボンフェースも薄くなり初速◎

 
それもそのはず、今作の『オクタアングルカーボンフェース』は、初搭載された昨年の『インプレスDRIVESTAR』では分厚かったが、今作は層を抜いて初速アップできるようになっていた。小倉氏によれば「純正テンセイも前作ではしなり戻りが少し遅れていましたけど、今作は復元が良く戻しやすいと感じるはず」。

良いデータで調子に乗ってきた編集K。「実は、メディア向けの試打ラウンドで初めてコースで打った時、マット仕上げで重い純正シャフトの『DD-1』も打ちやすかったんですよ。僕の『RMX VD/X』は軽すぎて良くなかったのかなぁと。意外とパワーがある?なんちゃって」と、60g台でマットな純正テンセイが入った『DD-1』の試打も改めて要望する。

そこで『DD-1』も試してみると小倉氏の助言の効果も相まり、カット軌道はそのままでも軌道に対するフェースの開きが減って、強いフェードを放つ編集K。前作のマイクラブでは右ペラ気味が多かったが、『DD-1』は重めの純正シャフトでも最大242.8ydと、飛ばせる結果に。編集K自身も「やっぱりなぜか重いのに振りやすい」と言う。
 

「質量が出せるKさんは重めもOK」

 
小倉氏は「正解だと思いますよ、自分から見てKさんは身長もあるし体の厚みから見ても“質量”があるタイプ。ヘッドスピードだけで判断せず、シャフトも振れる範囲で重めを使った方がスイングも安定しやすく結果が出る人は意外に多いですよ」と太鼓判。さらに調子づいた編集Kは「さっき言われた体の向きを直してみます!」とドローを放つと、この日MAXの247.7ydが出て「ウソ~~‼️」と一同驚く。

ただし、インドア計測の結果だけで自信は持てない編集K。生憎の雨だったが、コースでも『DD-1』と『DD-2』の実力を確認すると、ナイスショットを連発。相性の良い、ヤマハの新作ドライバー2機種に関して、改めてこう言う。
 
「打つ前は『RMX』はアスリートブランドだけに、締まった見た目の『DD-1』は【僕には無理】と思っていました。でも意外に打てたし、全然コースで曲がらないし右ペラも全く出なかった。むしろ、僕向けだと想像していた『DD-2』がつかまり過ぎたくらい。自分がまさか難しい方で安定するなんて……。上手くなった気がしてかなり嬉しいです」

フィッティングした小倉氏も、改めて『DD-1/DD-2』ドライバーを試して、こう話していた。
 
「昨年発売の『インプレスDRIVESTAR』からカーボンフェースに変わりましたが、今回の『RMX DD-1/DD-2』のフェースの方が、弾きが良くて初速も増したと感じますし、何より2つともミスヒットに強い。自分もカット軌道のフェード打ちですけど、意図的にドローを打ってみても強い球で曲げずに飛ばせました。Kさんのようにカットに振る人だけじゃなく、いろんなスイングの人に幅広くフィットすると思うので、先入観なく2つとも試打してほしいですね」
 
>>>編集Kのマイクラブ対決「軟鉄鍛造VS飛び系」アイアン篇はこちら!