アメリカは女子バスケも最強なのか。「WNBA」とは一体?

男子はNBAという超ビッグビジネスが存在しており、これはバスケットの競技経験に関わらず非常に多くの人が知っているリーグである。同じように「B.LEAGUE」も、日本国内においては同じような存在感を放ちつつあるだろう。
では、女子にフォーカスしてみよう。「WNBA」の存在を知っている人が一体どれだけいるだろうか。あなたはジョーダンやレブロン、カリーのようなスターを1人でも挙げられるだろうか。それほど男女が違うだけでリーグの規模も違う。
今回はそんな「WNBA」にフォーカスしつつ、世界の女子バスケについて紹介していく。

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そもそも女子もアメリカが最強なの?

バスケットボールという競技において、アメリカは男子も女子も最強である。
女子はパリ五輪でも金メダルを獲得したが、この記録によって金メダルを4大会連続で受賞し合計10回の金メダル獲得を記録。
ちなみに男子は現在5大会連続の8回金メダルを獲得しているが、これはNBA選手解禁後の1992年のバルセロナ五輪以降の記録である。女子の金メダル受賞歴については以下の通り。

1984 ロサンゼルス
1988 ソウル
1996 アトランタ
2000 シドニー
2004 アテネ
2008 北京
2012 ロンドン
2016 リオ
2020 東京
2024 パリ

東京五輪では決勝の相手が日本であったが、パリ五輪の決勝はフランス。
そして1点差で勝利(67-66)という、歴史に強く残るような試合であった。両国、男子選手もベンチ裏で応援していた姿も非常に印象的である。

ちなみに、9/15時点のFIBAランキングは以下の通り。

1位 アメリカ
2位 オーストラリア
3位 フランス
4位 中国
5位 ベルギー
6位 スペイン
7位 カナダ
8位 ナイジェリア
9位 ブラジル
10位 セルビア
11位 日本

FIBAポイントで見ても、アメリカの880.9に対して、2位のオーストラリアは719.6。圧倒的にアメリカが強いことは数字でも証明されている。ちなみに日本は11位でTOP10入りまであと少し。アジアでは中国が強豪ではあるものの、次点で日本。東京五輪で銀メダルを獲得したことも相まって、世界から強豪国として認知はされている。

ちなみに、アメリカが強い理由はシンプルに「WNBA」という、女子バスケの世界最高峰のプロリーグがあるから。世界トップクラスの選手たちが、毎年世界中から集まって競い合っているリーグであり、そのような高いレベルでプレーできるからこそ、国際大会でも大きなアドバンテージになっている。
さらに、男子同様だがNCAA(大学)の女子バスケのレベルも非常に高い。史上最強と呼び声高いのは「コネチカット大学」でありNCAAは11回優勝。カーメロ・アンソニーやリップ・ハミルトンなどNBAスターも多数輩出している、男女ともに名門校だ。他、テネシーやスタンフォード、ルイジアナ州立大学なども強豪である。このように、大学バスケの競技レベルが高いからこそ、プロになっても食っていける技術やメンタルが整っているのかもしれない。

一方で、オーストラリアが2位であるが、WNBA同様に「WNBL」というオーストラリア国内でプロリーグが存在していることが大きい。フランスやスペインなどは特に、国内リーグがしっかりと整備されているため女子選手もプロとして活躍できる環境が整っている。だから強豪国として存在し続けている。
当然ながら、WNBA自体は男子のNBA同様に女子バスケ界の中では位置付けられているため、「WNBAにいきたい」と挑戦する選手は非常に多い。一方、女子は男子に比べるとどうしても市場規模が小さいため、国内リーグが存在していない国もある。そうなると選手のキャリアパスは乏しくなってしまうし、なかなかナショナルチームのレベルも上がっていきにくい状態となっている。良くも悪くも、女子バスケは「リーグの質」が、=代表の強さにも比例してしまうのだ。

WNBAとは。誰でもわかる、基本情報まとめ

そもそもWNBAとは、1996年に男子のNBAの全面的な支援を受けて1997年に開幕したアメリカの女子のプロバスケットボールリーグである。現在は東西で13チームが所属するリーグであり、来年の2026シーズンは15チームまで拡大すると見込まれている。実は過去16チームまで伸びた年もあったが、残念ながら経営破綻などによって撤退したチームもあったが、リーグもチームも年々安定した経営となっている。
ちなみに、女子の世界でマイケル・ジョーダン的なレジェンドもいる。2022年で引退したスー・バードはシアトル・ストームを4度の優勝に導いたし、ダイアナ・タウラシはWNBA最多得点記録(10,646得点)を持ち、リサ・レスリーは女子で初めてダンクを決めた選手としても有名である。余談だが、スー・バードは男子のレジェンドであるラリー・バードとの血縁関係はない。苗字が同じのためしばしば勘違いされることがあるんだとか。

