
卓球において、自分の競技レベルやプレースタイルに合った用具を選ぶことは、上達に直結する重要な要素である。
しかし、卓球競技の普及に伴い、実に多くのラケット、ラバーが専門的な名称で発売されている現在、初級者に近いプレーヤーが自らの知識だけで、適した用具を選ぶことはとても難しい。
今回、東大阪のスポーツ量販店の卓球売り場で約10年間、初級者層の用具購入をサポートしてきた岩佐直樹さんに、用具選びのポイントを聞いた。
▶試打台が量販店を専門店に変えた 卓球売り場店員に聞く新トレンド【第1回】
ラケット・ラバーのお薦めセットは難しい
── 初心者の方にお薦めするラケットとラバーの組み合わせはありますか。
岩佐: 会社にも“お薦めセットを作ってください”とよく言われるんですけど、いつも困るんです(笑)。プレーヤーは千差万別で、そのスタイルによって、細かく落とし込んでいくと組み合わせは無数にあるので。
だからこそ、店舗に試打台があることの意味もあって。
── それは前提の上で、敢えて初心者の方に薦めやすい代表的な用具を(笑)。
岩佐: わかりました(笑)。僕は、ラケットはバタフライのメイスアドバンスに、ラバーは、スピードで攻めたいイメージの方にはスレイバー、ラリー戦やバランスを求める方にはマークV(ファイブ)、回転を出したい方にはタキネスドライブ、というのが王道かなと思います。

写真:メイスアドバンス/提供:SUPER SPORTS XEBIO
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写真:スレイバー/提供:SUPER SPORTS XEBIO
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写真:マークV/提供:SUPER SPORTS XEBIO
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写真:タキネスドライブ/提供:SUPER SPORTS XEBIO
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── 初心者の方には、フォア面とバック面は同じラバーをお薦めするんですか。
岩佐: 最初は一緒にしています。フォア、バック、同じ打感で基本技術を身につけてほしいからです。次の張り替えるタイミングで、バックをもうちょっと安定させたいのなら少し柔らかくする提案をしたい、変えていく方向の話をします。
── 厚さは。
岩佐: 僕は基本的には「中」ですね。慣れてきたから厚みを上げていく方向です。
初心者の表ソフト・粒高は
── 初心者の方に表ソフトをお薦めすることはありますか。
岩佐: 基本的に無いですね。ただ、1回目に張り替えるときに「表ソフトが良い」という要望があれば、僕は王道の、横目の表ソフトラバーをお薦めしています。
横目のほうが回転がかかって安定感が出やすいので。商品でいうと、今だとブースターJP、スピンピップスあたりですね。
── 初心者は無いかと思いますが、粒高ラバーだと何をお薦めしますか。
岩佐: 攻撃的なスタイルなら、少しスポンジの固いイリウスです。粒高ならではの変幻自在のプレーで相手のミスを誘いたいなら、カールP1、フェイントロングなど、柔らかめで粒の高いタイプをお勧めします。
初心者の方がとにかく使いやすい粒高ラバーを、と言われたらカールP3を提案しています。

写真:フェイントロング3/提供:SUPER SPORTS XEBIO
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初級者が次にステップアップするときの用具は
── 最初に揃えた用具で練習して数ヶ月経って、次にステップアップしたいお客さんには何をお勧めしますか。選手のプレースタイルによって、まちまちだとは思いますが。
岩佐: ラケットがメイスアドバンスから始めた方には、同じバタフライ製で考えるなら、僕はインナーフォースレイヤーですね。SK7などの7枚合板は少し重すぎる気がしていて、であればメイスより少し重いくらいのインナーフォースのほうが良いかなと。もっと飛ばしたい方はアウターフォースでもいいと思います。
ラバーでいうと、そのステップで売れているのは、ライガン、ファクティブ、ロゼナ、ベガヨーロッパあたりの、柔らかいテンション系ですね。
4つともお店に試打用ラバーを用意しているので、試打してもらって選んでもらう形です。


写真:インナーフォスレイヤーALC/提供:SUPER SPORTS XEBIO
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写真:ライガン/提供:SUPER SPORTS XEBIO
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写真:ファクティブ/提供:SUPER SPORTS XEBIO
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写真:ロゼナ/提供:SUPER SPORTS XEBIO
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写真:ヴェガヨーロッパ/提供:SUPER SPORTS XEBIO
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ジュニア世代におすすめのラケット・ラバー
── 量販店なので幅広い世代のお客さんが訪れると思いますが、世代別でお薦めする用具はあるのでしょうか。
岩佐: そうですね。例えば、これから卓球を始める小学生のお子さんには、手が小さいのでグリップが細くて軽いラケットを薦めます。70グラム前後の軽量タイプです。ウイングライトなどですね。
グリップはほとんどシェークですね。例えば公民館でペンラケットしかなかったからペングリップが良いという小学生もたまにいますが、指の力がまだ弱くて一つの指で固定するのが難しい場合も多いです。
長く続けるにはシェークの方がいいよとは伝えています。僕自身もペンなので、ペングリップを推奨したい気持ちはあるんですが(笑)。
── シニアの方にはいかがでしょうか。
岩佐: シニアで初めて卓球を始める方にも、やはりキーワードは軽さですね。ジュニアほどではないですが、80g前後の軽めのラケットをお薦めします。
ジュニアも含めてですが、初心者なのに、ボールを飛ばしたいということでカーボンのような特殊素材が入ったラケットを求める方もいらっしゃるんですが、最初はある程度自分の身体を使って飛ばす、しっかり振る感覚を身につけるために、5枚合板をお薦めします。
フォームが身についたら、今度は用具の力を借りて飛ぶラケットにしましょうという提案をしています。
初心者にありがちなオーバースペック
── 卓球用具の購入に慣れていない初心者がやりがちな失敗はありますか。
岩佐: 特に春先、始めたばかりの中学生が、張本智和選手や伊藤美誠選手らのラケットとラバー、そのまま使いたいと言ってセルフで買いに来ることがあります。
もちろん、憧れの選手がいて、使いたい用具を使うのは大事なモチベーションですし、お店側としては売上も大きくなるんですが、上達の早さという点ではお薦めしません。初心者にとっては、当たっただけで飛んでいくので、自分で振る感覚がなかなか身につきません。
レベルに合わせた用具から始めて、だんだんバージョンアップしていくことをお薦めしていますね。
── なるほど。そのほうが用具の力もより実感できますね。
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