さて、WNBAはいつどこでどうやって見ることができるのか。簡単な情報をまとめていきたい。

レギュラーシーズン 毎年5月中旬〜9月上旬
プレーオフ 9月中旬〜10月
チーム数 13チーム/EAST 6チーム、WEST 7チーム(PLAYOFFSは東西関係なく上位8チームが出場)
試合数 44試合(シーズン(PLAYOFFSを除く)
選手登録 11人〜12人が基本的
視聴方法 WNBA League Passのみ(年間34.99USD=5,000円前後(稀にYouTube無料配信することもある))

上記の表からわかるように、WNBAは今PLAYOFFSの真っ只中である。昨今、NIKEからシグネチャーモデルが出ているサブリナ・イオネスク(ニューヨーク・リバティ)やエイジャ・ウィルソン(ラスベガス・エイシーズ)なども出場中である。以下、WNBAに所属するチームを、今シーズンの順位と共に一覧にする。

2025順位 チーム名 勝-敗 参入年 優勝回数
1 Minnesota Lynx 34-10 1999年 4回(2011, 2013, 2015, 2017)
2 Las Vegas Aces 30-14 2018年 2回(2022, 2023)
3 Atlanta Dream 30-14 2008年 -
4 Phoenix Mercury 27-17 1997年 3回(2007, 2009, 2014)
5 New York Liberty 27-17 1997年 1回(2024)
6 Indiana Fever 24-20 2000年 1回(2012)
7 Seattle Storm 23-21 2000年 4回(2004, 2010, 2018, 2020)
8 Golden State Valkyries 23-21 2025年 -(新規参入チーム)
9 Los Angeles Sparks 21-23 1997年 3回(2001, 2002, 2016)
10 Washington Mystics 16-28 1998年 1回(2019)
11 Connecticut Sun 11-33 2003年 -
12 Chicago Sky 10-34 2006年 1回(2021)
13 Dallas Wings 10-34 2016年 1回(Detroit Shock 時代)

昨年はニューヨーク・リバティ(New York Liberty)がフランチャイズ初の優勝を成し遂げたが、WNBA史上初となるオーバータイムでの決着となったため、歴史に残るFINALSになったことは間違いない。

ちなみに、日本人でWNBAのプレーオフの舞台に立った選手は2名しかいない。
渡嘉敷来夢が2016年にシアトル・ストームで、町田瑠唯が2022年にワシントン・ミスティックスで、それぞれPLAYOFFSに出場をしている。もちろん、プレータイムもある。
また一方で、WNBAで優勝経験を持つ日本人は、いまだに現れていない。

今、見るべきスーパースター

サブリナ・イオネスク(ニューヨーク・リバティ)

2020年のWNBAドラフトで全体1位で指名された若きスーパースター。3ポイントの精度が非常に高いポイントガードで、2023年と2025年ではWNBAのオールスターの3ポイントコンテストで優勝を勝ち取っている。また、昨年ニューヨークを優勝に導いたと言っても過言ではない選手である。
ナイキと契約しており、自身のシグネチャーモデル「サブリナ」は現在も男女ともに愛されるモデルとして販売中だ。

エイジャ・ウィルソン(ラスベガス・エイシーズ)

レブロン・ジェームズが「キング」と称されるように、「現代女子バスケの女王」と呼ばれているのがエイジャ・ウィルソンである。193cmの恵まれた体格を持つフォワードで、特にゴール下で存在感を発揮する。外のシュートも得意であるが、インサイドとリバウンドは圧倒的なものがあるため止められない。ラスベガスが今シーズン終盤に16連勝を飾ったが、彼女の貢献なしにこの記録は達成できなかったに違いない。
サブリナ同様に、ナイキと契約しシグネチャーモデル「A'One」が販売されており、どのポジションでもカバーできると非常に好評なモデルである。

【まとめ】アメリカは女子も強い!

これまでの話でお察しの通り、バスケットボールという競技においては男子だけではなく女子も国際大会での優勝回数が多いこと、またWNBAという世界トップクラスのリーグがあることを踏まえ、アメリカは女子バスケでも頂点であり続けている。

WNBAは現在PLAYOFFSが始まったばかりであるため、この機会に視聴しても面白いと思う。NBAと同レベルのバスケットボールというエンタメが、そこにはある。

※YouTubeのハイライト(無料)もしくはWNBAリーグパス(有料:月額プランで月2,000円ほど)で視聴可能